ソダシの勝因は ~ヴィクトリアM

ここ2年は、アーモンドアイ、グランアレグリアという絶対的な存在がいたために、少なくとも勝ち馬は固かったのですが、今年はかなりの混戦となりました。
G1馬は5頭。そのうち3頭がマイルG1の勝ち馬でしたが、デアリングタクトは1年1か月ぶりのレースで、ソダシは昨夏以来勝ちがなく、前走3着と好走もダートのマイル戦。レシステンシアは近走1200mばかりで、マイルでの好走は2年前のNHKマイルC2着までさかのぼります。
1番人気は昨年の大阪杯を勝ち、前走大阪杯でクビ差2着に好走したレイパパレとなりましたが、マイルは2年前の1勝C以来でかつ東京は未経験。
つまりどの馬も中心にしづらい感じでした。

そんな混戦を制したのは、4番人気となったソダシ。好スタートから前に行くと、何とか折り合って4番手のうちを進みます。そのまま直線を向くと、馬場中央をじりじりと伸びます。残り200m手前で前を行くレシステンシアを交わすと、残り100m手前で逃げるローザノワールを交わして先頭。
そのまま脚を伸ばすと、4頭がクビの上げ下げとなった2着争いに2馬身差をつける圧勝となりました。

【ソダシ】パドックに現れるとその白さにざわめきが起こります

ソダシはこれまで重賞を5勝していますが、そのうち4勝は2着との差が1馬身未満。特にG1では阪神JFがハナ差、桜花賞がクビ差といずれも差してきたサトノレイナスをぎりぎり抑えての勝利。ちぎって絶対的な着差をつけて勝つというシーンがなかったのです。
いったん突き放して先頭に立つも、最後は差し馬に詰め寄られ、それをなんとか勝ちきるという勝ち方から、勝負根性のすごさは感じるものの、絶対的な強さは感じさせられませんでした。
実際に距離が伸びたオークスや秋華賞では、交わされると一気にやる気を失ったように後退。1着か完敗かというレースぶりが印象的でした。

ただし東京マイルのアルテミスSだけは、先行して抜け出すと後続を突き放し1 3/4馬身差の完勝。その勝ち方は強く記憶に残っており、ああいうレースをすると、もしかしたら強いレースぶりを見せるかもしれないとは思っていました。
また東京芝マイルは、実は得意な舞台だという可能性も感じさせたのです。

結果としてその予感が的中したのですが、そのソダシの勝因は、ペースが大きかったように思います。
有力馬のレシステンシアとレイパパレ、そしてソダシも先行脚質ということで、そこそこペースが上がるのではないかという予想もありました。
逃げたのは18番人気ローザノワールでしたが、スタートが決まらなかったこともあり、懸命に押してハナに立ったのは、すでに200mほど行ってからでした。その押し方が激しかったので、ペースが速いと判断した騎手もいたでしょう。ところが600m通過は34.7と良馬場としては遅めのペース。
その後もペースは上がらず、1000mは58.0と良のマイル戦としては決して速くはありません。そして直線での差し脚くらべとなりましたが、逃げたローザノワールですら上りは34.5。最速は後方にいたアブレイズ、シャドウディーヴァ、テルツェットの32.9ということからもわかるように、スローからの究極の上り勝負となります。
こうなると前にいる馬が圧倒的に有利で、実際に勝ったソダシも4番手から33.4の上りを使っており、これを後方から差し切ることはほぼ不可能です。

ただしもちろんペースだけが勝因ではなく、前走のフェブラリーSで先行して3着に粘ったように調子が戻っていたこともあるでしょうし、強いと目されたレイパパレが先行しながら早々に脱落したことも有利に働いたと思います。

これでソダシはG1 3勝を含む重賞6勝。芝マイルは4戦負けなしと最も得意な舞台と言えるでしょう。今後はどこを目指すかわかりませんが、ダートも走れるとなると、交流重賞も含めて選択肢はかなり広がります。
個人的には芝・ダートG1制覇の本格的な二刀流をぜひ見てみたいと思いますが、どうなるでしょう。復活したソダシの今後に期待したいと思います。

カテゴリー ,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です