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2011年12月31日

2011年を振り返る&JRA賞を占います

2011年の競馬も終了しました。そこで、今年を振り返るとともに、JRA賞を個人的に予想してみたいと思います。

今年はなんといっても3/11の震災の影響が大きく、特に東日本では約1ヵ月半、開催がすべて中止となり、クラシックのトライアルを含めて主要なレースはすべて関西で行われました。その影響を受けた人馬は、少なくなかったのではないでしょうか。
そんな中、3/26に行われたドバイWCでの、ヴィクトワールピサとトランセンドのワンツーフィニッシュは、競馬ファンのみならず、多くの日本人に希望と勇気を与える走りだったと思います。
また2005年のディープインパクト以来となる牡馬クラシック3冠を、オルフェーヴルが達成したのも、明るい話題でした。過去の3冠馬とは異なり、皐月賞までは3冠を取るとはほとんどの人が思っておらず、急激に成長したというのも、特徴的だったと思います。
それでは、それぞれの部門ごとに振り返ってみます。

まずは確実なところから。
●最優秀2歳牡馬
これはアルフレードで問題無しですね。ラジオNIKKEI杯が1勝馬のアダムスピークの優勝に終わり、札幌2歳Sの覇者グランデッツァが3着に終わったこと。また札幌2歳Sで3/4馬身差3着のマイネルロブストが、朝日杯FSでは2馬身差の2着だったことからも、朝日杯を圧勝したアルフレードは、世代トップ評価でいいと思います。

●最優秀2歳牝馬
阪神JFを勝ったジョワドヴィーヴルは2戦2勝とキャリアが浅いですが、世代のトップクラスはほぼ集まっていたことと、そこで2馬身半差で圧勝したことで、これも文句なしでしょう。

●最優秀3歳牡馬
これはクラシック3冠+有馬記念を勝ったオルフェーヴルしかないでしょう。G1勝ちということでは、NHKマイルCのグランプリボス、春に安田記念で古馬を破ったリアルインパクトもいますが、複数のG1を勝ち、かつ最後に古馬の一線級をまとめて下したのは大きいです。

●最優秀4歳以上牝馬
G1を勝ったのは、ヴィクトリアMのアパパネ、スプリンターズSのカレンチャン、JCのブエナビスタですが、ブエナビスタはヴィクトリアM、宝塚記念の2着があり、またJCでG1勝ちの一線級の牡馬や外国馬を下していることから、2年連続でこのタイトルを取るのは、ほぼ間違いないところだと思います。

●最優秀短距離馬
スプリントおよびマイルG1は、すべて勝った馬が異なるので、その意味では混戦ですが、サマースプリントシリーズで2勝して2位になり、その後スプリンターズSを勝ったカレンチャンが安定した成績を残しており、最もふさわしいと思います。

こうやって見ると、昨年に引き続いて牝馬の活躍が目立った年と言えると思います。ウオッカ、ブエナビスタと引き継いできたこの流れを、来年はジョワドヴィーヴルが受け継いでいくのでしょうか。注目したいと思います。
では以下は、ちょっと迷うところを。

●最優秀3歳牝馬
3冠すべて異なる馬が制し、かつそれぞれの馬が他のレースでは活躍していないので、人によって見解が分かれると思います。ただし秋華賞を制したアヴェンチュラがエリザベス女王杯でも2着と好走しており、また春のクラシックは怪我で不出走だったということから、ここはアヴェンチュラが一番ふさわしいと思います。

●最優秀4歳以上牝馬
芝のG1を2勝以上した馬が不在で、ここが最も悩ましいと思います。ただ、どうしても春秋の天皇賞とJC,有馬記念が重視される傾向から、天皇賞(秋)を勝ち、JCで2着に好走したトーセンジョーダンが最もふさわしいのではないでしょうか。ダートでもということであれば、トランセンドという線もあると思いますが。

●最優秀ダートホース
JRAでダートG1を3勝したトランセンドと、交流G1を3勝したスマートファルコンの一騎打ちです。帝王賞の大差勝ちと、直接対決のJBCクラシックで勝っていることから、成績的にはスマートファルコンですが、昨年同様にJRAのレースに1回も出ていないのがネックです。それに東京大賞典のレースぶりから、絶対的な強さという感じでもないので、やはりトランセンドということになるのではないでしょうか。

●最優秀障害馬
中山GJを勝ったマイネルネオスと柴田大騎手は感動的でしたが、暮れの中山大障害では4着に敗れてしまいました。その中山大障害を勝ったのは、柴田大騎手で東京ジャンプSと東京ハイJを勝ったマジェスティバイオ。初のJ・G1制覇となった山本騎手はしきりと代打騎乗を強調していましたが、お手馬が重なった柴田大騎手も複雑でしょう。
ということで、重賞勝ち数から、ここはマジェスティバイオだと思います。

そして年度代表馬ですが、これはクラシック3冠+有馬記念を制したオルフェーヴルで間違いないでしょう。過去に3冠+有馬記念を制したシンボリルドルフもナリタブライアンも、その年の年度代表馬に選ばれています。
逆に古馬陣の層が薄いのが気になるところです。特に期待された4歳牡馬が振るわず、G1勝ちは天皇賞(春)のヒルノダムールとマイルCSのエイシンアポロンの2頭のみ。2012年もオルフェーヴルの活躍を許すことになってしまう可能性が高いです。
まあすでに国内には敵がいない状況でもあり、海外での活躍もぜひ期待したいと思います。

2011年12月25日

瞬発力も持続力も兼ね備えた強さ ~有馬記念

今年の有馬記念は、途中で14秒台のラップが2回も続く超スローペースとなりましたが、後方から外を差してきたオルフェーヴルが、クラシック3冠に続くG1 4勝目を飾りました。

有馬記念が行われる中山競馬場といえば、最後の直線が短く、先行有利が常識。しかもそこで超がつくスローペースとなれば、逃げ先行馬の独壇場となるはずでしたが、オルフェーヴルは向こう正面までは後方から3番手。3コーナーから外を通って進出するも、4コーナーでは中団の7,8番手。楽に逃げたアーネストリーは、してやったりだったのではないでしょうか。またいつもよりも前につけたブエナビスタも、狙い通りといったイメージでした。

しかし直線に入るとアーネストリーは伸び一息。さらにブエナビスタは内でまったく伸びず、ずるずると後退していきます。
代わって好位にいたエイシンフラッシュが、手ごたえよく伸びてくるかと思ったところを、外からオルフェーヴルがまとめて交わして一気に伸び、最後は抑えるような余裕で優勝しました。

オルフェーヴルといえば、後方から伸びてきて長くいい脚を使うイメージで、皐月賞や菊花賞ではぐんぐん加速して、後続の馬を置き去りにして勝ちました。逆に言うと直線の短い中山では、そういういい脚を長く使うことが難しく、そこがネックになるのではとも思われました。
実際に超スローペースを後方から進めた前半は、大丈夫かと心配になりました。
しかし4コーナー手前からスパートして、直線では一気に差を詰めて逆転するという瞬発力を見せて、着差以上の強さを見せ付けました。

瞬発力のある馬は、ハイペースのレースを後方からまとめて交わして勝つのは得意でも、スローだと脚の使い方が難しく、脚を余したりゴール前で失速したりすることがあります。逆に長くいい脚を使う馬は、スローを差しきるのは得意でも、ハイペースだと前と脚色がいっしょになったり、後ろから切れる馬に差されたりということもあります。
オルフェーヴルの強さは、それを両方兼ね備えていることにあるのではないでしょうか。ある意味、理想的なサラブレッドの姿といえるかもしれません。

すでに国内には敵がいないという状況で、2012年はオルフェーヴルの年となる可能性が高いでしょう。もちろん2011年の年度代表場もほぼ確定で、今年もオルフェーヴルの年だったと言えるでしょうけど。
来年は凱旋門賞に挑戦するというプランもあるとか。ぜひ、ディープインパクトでも果たせなかった夢を、実現させて欲しいと思います。


それにしても、残念だったのはブエナビスタの失速。うまく先行して、直線はオルフェーヴルとの一騎打ちかと思ったのですが、まったく伸びを見せることなく7着に沈みました。
昔から引退レースの牝馬は買ってはいけないと言われますが、やはりJCの辛勝で最後の力を使い果たしたのでしょうか。さらにもうひとつというのは、ちょっと酷だったかなという気もします。
今後は、母ビワハイジの後継として、自らを越えるような子供たちをターフに送り込んでくれることを期待して待ちたいと思います。
お疲れ様でした。

2011年12月18日

2歳牡は牝馬に続いて無敗のスター誕生 ~朝日杯FS

先週の阪神JFで2戦2勝の2歳女王が誕生したと思ったら、今週の朝日杯FSではアルフレードが3戦3勝の無敗の2歳王者となりました。
無敗での優勝は、最近では2009年のローズキングダム以来とのことですが、さかのぼればアドマイヤドン、グラスワンダー、フジキセキ、ミホノブルボンなどそうそうたる馬たちがいるわけで、それらに続くということは、ある程度将来の活躍を約束されたといえるのかもしれません。

今回アルフレードは1番人気には支持されたものの、その単勝は3.1倍と微妙なもので、全幅の信頼を得ていたわけではありません。その理由としては、やはりオープン実績がないということがあったと思います。
新馬と500万下を勝っただけで、強いメンバーとの戦いはここが初めて。前走の上がりが32.5というのは2歳馬としては驚異的ですが、時計の早い新潟で記録したものなので、時計の掛かる中山で同様の脚が使えるのかというのも、懸念材料としてはありました。

レースは、アルフレードは好スタートを切ったものの、ハクサンムーンがハナに立つと行きたがり、ウィリアムズ騎手が懸命になだめます。しかし向こう正面では馬の後ろにいれたこともあり落ち着いて追走。
直線に入るとラチ沿いから一気に抜け出して、坂ではさらに差を広げて、2馬身差での圧勝となりました。上がりはレオアクティブ、ジョウノバッカスの34.9には0.4秒劣るものの、この2頭は最後方を追走していたので、先行してこの上がりということは、力が違う印象があります。

しかし関東馬は、これが下半期初のG1制覇となり、2005年以来の下半期G1全敗という不名誉な記録をからくも回避することが出来ました。
上半期のG1を勝った関東馬では、キンシャサノキセキはすでに引退し、アパパネは絶不調で、リアルインパクトも今ひとつの成績です。そんな中で生まれたニューヒーローは、美浦を背負って立つスターになれる素質が十分にあると思います。

朝日杯を勝ってクラシックも制覇した馬は、1994年のナリタブライアンまでさかのぼらなければなりません。しかし無敗で制した馬からは、ダートG1を7勝したアドマイヤドンや、グランプリ3連勝のグラスワンダーなども生まれており、今日の勝ち方からは、それに続く馬となる期待も持てるような気がします。

まずは無事にクラシックに駒を進めてもらい、そこでの活躍を期待したいと思います。

2011年12月11日

衝撃的な強さでした。母は偉大です ~阪神JF

母はビワハイジでブエナビスタの半妹。父はディープインパクトという超良血であることはわかってましたが、新馬戦のみの1戦1勝で、かつその勝ちタイムは平凡となると、競馬キャリアの長い人ほど本命にはしにくかったのではないでしょうか。
しかしそんな多くのファンの迷いをあざ笑うように、ジョワドヴィーヴルは坂で一気にのびて、2馬身半差で快勝しました。1番人気のサウンドオブハートが4.6倍ですから、いかに人気が割れたかがよくわかります。

血統が馬券推理において重要であるとは思いますし、血統のいい馬が走る確率が高いこともわかります。しかし逆に超良血の馬が期待を裏切るケースも多く、信じ切れないというのが、多くのファンの血統への見方ではないでしょうか。
実際にジョワドヴィーヴルの全兄のトーセンレーヴは、期待はかなり大きかったものの、現時点ではOP2勝で重賞は3着2回と勝っておらず、姉や妹に比べると地味な成績です。

あまり情報のない2歳戦だからこそ、古馬の競走などに比べると血統の占める割合が大きくなるのでしょうが、それだけで判断するわけにも行かず、2歳G1の難しさはそんなところにもあるのではないでしょうか。

ビワハイジの産駒は、これで重賞勝ち馬がアドマイヤジャパン(京成杯)、アドマイヤオーラ(弥生賞、京都記念)、ブエナビスタ(現時点でJCなどG1 6勝を含む8勝)、ジョワドヴィーヴルの4頭。しかも最近の産駒ほど成績がよい印象で、まさに油がのってきたという感じです。

阪神3歳牝馬Sでエアグルーヴを相手に逃げ切ってから、すでに16年。当時は予想もしなかったような偉大な母になりました。ブエナビスタは有馬記念がラストランになりますが、トーセンレーヴやジョワドヴィーヴル、さらに当歳の牝馬(父ゼンノロブロイ)には、さらに母の名を上げるように、がんばってもらいたいものです。

2011年12月04日

年度代表馬でもおかしくない走りでした ~JCダート

今年のJCダートは、昨年に続いて外国馬の参戦が1頭もないというさみしい国際招待レースとなりましたが、そんな沈滞ムードを吹き飛ばすような見事な走りで、トランセンドが2連覇を果たしました。また2強といわれた、2年前の覇者エスポワールシチーの走りも、負けたとはいえ立派でした。

戦前は、ハナはトウショウフリークかエスポワールシチーで、トランセンドは控えるのではないかというのが大方の予想でしたが、なんと藤田騎手は大外から強気にハナを主張して、1コーナーでは審議になるほどやや強引に先頭に立ちました。
エスポワールシチーはそれを2番手でぴったりとマーク。一瞬2頭でハナ争いをしてハイペースになるのではと危惧しましたが、それも杞憂に終わり、向こう正面では落ち着いた流れで進みます。1000mは1.00.8と逃げ切りで終わった過去2年よりも遅いペース。これで、トランセンドの策がはまったという感じでした。

4コーナーでは後続の騎手たちの手が激しく動くのに対して、トランセンドとエスポワールシチー、そして3番手の武豊騎手のラヴェリータは馬なりのまま直線へ。
直線に入るとトランセンドは差を広げて逃げ込みを図るのに対して、エスポワールシチーはやや手ごたえ悪く3番手に後退してしまいます。そこからトランセンドはじりじりと差を広げて、残り200mぐらいではセーフティリードに。
そのまま危なげなく連覇を達成しました。
エスポワールシチーは最後にラヴェリータを差し返したものの、ゴール直前で猛然と差してきたワンダーアキュートにハナ差交わされて3着に終わりました。

これでトランセンドは、今年JRAが主催したダートG1(南部杯を含む)3戦をすべて勝ち、負けたのはドバイWCのヴィクトワールピサとJBCクラシックのスマートファルコンだけ。負けた着差も最大1馬身と、見事な成績です。しかもすべて逃げあるいは2番手からの競馬で、決して楽に勝ったレースはありません。差し返した南部杯やJBCクラシックも、突き放した今日のレースも、すばらしい内容でした。

現時点でもっとも有力な年度代表馬の候補は、3冠を達成したオルフェーヴルでしょう。しかし万一有馬記念でオルフェーヴルが凡走するようなことがあれば、同じG1 3勝馬として、トランセンドが年度代表馬候補に浮上してもおかしくないですし、その資格は十分にあると思います。
過去57回の年度代表馬選考で、ダートのみを走って選ばれた馬は1頭もいません。そういうサプライズを見てみたい気もしますし、芝に対して下に見られがちなダートを走る馬やその関係者たちにも、勇気を与えられるのではないでしょうか。