イクイノックス

性別 毛色 青鹿毛
生年月日 2019年3月23日 所属 美浦・木村哲也厩舎
キタサンブラック シャトーブランシュ(母父:キングヘイロー)
戦績 10戦8勝
(8・2・0・0)
生産者 北海道安平 ノーザンファーム
馬主 シルクレーシング 騎手 C.ルメール
おもな
勝ち鞍
天皇賞(秋)(2022,2023),有馬記念(2022),ドバイシーマC(2023),
宝塚記念(2023),ジャパンC(2023),東京スポーツ杯2歳S(2021)

 世界の至宝 イクイノックス

    かつて世界的な名馬といえば、ヨーロッパやアメリカの大レースを勝った馬たちのことだった。バブル以降、お金にあかせてそれらの馬たちを種牡馬として購入し、日本は名馬の墓場だといわれたこともあった。しかしその中から血統を残す馬たちが出てきて、今の日本競馬の隆盛につながっている。
    そしてついに世界的な名馬が日本から生まれた。それがイクイノックスだ。2023年のドバイシーマクラシックを3馬身半差で逃げ切ったイクイノックスは、4月に「ロンジンワールドベストレースホースランキング」でレーティング129を獲得して世界No.1の評価を得た。それは引退するまで変わらず、日本国内で世界最強馬の走りを見ることができたのである。

    2歳(2021年)

    イクイノックスがデビューしたのは、2021年8月28日。新潟芝1800mの新馬戦だった。
    のちに世界最強になるとはいえ、デビュー時はそれほど期待が高かったわけではなく、4.6倍の2番人気。しかも木村哲也調教師が、所属騎手へのパワーハラスメントが認定されて調教停止処分を受けたことにより、一時的に岩戸孝樹厩舎に転厩となっており、デビュー戦は岩戸厩舎の所属馬として走った。
    ルメール騎手を鞍上に先行したイクイノックスは、直線内から抜けて後続を突き放すと、6馬身差で圧勝。ちなみにこのレースは、のちに阪神JFを勝つサークルオブライフ(3着)や交流重賞を3勝してチャンピオンズCや東京大賞典2着のウィルソンテソーロ(6着)なども出ており、決してレベルが低いわけではなかった。

    11月から木村厩舎に戻ったイクイノックスは、2走目に東京スポーツ杯2歳Sに出走する。ここでは新馬戦の勝ち方を評価されて、2.6倍の1番人気となった。
    デビュー戦とは違って後方の内を進んだイクイノックスは、直線外に出すとじわじわと追いこんできて、最後は力強く抜け出して32.9の上りで2馬身半差をつける強い勝ち方。このパフォーマンスにより、各社の出す2歳牡馬ランキングでは、軒並み1番の評価を得ることになった。

    そのため次走がどこになるかが注目されたが、暮れの朝日杯フューチュリティSやホープフルSにその姿はなく、真の実力がわからないまま3歳を迎えることになった。

    3歳(2022年)

    2010年代から、クラシックを狙う有力馬は前年12月のホープフルSや2月の共同通信杯あたりで連対すれば直行するケースが多くなり、トライアルの弥生賞やスプリングSは王道路線ではなくなってきた。そのためイクイノックスも共同通信杯あたりを使うかと期待していたが、どこにもその姿は現れず、結局ぶっつけで皐月賞に出走するというローテーションを陣営は選択してきた。
    しかし間隔をあけて臨むのがトレンドとはいえ、さすがに前年11月から5か月ぶりの出走での好走は例がない。右回りも小回りコースも初ということもあり、2歳時の評判も時の経過とともにやや落ちて、イクイノックスは5.7倍の3番人気という評価に落ち着く。1番人気は武豊騎手に初の朝日杯FS勝ちをもたらしたドウデュース(3.9倍)。上位人気馬では唯一トライアルを使い、弥生賞クビ差2着からの参戦だった。
    この年はG1があれていたこともあって、皐月賞も単勝1桁人気が6頭もいる混戦模様。しかし7番人気は15.5倍とやや離れており、実質的には6頭の争いという感じだった。

    大外18番枠からスタートしたイクイノックスは、ルメール騎手がやや掛かるのを抑えながら、中団から徐々にポジションをあげていく。そのまま馬なりで4コーナー先団に取り付くと、残り200mを過ぎて先頭に立つが、外から追いすがってきた同厩舎のジオグリフ(5番人気)との追い比べとなる。いったんは突き放すがゴール直前でジオグリフにかわされて、1馬身差2着に終わった。
    初の敗戦となったが、5か月の休み明けということを考えると、力のあることを示したレース内容でもあり、決して悲観するような結果ではなかった。

    イクイノックス
    イクイノックス 2022年4月17日 皐月賞出走時 中山競馬場

    1戦使って強いパフォーマンスを見せたことと、東京実績があることもあり、次の日本ダービーではイクイノックスは3.8倍の2番人気となる。1番人気は共同通信杯で1番の上りでジオグリフに勝ち、皐月賞は4着のダノンベルーガ(3.5倍)。
    個人的には東京実績のあるドウデュース、イクイノックス、ダノンベルーガの3つ巴だと思ったが、木村調教師のイクイノックスよりジオグリフというニュアンスの発言にも惑わされ、結局4頭ボックスという弱気な買い方になってしまった。

    再び大外18番から出たイクイノックスを、ルメール騎手は下げて後ろから3番手を追走。直線は大外に出して、すぐ前から先に抜け出したドウデュースを懸命に追う。最後までじりじりと伸びて差を詰めるが、クビ差まで迫ったところがゴール。1番の上り33.6を繰り出すが1歩及ばなかった。
    4戦2勝でクラシックは2戦とも2着と優秀な成績ではあったが、勝つことはできず、なんとももどかしい成績で、イクイノックスの3歳春は終わった。

    イクイノックス
    イクイノックス 2022年5月29日 日本ダービー出走時 東京競馬場

    夏休みを挟んで次にイクイノックスが出走したのは天皇賞(秋)。菊花賞は距離が長いという判断があったのだろう。
    ここでイクイノックスはG1未勝利で古馬とは初対戦、かつ5か月の休み明けでありながら、2.6倍の1番人気に支持される。対する古馬代表は前年のダービー馬でドバイシーマクラシックも勝ったシャフリヤール(4.4倍)や札幌記念を勝ったジャックドール(5.0倍)だったが、安定感や実績から当然の評価と思えた。

    スタートでやや挟まれたイクイノックスは中団外を追走するが、ドバイターフを逃げて同着優勝したパンサラッサ(22.7倍 7番人気)が押してハナを主張し、向こう正面ではどんどん後続を引き離していく。その1000m通過は57.4と1998年に逃げた快速馬サイレンススズカと全く同じタイム。さすがに後続の各馬は控えて、4コーナーを回る時点では3秒以上の大差をつける一人旅。どう見てもオーバーペースに見えたが、直線に入ってもパンサラッサのペースは衰えず、大きな差をつけたままゴールを目指す。
    対するイクイノックスは直線に入ってすぐに外に持ち出すと、懸命にパンサラッサを追う。残り200mを切って2番手に上がるが、まだパンサラッサとの差は2秒近く開いていた。そこから目の覚めるような末脚を繰り出したイクイノックスは、さすがに脚の上がったパンサラッサを猛追してゴール直前でかわし、1馬身差をつけてゴール。春の雪辱を果たし、初のG1制覇となった。

    グレード制導入後、3歳で天皇賞(秋)を制したのは4頭目だが、1番人気で勝ったのは初で、これも快挙といえるだろう。また父キタサンブラックにも産駒の初G1制覇という称号を贈ることになった。

    イクイノックス
    イクイノックス
    イクイノックス
    イクイノックス 2022年10月30日 天皇賞(秋)出走時 東京競馬場

    イクイノックスは常に一所懸命に走るので一度走るとダメージが大きく、前走との間隔を十分あけながら出走してきた。それもあってジャパンCは見送って、次走は有馬記念となった。
    この年の有馬記念は3歳クラシック勝ち馬の名前はなかったものの、7頭のG1ホースが顔をそろえた。その中でイクイノックスは天皇賞(秋)のパフォーマンスも評価されて2.3倍の1番人気。対する古馬代表は、その年の天皇賞(春)、宝塚記念を圧勝して上半期の時点では現役最強の呼び声も高かったタイトルホルダー(3.6倍 2番人気)だった。しかしタイトルホルダーは遠征した凱旋門賞で11着と大敗し、その帰国初戦と不安を抱えての出走だった。
    以下、エリザベス女王杯を勝ったジェラルディーナ、ジャパンCを勝ったヴェラアズール、前年の勝ち馬で年度代表馬になりながら、この年は不振にあえぐエフフォーリアと続いた。

    個人的にも勝つのはイクイノックスかタイトルホルダーだと思った。ところがパドックで見たタイトルホルダーは、宝塚記念に比べるとトモの送りや前肢の出にややスムーズさを欠いてこじんまりと見えたのに対して、イクイノックスは適度な気合乗りでトモの送りもスムーズで力強く、天皇賞(秋)と同様に好調に見えたのである。そのため馬券はイクイノックスから買うことにした。

    レースではタイトルホルダーが懸命に押してハナを取りに行ったのに対して、イクイノックスは中団後方の外を折り合って追走。そのままの態勢で2週目の3コーナーまで行くと、そこからイクイノックスは外を通って一気に進出開始。4コーナーでは4,5頭分外ながら早くも先頭のタイトルホルダーに並びかる。
    そこからイクイノックスが前に出ると、先行していたタイトルホルダーやディープボンドなどは失速。唯一後方から早めに追ってきたボルドグフーシュが追いすがるが、3馬身ほど後方。イクイノックスのルメール騎手は1発だけムチを入れ、余裕の脚色で突き放すと2 1/2馬身差で圧勝した。

    これでG1 2勝となったイクイノックスは、クラシックの勝ち馬たちをおさえて最優秀3歳牡馬となり、また歴戦の古馬もおさえて年度代表馬のタイトルも獲得。名実ともに現役最強馬となった。

    4歳(2023年)

    古馬となったイクイノックスは、初戦をドバイシーマクラシック(3/25 メイダン競馬場 芝2410m)として、初の海外遠征を敢行した。

    前年の覇者シャフリヤールやBCターフ勝ち馬レベルスロマンスなどを抑えて1番人気となったイクイノックスだったが、ルメール騎手は好スタートから他馬が行かないと見ると、自身初めてとなる逃げの手に出る。
    9頭を引き連れて逃げたイクイノックスは、しっかりと折り合って1~2馬身差で先頭をキープ。直線に入ると他馬が懸命に押す中で、馬なりで突き放していく。残り300mで追い出すと、一気に5馬身以上に差を広げてセーフティリード。最後は抑える余裕で、その年の凱旋門賞で2着となるウエストオーバーに3 1/2馬身差をつける圧勝でのゴールとなった。勝ちタイムは、それまでの記録を1秒も短縮する2.25.65のレコード。世界に衝撃を与える走りだった。

    1月に発表された2022年ロンジンワールドベストレースホースランキングで、3位ながら上位2頭が引退したため現役では1位となっていたが、その後発表されたランキングではドバイのパフォーマンスが評価されてレーティング129。2位のゴールデンシックスティに4ポンド差をつける堂々の1位となった。

    帰国初戦として陣営が選択したのが宝塚記念だった。
    前年の年度代表馬で世界相手に楽勝したイクイノックスにとって、国内に敵はいないだろうということで1.3倍の圧倒的な1番人気となった。初の関西遠征で、父キタサンブラックも勝てなかった特殊な阪神芝2200m。初めて背負う58kgや逃げた前走の影響、遠征による見えない疲れなどの不安をあげる声もあったが、前年秋以降のレースぶりを見れば、どれも杞憂に終わるだろうと、多くの人が考えていた。

    しかしそう簡単には終わらなかった。
    イクイノックスはスタートは5分に出たものの、外の馬に押し込められてポジションを下げてしまい、1コーナーは後方から2番手。そのまま後方を進み、3コーナーからポジションをあげていくものの、4コーナーは中団で大外を回すことに。
    基本的に先行有利な宝塚記念では、かなり不利な位置取りとなったが、直線でじりじりと伸びると残り200mで先頭。いつもどおり楽勝かと思ったが、内から1頭だけ鋭い脚で伸びてきた馬がいる。最後方にいた10番人気の牝馬スルーセブンシーズだ。
    外から伸びるイクイノックスに内から馬体を合わせに行き、クビ差まで迫ったところがゴール。スルーセブンシーズは、イクイノックスがあげた8勝のなかで、唯一タイム差なしに持ち込んだ馬となった。

    苦戦の理由としては、やはり遠征による疲れが考えられたが、それでも勝ちきるところがさすがと思わせた。

    夏を休養に充てて、すっかりリフレッシュしたイクイノックスの秋の目標は、早くからジャパンCと発表されていた。この年から賞金がさらに増えて、1着馬は5億円となったことが大きかったのだろう。
    直行するか、その前に使うか注目されたが、結局前年勝っている天皇賞(秋)から始動することになった。

    天皇賞(秋)は3歳馬の登録がなく、最終的にグレード制導入後では最少の11頭の出走となった。イクイノックスの前に多くの実績馬は戦わずして白旗をあげた印象で、令和となって初の天覧競馬だったが、やや盛り上がりに水を差すことになった。
    そんな中で、イクイノックスの有力なライバルと目されたのが、日本ダービーでイクイノックスを下しているドウデュースだった。単勝オッズはイクイノックス1.3倍に対してドウデュース4.3倍。3番人気以下は10倍を超えていたので、実質的に2強の評価だった。

    ドウデュースは日本ダービーを勝ったあと、秋は凱旋門賞に挑戦したが19着と大敗。2023年初戦の京都記念は快勝するも、遠征したドバイでは跛行で取り消しと順調に使えない中、立て直して7か月の休み明けで出走してきたのだった。
    しかし武豊騎手が5R後に騎乗馬に蹴られて足を負傷し乗り替わりとなってしまう。デビュー以来乗り続けてさまざまなことを把握しており、思い入れも強いだけに、その影響が心配された。

    レースはジャックドールがハナを切り、イクイノックスは好スタートから3番手につける。戸崎騎手に乗り替わったドウデュースはその直後でイクイノックスをマークするが、行きたがるのを抑えているように見える。
    ジャックドールは1000m 57.7とかなりのハイペース。そのまま直線に入ると、馬なりのイクイノックスに対して、後ろのドウデュースをはじめ各馬の騎手たちは懸命に追いだす。しかし余裕の脚色のイクイノックスは、残り400mでジャックドールを交わすと、先頭に立っていたガイアフォースを残り300m手前で交わし、あとは後ろを離す一方。
    残り200mでは3馬身ほど抜けて、そこからはムチを入れることもなく、ゴール前は流す余裕で、最後は追いこんできたジャスティンパレスに2 1/2馬身差をつける圧勝だった。ちなみにドウデュースは7着と、国内では初の着外となった。
    イクイノックスの勝ちタイムは1.55.2と従来の記録を0.9秒も上回るレコード。これは芝2000mの世界レコードでもあるという。逃げたジャックドールが最下位に沈む中、余裕で勝ちきったあたり、すでに常識を超えた強さであり、まさに衝撃の結果と言えるだろう。

    イクイノックス
    イクイノックス
    イクイノックス
    イクイノックス 2023年10月29日 天皇賞(秋)出走時 東京競馬場

    そして次走イクイノックスは予定通りジャパンCに出走する。驚異的なレコードで走った天皇賞(秋)から、自身初となる中3週での出走ということで、唯一の懸念となったのが反動がどうかということだった。一生懸命に走るため疲れが残りやすく、間隔をあけて出走してきたが、初めて間隔を詰めてレースに出るのだ。
    そしてライバルとして注目されたのが、この年の牝馬3冠を達成したリバティアイランドだった。2012年のジャパンCでその年の3冠牝馬ジェンティルドンナが、現役最強と言われたオルフェーヴルを破った例を引き合いに、勝つチャンスはあるのではという論調もあった。

    しかし個人的には、それらの懸念は無用ではと感じていた。まず中3週は最初から予定されていたことで、木村調教師をはじめ陣営は問題ないと判断したはず。またリバティアイランドの強さは認めるものの、この秋の最大目標は3冠を取るために秋華賞だったはずで、そこにピークを合わせていたのではと思われた。

    レースは予想通りパンサラッサが飛ばし、タイトルホルダーが2番手。イクイノックスはそれを見る3番手で、リバティアイランドはいつもより前目の4番手でイクイノックスをマークする形。パンサラッサは向こう正面では大逃げとなり、その1000m通過は57.6。これは天皇賞(秋)のジャックドール(57.7)より速く、さすがにもたないだろうと思われた。
    4コーナーを馬なりで回ったイクイノックスは残り400mで追い出すと、すぐにタイトルホルダーを交わして2番手。そのまま脚色の鈍ったパンサラッサにぐんぐんと近づいていく。リバティアイランドは4馬身ほど後ろでイクイノックスを懸命に追うが、その差は縮まらない。
    残り200m手前でパンサラッサを交わしたイクイノックスは、そのまま脚を伸ばすと余裕の1着ゴール。リバティアイランドはその影を踏むこともなく、4馬身差2着まで。

    勝ちタイムは2.21.8。2018年アーモンドアイの驚異的なレコードタイム(2.20.6)には及ばなかったが、それまでのレコードだった2.22.1(2005年ジャパンC アルカセット)はクリアし、勝ちタイムとしては歴代2位の優秀なものだった。

    そして戻ってくる途中で、鞍上のルメール騎手は何度も涙をぬぐっていた。インタビューでも触れていたが、世界最強をあらためて証明するような強いパフォーマンスとそのスピードに感動したとのこと。
    ルメール騎手の涙を見たのは、2020年の天皇賞(秋)でアーモンドアイでG1 8勝目を達成した時以来だったが、それに匹敵するほど心を動かされたのだろう。またこれがイクイノックスに騎乗する最後のレースになるということを感じていたのかもしれない。

    イクイノックス
    イクイノックス 2023年11月26日 ジャパンC出走時 東京競馬場

    イクイノックスはこれでG1 6連勝と、テイエムオペラオーロードカナロアの記録と並んだが、この両頭は合間に出走したG2で2着に敗れているので、純粋に無敗でG1を6連勝したのは史上初となった。またこの年から1着賞金が5億円になったことで、獲得賞金は22億円を超えて、それまでの最高だったアーモンドアイ(19億1,526万3,900円)を抜いて史上1位となった。

    後日発表された2023年ロンジンワールドベストレースホースランキングでは、ジャパンCでのイクイノックスの走りがレーティング135となり、2位のエースインパクトとモスターダフに7ポンド差をつける堂々の1位。これはエルコンドルパサーの134を超えて日本馬としては歴代1位であり、また世界1位は2014年ジャスタウェイ以来の2頭目の快挙となった。

    種牡馬として、その後

    ジャパンC後のインタビューで馬主のシルクレーシング米本代表は、まずは馬の状態を見たうえで、次走についてはいろいろな選択肢があると思うのでしっかり検討したいと話していたが、レースから4日後の11/30に、有馬記念は回避して引退することが発表された。
    秋2戦の疲労に加えて、種牡馬入りの高額オファーが理由だった。結局イクイノックスは社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることになり、初年度種付け料は2,000万円に設定された。初年度としてはディープインパクトコントレイルの1,200万円が最高だったが、それを800万円も上回る金額となった。
    また当年の種付け料は父キタサンブラックと並ぶトップタイで、それでも早々に満口となり、いかに期待が大きいかがわかる。

    個人的には現役を続行してアーモンドアイの芝G1 9勝を更新してほしい気持ちもあったが、すでに国内で狙うレースもなく、海外挑戦はリスクも大きいこともあって、妥当な判断だと思う。
    ただ近年は活躍した馬が早めに引退することが増えており、繁殖という大事な任務があることは理解しながらも、走る姿ももう少し見てみたいとも思ってしまう。
    しかし種牡馬入りが決まった以上は、今後の産駒の活躍を楽しみに待ちたい。