スーパーG2とも呼ばれる、夏の札幌の風物詩、札幌記念が、4頭のG1馬を含む9頭の重賞勝ち馬が参戦して、全13頭で行われました。
その中でも今年の話題は、2頭の牝馬の初対決でしょう。
1頭は2年前のオークス馬ラヴズオンリーユー。
オークス勝利の後はしばらく成績が低迷しましたが、今年に入って京都記念で久々の勝利を挙げると、遠征したドバイシーマクラシックで、凱旋門賞でも有力視されるミシュリフ、クロノジェネシスにクビ、クビ差の3着に好走。そして香港のクイーンエリザベス2世Cで、グローリーヴェイズ、デアリングタクトを抑えて久々のG1勝利を飾ったのです。
今回はそれ以来の4か月の休み明けでしたが、海外G1馬として1.9倍と堂々の1番人気に支持されました。
矢作師がリスグラシューを引き合いに出すほどの高評価を与え、国内では京都記念からコンビを組む川田騎手が、わざわざ函館まで駆けつけて調教に乗ったということで、かなり勝負がかりの様相です。ただし休み明けながら-8kgでやや細く見えるのが気になりました。
そしてもう1頭が、白毛馬として初めてG1そしてクラシック勝ち馬となった、今年の桜花賞馬ソダシ。
1番人気のオークスは直線で伸びを欠いて、初の敗戦となる8着に敗れたものの、復活を期して休み明けの初戦に札幌記念を選んだのです。
ただし今まで勝った最長距離が、新馬と札幌2歳Sの1800mで、距離伸びたオークスは完敗。クロフネ産駒は2000m以上の平地重賞勝ちがなく、やはり距離不安がささやかれて、3.8倍の2番人気となりました。
こちらはデビュー以来コンビを組む吉田隼騎手が自信のコメントで、馬体重はオークスと変わらないものの充実した馬体に見えました。
この2頭のみ単勝1桁となり、3番人気のブラストワンピースは12.3倍。ただし単勝10倍台は5頭いて、2頭以外は混戦という感じです。
レースでは、安田記念で先行して5着に好走し、前走七夕賞を勝ったトータスジェミニが逃げて、1000mは59.9と落ち着いた流れ。それをソダシは2馬身ほど離れた2番手で追走し、ラヴズオンリーユーは中団外から進めます。
向こう正面で後方にいたブラストワンピースが一気に外からポジションを上げていき、3コーナーで先頭に並びかけると、ソダシも反応して内から早くも先頭を奪います。
4コーナーで一気に後続も迫りますが、そのまま突き放して先頭で直線へ。あとは阪神JFや桜花賞で見せたような粘りで、吉田隼騎手の叱咤に応えてゴールを目指します。最後は外からペルシアンナイト、さらにラヴズオンリーユーが迫りますが、ラヴズオンリーユーに3/4馬身差をつけて1着でゴール。見事に初の古馬挑戦で、桜花賞以来の勝利を飾りました。
3歳牝馬による札幌記念制覇は、G2昇格後は2014年のハープスター以来の2頭目。そのハープスターは、札幌記念の後は凱旋門賞に挑戦し、日本から出走した3頭(他はジャスタウェイとゴールドシップ)の中では最先着となる6着に好走。その後も勝てないまでも、JC5着など活躍しました。
ソダシの次走はおそらく秋華賞になるのでしょうが、2000mの距離を克服して古馬に勝ったのは、大きなアドバンテージとなるでしょう。オークスで敗れたユーバーレーベン、アカイトリノムスメや、ダービーに挑戦したサトノレイナスとの再戦は、かなり盛り上がることになりそうで、今から楽しみです。
まずは各馬順調に夏を超えて、顔をそろえてくれることを祈りたいと思います。