2頭の見事なマッチレースでした ~皐月賞

昨年の朝日杯FSとホープフルSが終わった時点で、果たしてこの2頭の勝ち馬サリオスとコントレイルの直接対決は、どのような結果になるのだろうととても楽しみだったのですが、それが今日の皐月賞で実現しました。

2頭ともに2歳G1を勝った後のローテーションは、皐月賞への直行となりました。これは去年のサートゥルナーリアが初めて成功したものの、それまでは例がなく、去年もいろいろ議論がありました。
しかし最近はアーモンドアイなど間隔をあけてG1を制する馬が増えてきたことからもわかるように、以前に比べると調教技術の進歩も目覚ましく、なるべく負担をかけずに目標のレースに臨むという面からも、力のある馬には有力な選択肢となってきたのだと思います。

しかし予想する立場からは、その間の成長や他の馬との力関係を見る場がないわけですから、より難しくなるとも言えます。
実際に2歳時点では有力と思われていたマイラプソディが、3歳初戦の共同通信杯で4着に負けて人気を大きく落としたり、逆に弥生賞で強い勝ち方をしたサトノフラッグの評価が急上昇して新たに3強と言われる立場になったりしましたが、レースに出ていないサリオスとコントレイルは2歳時点のレースで評価するしかないのです。

まずサリオスですが、その最大の弱点はマイルのレースにしか出ていないということでした。皐月賞において過去10年1800m以上のレースを勝っていない馬の連対はなく、また朝日杯FSの勝ち馬で皐月賞も制したのは近年ではロゴタイプただ1頭。そのロゴタイプも1800mのスプリングSを勝っていたのです。
もっとも、皐月賞は速い馬が勝つとか、体重の重い馬を狙えと言った格言もあり、それに従うと東京の2歳芝マイルのレコードを持ち、朝日杯FSでは538kgで勝っているサリオスは、かなり有力と言えるのですが。

コントレイルも東スポ杯では驚異的な2歳レコードで勝っており、スピードという面ではサリオスに負けませんが、問題は昨日激しく降った雨による馬場悪化でした。今日は晴れたものの、回復はやや重まで。切れで勝負するディープインパクト産駒としては有利とはいえません。
また最内1番も過去10年3着以内がなく、人気を背負ってどのように馬群をさばくか、鞍上の福永騎手には難しい選択を迫られたのです。

レースは逃げてこそのキメラヴェリテが1頭で飛ばして、やや重としては速めの1000m59.8のペース。サリオスは最初こそやや行きたがる感じでしたが、レーン騎手がうまく抑えて好位の4,5番手を進みます。
対するコントレイルは今までよりも下げて12,13番手を追走。向こう正面で外に出すと、3コーナーから進出を開始して一気に上がっていき、4コーナーでは外から先頭集団に並びかけます。
直線は内から先に抜け出したサリオスに外からコントレイルが並びかけ、残り200mを過ぎると2頭で抜け出してマッチレースに。壮絶な叩き合いになりますが、終始外のコントレイルがアタマ差前に出て有利な体勢。しかしサリオスも必死に粘ります。
そしてゴール直前でコントレイルが抜け出すと、サリオスに1/2馬身差をつけてゴールを駆け抜けました。3着のガロアクリークはサリオスからは3 1/2馬身と大きな差がついており、2頭の力が抜けていることがわかります。

2頭のマッチレースといえば、1996年阪神大賞典でのナリタブライアンとマヤノトップガンが思い浮かびますが、それに次ぐような見事なレースでした。まさに2頭とも期待に違わぬパフォーマンスを見せてくれたと思います。

そして次の興味はダービーということになります。
近年朝日杯FSの勝ち馬はNHKマイルCを目指すことが多いのですが、サリオスはどちらの路線を選ぶのでしょう。ハーツクライ産駒という血統からはダービーだと思いますが、スピードを生かすという意味ではNHKマイルCもあり得るかもしれません。
コントレイルは2年連続の無敗の皐月賞馬となりました。昨年も書きましたが平成以降の無敗の皐月賞馬のうち、引退したアグネスタキオンと昨年のサートゥルナーリア以外の3頭は、いずれも無敗のダービー馬となっています。コントレイルの懸念は、昨年に続いて皐月賞での着差の少なさでしょうか。

個人的には、やはりダービーでの2頭の再戦を見てみたいと思います。今日の結果を見る限り、他の皐月賞出走馬でダービーで2頭を逆転するのは難しいと思いますが、弥生賞は皐月賞よりダービーとの相性がいいので、サトノフラッグはまだ見限れないかもしれません。ロジユニヴァースやワグネリアンの例もありますから。
またアドマイヤビルゴが出走を予定していて去年のダービー馬ロジャーバローズを輩出している京都新聞杯や、青葉賞から来る新星もいるかもしれないので、要注目です。

まだ新型コロナウイルスは収まりそうにありませんが、なんとかダービーは現地観戦ができるようになることを祈っています。

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