今年は障害に専念するようなオジュウチョウサンですが、同一レース5連覇をかけて今年も中山グランドジャンプ(中山GJ)に出走してきました。3連覇ですら偉業なのに、5連覇はおそらく今後もなしえないだろう、まさに空前絶後の快挙といえます。
そして去年と同じ阪神JSから臨むローテーションで、かつ阪神JSでは去年の中山大障害の覇者にして最優秀障害馬のシングンマイケルに9馬身差をつけての楽勝。5連覇はかなり濃厚という雰囲気で、単勝オッズも昨年に続く1.1倍となりました。
対する馬たちは、そのシングンマイケルこそ6.1倍の2番人気に支持されましたが、昨年の中山大障害3着で前走ペガサスJSを7馬身差で勝ったメイショウダッサイが10.2倍の3番人気、昨年の中山大障害2着で前走阪神JS思い切って逃げたものの16馬身差6着に敗れたブライトクォーツが20.4倍の4番人気。
オッズ上は、他の馬にはかなり厳しい評価となりました。
ところがレースの不確実性を増したのは、朝から激しく降り続いた雨による馬場の悪化でした。雨が降ると芝は滑りやすくなり、特に障害レースでは着地の際に転倒する危険が増します。また重い馬場に脚を取られて体力を削ることになり、ただでさえ長距離を走って体力勝負になる障害では、スタミナのあるなしが如実に出ることになります。
重が得意と言われるステイゴールド産駒のオジュウチョウサンとはいえ、今年9歳の高齢馬。若い馬たちに比べると、体力面での心配もあるでしょう。
しかしそんな心配も杞憂に終わりました。
オジュウチョウサンは、道中は逃げるメドウラークを先に行かせて2番手を追走。いつものようにコーナーは内の最短コースを回っていきます。メイショウダッサイ、シングンマイケル、ブライトクォーツと当面のライバルたちにマークされる形で進むも、いつものことなので、鞍上の石神騎手も動じる感じはありません。
重馬場もあってか、何回か飛越の際にバランスを崩すシーンもあり、赤レンガの飛越も危ない感じでしたが何とか持ち直します。
向こう正面でメドウラークが後退すると代わって先頭に立ち、ブライトクォーツ、メイショウダッサイ、シングンマイケルを引き連れてスパートをかけます。
最終障害でシングンマイケルが崩れ落ちるように転倒すると、ブライトクォーツも脱落。唯一頭食い下がるメイショウダッサイを引き連れて、オジュウチョウサンはゴールを目指しますが、さすがに重馬場で体力を削られたためか、いつものような伸び脚は見られません。
それでも先頭は死守して、メイショウダッサイに3馬身差をつけて5連覇のゴールに飛び込みました。その勝ちタイムは5.02.9。2年前の4.43.0に比べるとほぼ20秒も遅いタイムで、いかに厳しいレースだったかがわかります。
これでオジュウチョウサンは障害レース13連勝でJ・G1は7連勝。すでに歴史に残る名馬になっていますが、まだまだ障害馬として連勝を伸ばせそうです。どこまでいけるか楽しみが続きます。
ところで今回好敵手と見られていたシングンマイケル。最終障害で転倒した後立ち上がれず気になっていたのですが、残念ながら心臓マヒで亡くなったそうです。
オーストラリアで亡くなったアドマイヤラクティなど、アスリートである競走馬にはときどきあることとはいえ、とても残念です。ご冥福を祈りたいと思います。