性別 | 牡 | 毛色 | 鹿毛 |
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生年月日 | 2012年3月10日 | 所属 | 栗東・清水久詞厩舎 |
父 | ブラックタイド | 母 | シュガーハート (母父:サクラバクシンオー) |
戦績 | 20戦12勝 (12・2・4・2) |
生産者 | 北海道日高 ヤナガワ牧場 |
馬主 | 大野商事 | 騎手 | 後藤浩輝、北村宏司、浜中俊、横山典弘、 武豊 |
おもな 勝ち鞍 |
菊花賞(2015),天皇賞(春)(2016,2017),ジャパンC(2016),大阪杯(2017) 天皇賞(秋)(2017),有馬記念(2017),スプリングS(2015), セントライト記念(2015),京都大賞典(2016) |
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競馬をやっていると、相性の悪い馬と出会うことがある。私にとってキタサンブラックは、相性が悪い馬としてまず思い浮かぶ中の1頭である。もちろん当たったこともあるのだが、買わずに勝たれたり、買ったのに連を外したりというレースの印象が強い。
父ブラックタイドについて
そしてキタサンブラックといえば、まず取り上げなければいけないのは父ブラックタイドだろう。ディープインパクトの全兄であり、スプリングSを勝った重賞勝ち馬ではあるものの、生涯であげた勝ち星はわずかに3。7歳まで現役を続けたものの重賞2勝目はあげられなかった。本来であれば種牡馬入りはかなわない成績だったが、弟の群を抜いた活躍の影響が大きかったのだろう。ディープインパクトと同じ血が安く手に入るという利点もあり、初年度は150頭に種付けを行うという人気種牡馬となった。
初年度産駒からテイエムイナズマがデイリー杯2歳Sを制するなど期待を集めたが、2023年までに重賞勝ち馬はわずかに6頭(18勝)。そのうち平地重賞を複数勝ったのはキタサンブラックのみで、ほかにタガノエスプレッソがデイリー杯2歳Sに加えて障害重賞を3勝したのが目立つぐらい。全弟のディープインパクトとは、競走成績も種牡馬成績も比べるべくもない状況となっている。
そんな中で唯一の光と言えるのが、キタサンブラックの活躍だろう。ディープインパクト産駒がなしえなかった芝G1 7勝を獲得したのだから。同じ血統でありながら、ブラックタイドがこれだけ異なる種牡馬成績を残していることはとても興味深いが、キタサンブラックを通してその血を残していっているという意味では、この血筋の偉大さを物語っているように思われる。
3歳(2015年)
キタサンブラックのデビューは、2015年1月31日の東京芝1800m新馬戦。7.9倍の3番人気と、それほど期待が大きかったわけではないが、後藤騎手鞍上で後方から1 1/4馬身差でデビュー勝ちを収める。そこから北村宏騎手に乗り替わり、東京芝2000m500万下、皐月賞トライアルのスプリングSと無傷の3連勝。クラシック有力候補の1頭となる。
この2戦とも先行して押し切っており、先行有利の中山向きとの評価もあって、皐月賞では4番人気に支持される。
しかし気になったのは、母父サクラバクシンオーの存在だった。サクラバクシンオー産駒といえば短距離で活躍する馬が多く、母シュガーハートは未出走のため距離適性はわからなかったが、どうしても短距離向きのイメージがぬぐえない。
スプリングSを勝ったとはいえ、スローを先行して上りもかかってリアルスティールにクビ差まで詰められており、インパクトのある勝ち方とは言えない。そのあたりが、無敗でトライアルを勝ちながら4番人気にとどまった原因かもしれない。
初騎乗の浜中騎手は、キタサンブラックを2番手から進める。直線に入ってリアルスティールと馬体をあわせて逃げたクラリティスカイを追うが、いったんはリアルスティールに前に出られる。そこから再度リアルスティールに迫る根性を見せたが、最後は脚色が鈍ると差してきたドゥラメンテにまとめて交わされ、リアルスティールにも差を広げられて3着に終わった。
この結果を見て、やはりキタサンブラックは2000mがぎりぎりで、もっと短い距離の方が合うという判断をしてしまった。これがのちのちまで尾を引くことになるキタサンブラックとの相性の悪さの、大きな一因となったのである。
次走の日本ダービーは、2勝をあげた北村宏騎手とのコンビが復活するが、皐月賞の結果を受けて6番人気。東京はそれまで2戦2勝と相性がよく無視できないが、距離不安と先行して粘る脚質から、連下までと見ていた。
レースではスムーズに2番手を追走するが、1000m58.8のハイペース。直線に入って早めに追い出すが、残り300mでドゥラメンテにかわされると大きく失速。2.3秒差14着と初めての大敗に終わった。
これで私の中では、キタサンブラックは1800mまでの馬という評価が固まったのである。
キタサンブラック 2015年5月31日 日本ダービー出走時 東京競馬場
それまでと違ってやや下げた好位内を進むキタサンブラックは、折り合いも問題なくスムーズな走り。向こう正面で後続の馬たちが次々に前に行くが動ずることなく、どんどんポジションが下がっていく。
しかし直線に入って最内を突くと末脚を発揮し、残り200mで外から伸びてきた1番人気のリアファルと並んで先頭争い。ゴール前でリアファルを競り落として先頭に立つと、差してきたリアルスティールをクビ差抑えてG1初制覇を飾った。
距離不安から無印にしたキタサンブラックが、3000mの菊花賞で力強い勝ち方をしたことにとても驚かされたが、中距離で好走してきたリアルスティールと差がないこともあり、私の中では距離適性への疑問は解消されなかった。近年は中距離馬であっても、菊花賞を勝つことは珍しくないと思いこもうとしたのかもしれない。
ただしサクラバクシンオーの血が入っているからといって、距離がもたないと言えるほど血統は単純ではないということは、身に染みて思い知らされた。
表彰式のあとのインタビューでは、北村宏騎手に続いて馬主の北島三郎氏が登場。自身初のG1勝ちということで感極まった様子。「まつり」のサビの部分を歌って大いに盛り上がった。以降、G1の表彰式ではこれが慣例になって、キタサンブラックの人気に拍車をかけていくことになる。
次走はファン投票3位に支持された有馬記念。北村宏騎手が落馬負傷のため横山典騎手に乗り替わり4番人気。うまくスローで逃げて、残り100mぐらいまで先頭で粘るが、最後はゴールドアクター、サウンズオブアースにかわされて3着。しかしゴールドアクターとは1馬身差で、古馬一線級とも十分に戦える力をつけてきたことを印象付けた。
4歳(2016年)
2016年の初戦はG2産経大阪杯となった。ここで鞍上は武豊騎手となり、以後引退するまでこのコンビは継続する。うまくスローで逃げるが、アンビシャスに差されてクビ差2着。続く天皇賞(春)は有馬記念で敗れたゴールドアクターに次ぐ2番人気。
うまくスローで逃げて直線は後続を突き放すが、先行していた13番人気のカレンミロティックが追いすがってくる。そしていったんは交わされるが、そこから粘って盛り返し、並んだところがゴール。写真判定となるが、数cmの差でキタサンブラックが差し返していた。
この勝利で3000m超のG1を2勝となり、ようやく距離不安を言われなくなるとともに、その勝負根性のすごさをたたえられることになった。
また血統的にもステイヤーとは言えないため、オールラウンダーとしての活躍も期待されるようになっていく。
次走の宝塚記念は、クラシックで歯が立たなかったドゥラメンテが圧倒的な1番人気で、キタサンブラックは差のある2番人気。以前は距離不安がささやかれていたが、ここでは逆に長距離のみの実績が嫌われた面もあり、皮肉な状況だった。
やや重の馬場を、速めのペースで逃げたキタサンブラックは、直線も突き放して逃げ込みを図るが、粘り切れずにゴール直前でマリアライトに交わされると、追いこんできたドゥラメンテにもハナ差で敗れて3着。
先行馬では唯一上位と力は示したが、中距離の上り勝負では分が悪いという面も見せてしまった。中距離のレースをいかに勝つかということが、大きな課題となったのである。
少しでも距離の長いレースの方が有利という判断もあったのだろう。秋初戦は芝2400mの京都大賞典に出走。1.8倍の圧倒的人気に支持され、2番手からクビ差で辛勝する。
続いては2000mの天皇賞(秋)ではなく2400mのジャパンCを選び、3.8倍の1番人気。しかしリアルスティール、ゴールドアクターと差がなく3強という形になり、安定感は評価するものの、直線の長い東京のレースで、はたして粘れるのかというのが大方の見方だった。
それに対する武豊騎手の戦法は、スローに落として逃げることだった。1000m1.01.7の流れを作ると、馬なりのまま馬場の良い外目を通って直線へ。残り400mで追い出すと、一気に差を広げてゴールを目指す。サウンズオブアースやシュヴァルグランが最後に後方から差を詰めてくるが、ゴール前で再度突き放したキタサンブラックが2 1/2馬身差をつけて悠々と1着でゴール。
見ていて印象的だったのは、まず折り合いだった。スローペースで行きたがる馬が多い中、騎手の指示に忠実に折り合うキタサンブラックの姿は、競走馬の理想的姿ともいえるだろう。またスタミナと勝負根性も兼ね備えていることは、ここまでのレースでも証明されている。
楽に逃げられたという面もあったが、東京の直線で逃げて後続を突き放すのは力がないとできないことで、成長して完成の域に達してきたという印象を与える勝ち方だった。
キタサンブラック 2016年11月27日 ジャパンC出走時 東京競馬場
ずっとキタサンブラックが1番人気だったのだが、発走直前で逆転。とはいえ、その年の菊花賞を圧勝したサトノダイヤモンドが2.6倍で、キタサンブラックが2.7倍と差のない状況。3番人気以降はやや離れて、2強対決となった。
1枠1番と絶好枠を引いたキタサンブラックは、マルターズアポジーを行かせて離れた2番手。1000mは1.01.0と遅めで、キタサンブラックには絶好の流れとなる。ところが向こう正面で、中団にいたサトノダイヤモンドがキタサンブラックに並びかけてきてプレッシャーをかけたことで、徐々にペースが上がる。
4コーナーでマルターズアポジーをとらえて先頭に立ったキタサンブラックに、前年の覇者ゴールドアクターが並びかけるが、持ち前の勝負根性で抜かさせず先頭をキープ。そのまま逃げ込みを図るが、ゴール直前で外から差してきたサトノダイヤモンドにクビ差かわされて惜しい2着に終わった。
最後まで末脚は衰えず、力負けではなかったが、サトノダイヤモンドの切れる脚に離れた外から一気に交わされてしまった。並ぶとしぶといキタサンブラックの長所をわかっていた、サトノダイヤモンドのルメール騎手のファインプレーともいえるだろう。
キタサンブラック 2016年12月25日 有馬記念出走時 中山競馬場
5歳(2017年)
5歳となった2017年、キタサンブラックの初戦は、この年からG1に昇格して名前も変わった大阪杯。しかし古馬になってからは2400m未満のレースは勝てておらず、中距離への対応が焦点となった。大きく逃げるマルターズアポジーの3番手を楽に追走すると、早めに前を捕まえに行って残り250mで先頭。そのまま後続を抑えて3/4馬身差でG1 4勝目を飾るとともに、2000mでも問題なく勝てることを示した。
そして次走は連覇を狙う天皇賞(春)となった。
すでに中長距離G1で実績を残すキタサンブラックだったが、唯一前に立ちふさがったのが前年の有馬記念でキタサンブラックを破り、さらに前走阪神大賞典を1 1/2馬身差で勝ってきたサトノダイヤモンドだった。両頭とも長距離実績は問題なく、まさに雌雄を決する場となった。
実際に2頭の評価は甲乙つけがたく、その人気はたびたび入れ替わったが、最終的にはキタサンブラックが2.2倍の1番人気で、サトノダイヤモンドが差なく2.5倍の2番人気。3番人気はシャケトラの9.9倍と大きく離れ、まさに2強対決となった。
2強並び立たずは馬券の常識とは言え、ここでは2頭で仕方ないだろうと、その馬連は2.5倍の低倍率。正直この2頭以外が勝つシーンは想像できず、どちらがどのような勝ち方をするのかが焦点と思っていた。
レースでは好スタートのキタサンブラックが離れた2番手を進み、サトノダイヤモンドは中団。1000mはヤマカツライデンが飛ばして58.3のハイペースとなったが、2番手のキタサンブラックは平均ペース。
余裕の脚色で4コーナー手前で先頭に立つと、後続を2,3馬身突き放す。サトノダイヤモンドが差を詰めてくるが残り200mを切ってやや脚色が鈍り、結局キタサンブラックが先頭を譲らず1着でゴール。サトノダイヤモンドは内のシュヴァルグランを交わせず3着に終わった。
勝ちタイムは、破るのが難しいと思われていたディープインパクトのレコードを、0.9秒も更新する3.12.5。スピードとスタミナを兼ね備えた、サラブレッドの理想像にまた一歩近づいた印象だった。
この勝利でキタサンブラックは天皇賞(春)連覇を達成し、大阪杯勝利と合わせて芝中長距離での現役最強の評価が高まった。それを確かなものにするためにも、春のグランプリ宝塚記念では強い勝ち方が期待された。
さらにサトノダイヤモンドが凱旋門賞を目指すために早々に回避を決め、その後も有力馬の回避が出て11頭立てとなったこともあり、キタサンブラックの人気は一本かぶりとなり1.4倍。個人的にもここは楽勝するだろうと思っていた。唯一の不安は、長距離をレコードで駆けた反動だけだった。
しかしその不安が現実となる。
3番手から進めたキタサンブラックは、4コーナーを余裕の手応えで回ると、外から前のシャケトラに並びかける。しかし残り300mを切ったあたりで外によれると、手応えが悪くなり後続に次々と抜かれてずるずると後退。それは2年前のダービー以来見たことがない、ショッキングな姿だった。
結局1.3秒差の9着に終わり、生涯2度目の大敗を喫する。これで秋に予定されていた凱旋門賞へのチャレンジは白紙になり、同じく期待されていた芝G1 8勝にも黄信号が灯った。また個人的にもキタサンブラック圧勝に賭けていた馬券が紙くずとなって、相性の悪さを再度実感することになった。
秋初戦は、前年は出走しなかった天皇賞(秋)。ここでの焦点は、宝塚記念大敗の影響はどうかということだった。巷間では天皇賞(春)をレコードで走った反動が原因ではという声が大きかったが、果たしてそれが解消されているのか。
また当日は台風の影響で激しい雨が降り、あいにくの不良馬場。やや重までしか経験のないキタサンブラックが対応できるのかという心配もあった。
それでもキタサンブラックは1番人気に支持されたが、倍率は3.1倍と前年のジャパンC以来の久々の3倍越えとなった。
スタートが決まらず後方からになったキタサンブラックだが、武豊騎手は慌てず内ラチ沿いに誘導する。馬場が悪い内を避けて外を通る馬が多かったので、空いた内を通って徐々に前に押し上げていく。3コーナーでは5番手に上り、4コーナー2番手から直線は早めに先頭に立つと、馬場の良い中央に持ち出して一気に抜け出す。
最後はやや外によれて、内に切り替えたサトノクラウンの猛追を受けるが、クビ差抑えて復活の勝利。G1 6勝目をあげるとともに、史上5頭目の天皇賞春秋制覇の偉業達成となった。
不良の天皇賞(秋)は1991年以来だったが、この年はメジロマックイーンが6馬身差で1位入線したものの、進路妨害で18着に降着。武豊騎手は大いに悔しさを味わったはずだが、さすが名手と言われる騎乗で勝ったことで、少しはそのリベンジができたのかもしれない。
この年の有馬記念での引退が決まっていたキタサンブラックは、G1 8勝を達成するためにはジャパンC、有馬記念と連勝する必要がある。そして天皇賞(秋)の勝利により、一度はついえたかと思われた夢の記録達成の可能性が、再び高まってきた。
そのジャパンCで新たな敵は、3歳のダービー馬レイデオロぐらいで、あとはいずれも何度も下している古馬が多く、キタサンブラックは2.1倍の1番人気に支持される。
久しぶりに逃げたキタサンブラックは、1000m1.00.2と絶好のペースを刻む。
そのまま直線は馬場中央で後続を突き放したキタサンブラックは、いったんは2馬身ほど抜け出すが、残り100m手前でシュヴァルグランに交わされ、さらにゴール直前でレイデオロにも差されて3着に終わった。
芝G1 8勝の可能性はなくなったが、有馬記念ではキタサンブラックが最後に勝利をあげて引退の花道を自ら飾ることができるかが関心の的となった。馬主の知名度もあり、NHKでも特集番組が放送されるなど、キタサンブラックは競馬ファン以外にも広く名前を知られるようになっていたのである。
ただこの年G1を勝った馬の参戦は、キタサンブラック以外は宝塚記念のサトノクラウンとジャパンCのシュヴァルグランのみで、3歳クラシックの勝ち馬の出走はなしと、やや手薄なメンバー構成。
天皇賞(秋)の不良馬場での激走の影響とジャパンCで3着に敗れたことや、有馬記念は3,2着と勝てていないことなど心配もあったが、キタサンブラックはG1 7勝の期待も込めて1.9倍の1番人気となる。
個人的にも先行有利の中山競馬場芝2500mという舞台と、引退レースに向けた厩舎の渾身の仕上げを反映した力強い最終追切、また前年のレースも前走のジャパンCも負けてなお強しというレースぶりだったことを考えると、ほぼ大丈夫だろうと思っていた。
レースでは、キタサンブラックが無理なく先頭にたつと競りかける馬もなく、1000mは1.01.6と絶好のマイペース。そのまま淡々と馬群を引っ張ると、直線に入って一気に後続を引き離す。外から差してきたスワーヴリチャードが斜行して馬群がごちゃつく不利も我関せず、最後は2着クイーンズリングに1 1/2馬身差をつけて、危なげなく逃げ切った。
キタサンブラック 2017年12月24日 有馬記念出走時 中山競馬場
正直言って3歳時にはここまでの馬になるとは思っていなかったが、関係者と馬自身の努力のたまものなのだろう。その姿は、苦労して芸能界で登りつめたオーナーの北島三郎氏と重なるものがあり、そのあたりも人気になった要因の一つだと思う。
種牡馬として
2年連続の年度代表馬となったキタサンブラックは、社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。必ずしも超良血とは言えない血統だが、現役時代の活躍もあり2018年の種付け料は500万円とオルフェーヴルやダイワメジャーと並ぶ比較的高い設定となり、130頭と多くの牝馬を集める。しかしその後は種付け頭数の減少にともない種付け料も徐々に下がり、2021年は300万円となった。
ところが初年度産駒のイクイノックスが2021年の東スポ杯2歳Sで初重賞制覇を飾ると、そのレースぶりが強い印象を残したことで、キタサンブラックの評価も上がる。
さらにイクイノックスは2022年春のクラシックで連続して2着に好走した後、天皇賞(秋)、有馬記念と連勝して年度代表馬に選ばれ、一気に種牡馬キタサンブラックの名を高めた(2023年の種付け料は1,000万円)。
それは2世代目の産駒でも続き、ソールオリエンスが無敗で2023年の皐月賞を制してダービーも1番人気2着と好走。
産駒がまんべんなく走るというよりも、少数の産駒が卓越した能力を示すというタイプの種牡馬だが、その少数の活躍がインパクトが大きいため、より印象が強くなる。
その意味では、現役時代以上に意外性のある種牡馬と言えるかもしれない。今後の産駒の活躍が楽しみである。