スターズオンアースの強さのわけと今後の可能性 ~オークス

今年の桜花賞でスターズオンアースに本命を打てなかったのは、高松宮記念のナランフレグと並んで痛恨の出来事でした。スターズオンアースの強さは感じていたものの、世間の評価の低さに自信が持てなかったのです。そのため、桜花賞のゴール前で抜け出たのがスターズオンアースだと気付いた時には、強烈な悔しさに襲われました。

スターズオンアースの評価の低さは、まずはその勝ちきれなさが大きな理由だったと思います。
ナミュールが快勝した赤松賞では、1番人気に押されながら伸び一息で3 1/4馬身差3着。
同じく1番人気のフェアリーSでは前が詰まり、何とか内から抜け出したものの、先に外から抜けていたライラックをとらえられずにクビ差2着。
再び1番人気となったクイーンCでは、先行して馬場中央から馬群をぬっていったん先頭に立つも、離れた外から差してきたプレサージュリフトにクビ差かわされて2着。

成績だけ見ると、上位には来るけど勝ちきれないように見えます。
しかしフェアリーSでは狭いところに入って前をかわすのに時間がかかっただけで、最後は再度伸びていますし、クイーンCも抜け出したところでそらを使った感じで差されただけで、いずれも力負けではありません。それどころか、負けて強しを印象付けるようなレースぶりだったと、個人的には感じました。

そして桜花賞でも、馬群の中でなかなか前が開かず、やっと空いたと思ったら内からぶつけられ、それでもひるまずに伸びてきて勝ちきる姿は、体の強さとともに精神的な強さを感じさせるものでした。
ところがオークスでは、桜花賞で外から1番の上り(33.3)を使って4着だったサークルオブライフが3.2倍の1番人気に支持され、スターズオンアースは6.5倍の3番人気。
個人的に桜花賞ではサークルオブライフに本命を打ったこともあり、その強さは認めるものの、チューリップ賞3着、桜花賞4着と勝ちきれないのも事実で、今度はスターズオンアースだろうと思ったのです。とはいえ、強い自信があったわけではありませんが・・・。

桜花賞で勝った川田騎手が、忘れな草賞を勝ったアートオブライフを選んだためルメール騎手に乗り替わったスターズオンアースですが、大外18番からスタートを切ると、中団の外につけます。
よく外枠だと前に壁がつくれずに行きたがってしまう馬がいますが、スターズオンアースはしっかりと折り合って、無理なく中団の位置をキープします。
4コーナー手前から押していくと、直線は馬場の良い中央を徐々に進出。残り200mを切って前を行くスタニングローズに迫っていくと、残り100mを切ったところでかわして先頭。そのまま脚を伸ばすと、1 1/4馬身差をつけて快勝。見事にクラシック2冠を達成しました。

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今回は外枠だったこともあり、前が詰まることもなく、ただ1頭33秒台となる1番の上り33.7を使って快勝。着差はそれほど大きくなかったものの、完勝と言える結果でした。
スムーズに走れたことに加えて、祖母スタセリタが仏オークス馬で、叔母ソウルスターリングが日本のオークス馬(どちらもルメール騎手騎乗で勝利)というオークス向き血統だったことも、大きな勝因の一つだったと思います。

これで最優秀3歳牝馬の座は早くも確定という感じですが、今後の可能性はどうでしょうか。
実はこの10年で牝馬2冠となった3頭(ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクト)はすべて3冠を達成しています。春2冠馬となりながら、秋の1冠(1995年以前はエリザベス女王杯、以後は秋華賞)を勝てなかったのは、グレード制導入以後ではマックスビューティー(1987年)、ベガ(1993年)、ブエナビスタ(2009年)の3頭のみ。

秋華賞の2000mという距離を考えると、現状の力を見る限りはスターズオンアースの3冠達成の可能性はかなり高いと言えると思います。
ただし夏の過ごし方次第で体調も変わりますし、力をつけてくる馬もいるでしょう。特にフラワーCからという変則的なローテーションながら2着に入ったスタニングローズ、桜花賞大敗から巻き返して3着のナミュール、毎度人気薄ながらその評価を常に覆して好走する4着ピンハイなどは、十分秋に向けて期待が持てると思います。

ただ2冠馬の顔ぶれを見ても、いずれものちに名を残した偉大な馬ばかり。スターズオンアースもそこに入る価値があることを、今日のレースで見せてくれました。
秋以降の活躍を楽しみにしたいと思います。

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