瞬発力も持続力も兼ね備えた強さ ~有馬記念

今年の有馬記念は、途中で14秒台のラップが2回も続く超スローペースとなりましたが、後方から外を差してきたオルフェーヴルが、クラシック3冠に続くG1 4勝目を飾りました。

有馬記念が行われる中山競馬場といえば、最後の直線が短く、先行有利が常識。しかもそこで超がつくスローペースとなれば、逃げ先行馬の独壇場となるはずでしたが、オルフェーヴルは向こう正面までは後方から3番手。3コーナーから外を通って進出するも、4コーナーでは中団の7,8番手。楽に逃げたアーネストリーは、してやったりだったのではないでしょうか。またいつもよりも前につけたブエナビスタも、狙い通りといったイメージでした。

しかし直線に入るとアーネストリーは伸び一息。さらにブエナビスタは内でまったく伸びず、ずるずると後退していきます。
代わって好位にいたエイシンフラッシュが、手ごたえよく伸びてくるかと思ったところを、外からオルフェーヴルがまとめて交わして一気に伸び、最後は抑えるような余裕で優勝しました。

オルフェーヴルといえば、後方から伸びてきて長くいい脚を使うイメージで、皐月賞や菊花賞ではぐんぐん加速して、後続の馬を置き去りにして勝ちました。逆に言うと直線の短い中山では、そういういい脚を長く使うことが難しく、そこがネックになるのではとも思われました。
実際に超スローペースを後方から進めた前半は、大丈夫かと心配になりました。
しかし4コーナー手前からスパートして、直線では一気に差を詰めて逆転するという瞬発力を見せて、着差以上の強さを見せ付けました。

瞬発力のある馬は、ハイペースのレースを後方からまとめて交わして勝つのは得意でも、スローだと脚の使い方が難しく、脚を余したりゴール前で失速したりすることがあります。逆に長くいい脚を使う馬は、スローを差しきるのは得意でも、ハイペースだと前と脚色がいっしょになったり、後ろから切れる馬に差されたりということもあります。
オルフェーヴルの強さは、それを両方兼ね備えていることにあるのではないでしょうか。ある意味、理想的なサラブレッドの姿といえるかもしれません。

すでに国内には敵がいないという状況で、2012年はオルフェーヴルの年となる可能性が高いでしょう。もちろん2011年の年度代表場もほぼ確定で、今年もオルフェーヴルの年だったと言えるでしょうけど。
来年は凱旋門賞に挑戦するというプランもあるとか。ぜひ、ディープインパクトでも果たせなかった夢を、実現させて欲しいと思います。

それにしても、残念だったのはブエナビスタの失速。うまく先行して、直線はオルフェーヴルとの一騎打ちかと思ったのですが、まったく伸びを見せることなく7着に沈みました。
昔から引退レースの牝馬は買ってはいけないと言われますが、やはりJCの辛勝で最後の力を使い果たしたのでしょうか。さらにもうひとつというのは、ちょっと酷だったかなという気もします。
今後は、母ビワハイジの後継として、自らを越えるような子供たちをターフに送り込んでくれることを期待して待ちたいと思います。
お疲れ様でした。

カテゴリー ,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です