悲願のG1制覇でした ~大阪杯

大阪杯のスワーヴリチャードのレースには、本当に驚かされました。

個人的に本命にしていたこともあり注目していたのですが、スタートは横を向いた直後にゲートが開いたこともあり、伸びあがるように出て、いきなり1~2馬身の出遅れ。M.デムーロ騎手は無理せず後方2番手からレースを進めます。

ヤマカツライデンが引っ張る流れはスローで、1000mは61.1とかなりゆったりとしたペース。
しかし先頭が1000mを通過した向こう正面で、後方2番手にいたスワーヴリチャードが、まるで4コーナー手前のような勢いで、一気に外を通って前に上がっていきます。やや掛かったようなそぶりで、M.デムーロ騎手も抑えているように見えたので、正直これは終わったかと思いました。

結局10馬身ほど前にいた先頭のヤマカツライデンに3コーナーすぎで並びかけると、後続が押し寄せる中、馬なりで3コーナーから4コーナーを回って先頭で直線へ。
直線では懸命に押すものの、後続も負けずと迫ってきます。意外とがんばるなと思っていると、そのまま残り200mを過ぎても2番手アルアインに1 1/2馬身差をつけて先頭。外からペルシアンナイトが鋭く追い込んできますが、スワーヴリチャードも末脚衰えず力強くゴールを目指します。
最後は外から伸びてきたペルシアンナイトが内のアルアインを交わして迫りますが、3/4馬身差抑えてスワーヴリチャードが初のG1制覇を成し遂げました。

向こう正面で掛かって前に行ってしまう馬は時々見ますが、たいていは直線で失速して大きく負けてしまうことが多いと思います。昨年のダービーでのレイデオロのように、スローを見越して騎手の指示で上がっていき勝つことは、本当にまれなことだと思うのですが、あの時2着に敗れたスワーヴリチャードが、同じような戦法で勝ってしまったのですから、この世代の強さは特筆すべきものになるのかもしれません。

近年クラシックの前哨戦として注目されるようになったこともあり、また2月の東京開催は空いていてわりと快適なこともあって、毎年共同通信杯は楽しみに見に行くようにしています。その共同通信杯で去年初めてスワーヴリチャードを見たのですが、強い勝ちっぷりと馬っぷりの良さが強く印象に残って、それ以来皐月賞、ダービーと追いかけることになりました。

1冠目の皐月賞は、共同通信杯組が近年好成績ということもあって2番人気に支持されましたが、2番枠から出て内に包まれ、4コーナー手前でようやく外に出して追い上げるものの、末脚も不発で2 3/4馬身差の6着まで。
ダービーは3番人気とやや人気を下げたものの、中団から直線は外に出し、早めに抜け出したレイデオロに迫るも3/4馬身から差が詰まらず、そのまま2着でゴール。
秋は体勢が整わなかったためか菊花賞には向かわず、初めて古馬と対戦したアルゼンチン共和国杯を2 1/2馬身差で快勝して、強い3歳世代の中でも力上位であることを改めて示します。
そしてレイデオロが回避した有馬記念に3歳代表として出走。キタサンブラックに次ぐ2番人気に支持されて、直線は後方から外を追い込んでくるも、内によれて他馬の進路を妨害。1 3/4馬身差の4着に入るものの、馬は平地調教注意、M.デムーロ騎手は2日間の騎乗停止処分となってしまいました。

その後年明けの金鯱賞をサトノダイヤモンド相手に快勝して大阪杯に臨んできたのです。
このように力はあるのにG1では勝ちに恵まれないという状況に、ついに今日の大阪杯で終止符を打ったわけですが、M.デムーロ騎手もウイニングランでは感慨深げでした。

実績的には圧倒的な1番人気に支持されてもおかしくはないと思うのですが、右回りで実績がないこと。特に有馬記念で苦しがって内にささったことが嫌われて、1番人気が目まぐるしく変わるという珍しい状況を生んだのでしょう。最終的には1番人気に支持されたものの、3.5倍というやや微妙なオッズは、そのあたりが反映されたのだと思います。

しかし今日の強い勝ち方で、その評価も大きく変わるでしょう。雄大な馬体と落ち着いて動じない雰囲気。どこにいても目立つ大きな流星など、個人的にはとても好きなタイプの馬です。これからJRAを支えるような、強い馬に成長していくことを期待しています。

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