ラッキーライラックをめぐるジンクスとアーモンドアイの衝撃 ~桜花賞

今年の桜花賞の焦点は、ラッキーライラックが数々のジンクスを覆して、勝つことができるかということだったと思います。

ラッキーライラックの桜花賞前までの戦績は4戦4勝と完璧なもので、しかも同じコースで行われる阪神JFとチューリップ賞を完勝。阪神JFの2,3着はチューリップ賞の3,2着で、ほぼ同世代牝馬との勝負付けはついたというイメージでした。
しかしラッキーライラックの勝利を妨げるような、わりと強力なジンクスがいくつか存在したのです。

それはこんなものでした。
(1)無敗で桜花賞に臨んだ馬は2004年のダンスインザムードを最後に勝っていない
2005年以降、3戦以上して無敗の馬は9頭出走していますが、シーザリオ、レッドリヴェール、シンハライトの2着が最高で、勝ち馬は出ていません。背景には、負けを経験して強くなるということもあるのかもしれません。
(2)単勝1倍台の1番人気が3年連続で連対できていない
もっとも2009年ブエナビスタ、2014年ハープスターの関西馬はいずれも1.2倍の1番人気に支持されて、その通りに勝利をおさめています。過去3年の1番人気はすべて関東馬で、関西馬には当たらないとも言えますが。
(3)馬番1~5番は過去20年連対していない
外枠不利はよく聞きますが、内枠不利はあまり記憶にありません。しかし実際に桜花賞では内枠の連対が近年なく、内枠で最後に連対したのは1996年の優勝馬ファイトガリバー(4番)とのことで、不思議ではありますが、かなり強力です。

個人的には、(2)はジンクスとは言えないほどのものであるにしても、(1)と(3)は気になりました。ただしこれまでの安定したレースぶりからラッキーライラックの大敗は考えられず、1着は譲るにしても3着以内には確実に来ると踏んでいたのです。
そしてラッキーライラックを破るとしたら、今まで対戦のない別路線組。特にシンザン記念でやや重ながら強烈な末脚を発揮して牡馬を打ち破ったアーモンドアイが有力と思いましたが、3か月ぶりというローテーションと、霧で見えない追い切りから、やや半信半疑ではありました。

レースは、最初の600mが34.5とやや速めの流れとなり、ラッキーライラックは好スタートから外の先行馬を行かせて3,4番手につけ、まずは包まれるという不安を解消。対するアーモンドアイは後方2番手を追走します。
そのまま縦長で淡々と進み、直線に入るとラッキーライラックは馬場中央に持ち出して追い出し、残り200m手前で先頭に立つと、今回は石橋騎手が本気で追ってゴールを目指します。
しかしそこに外から1頭だけ別次元の脚で追い込んできたのが、後方2番手を追走していたアーモンドアイ。抜け出したラッキーライラックを並ぶ間もなく交わすと、最後は1 3/4馬身差をつけて快勝しました。

ラッキーライラックは上のジンクスのうち(2)(3)は打ち破ることができたのですが、残念ながら(1)は破れませんでした。20年続いた(3)を打ち破ったのは、力のある証拠ですばらしいと思うのですが・・・。

そしてアーモンドアイの末脚は、ある意味衝撃的でした。レースの上りは34.4で、上り2番のトーセンブレスのタイムが34.2であるのに対して、アーモンドアイはただ1頭33秒台の33.2。2番のタイムより1秒も速い上りを計時したのです。
速めの流れであったとはいえ、後方2番手から突き抜けた光景は、G1ではちょっと記憶にないものでした。2009年オークスのブエナビスタもすごいなと思ったのですが、この時の上り2番の馬との差は0.6秒。しかも阪神より直線の長い東京でのものなので、衝撃度は今日の方が上でしょう。

上位3頭が力的に抜けたイメージの桜花賞でしたが、オークスがどうなるかは、まったく想像がつきません。この3頭はマイルまでしか走っていませんし、アーモンドアイの父ロードカナロアといえば短距離のイメージが強くあります。ラッキーライラックもリリーノーブルも血統的にはともかく、レースぶりは距離伸びてよいという感じも、あまりしません。

まずは桜花賞に全力投球で来た各陣営は、これから距離延長について考えていくのでしょう。フラワーC組や、忘れな草賞、フローラSから来る馬も交えて、1か月半後が楽しみです。

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