年度代表馬でもおかしくない走りでした ~JCダート

今年のJCダートは、昨年に続いて外国馬の参戦が1頭もないというさみしい国際招待レースとなりましたが、そんな沈滞ムードを吹き飛ばすような見事な走りで、トランセンドが2連覇を果たしました。また2強といわれた、2年前の覇者エスポワールシチーの走りも、負けたとはいえ立派でした。

戦前は、ハナはトウショウフリークかエスポワールシチーで、トランセンドは控えるのではないかというのが大方の予想でしたが、なんと藤田騎手は大外から強気にハナを主張して、1コーナーでは審議になるほどやや強引に先頭に立ちました。
エスポワールシチーはそれを2番手でぴったりとマーク。一瞬2頭でハナ争いをしてハイペースになるのではと危惧しましたが、それも杞憂に終わり、向こう正面では落ち着いた流れで進みます。1000mは1.00.8と逃げ切りで終わった過去2年よりも遅いペース。これで、トランセンドの策がはまったという感じでした。

4コーナーでは後続の騎手たちの手が激しく動くのに対して、トランセンドとエスポワールシチー、そして3番手の武豊騎手のラヴェリータは馬なりのまま直線へ。
直線に入るとトランセンドは差を広げて逃げ込みを図るのに対して、エスポワールシチーはやや手ごたえ悪く3番手に後退してしまいます。そこからトランセンドはじりじりと差を広げて、残り200mぐらいではセーフティリードに。
そのまま危なげなく連覇を達成しました。
エスポワールシチーは最後にラヴェリータを差し返したものの、ゴール直前で猛然と差してきたワンダーアキュートにハナ差交わされて3着に終わりました。

これでトランセンドは、今年JRAが主催したダートG1(南部杯を含む)3戦をすべて勝ち、負けたのはドバイWCのヴィクトワールピサとJBCクラシックのスマートファルコンだけ。負けた着差も最大1馬身と、見事な成績です。しかもすべて逃げあるいは2番手からの競馬で、決して楽に勝ったレースはありません。差し返した南部杯やJBCクラシックも、突き放した今日のレースも、すばらしい内容でした。

現時点でもっとも有力な年度代表馬の候補は、3冠を達成したオルフェーヴルでしょう。しかし万一有馬記念でオルフェーヴルが凡走するようなことがあれば、同じG1 3勝馬として、トランセンドが年度代表馬候補に浮上してもおかしくないですし、その資格は十分にあると思います。
過去57回の年度代表馬選考で、ダートのみを走って選ばれた馬は1頭もいません。そういうサプライズを見てみたい気もしますし、芝に対して下に見られがちなダートを走る馬やその関係者たちにも、勇気を与えられるのではないでしょうか。

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