よく超スローペースやハイペースで結果が大荒れになったときに「レースが壊れた」という表現がされますが、今日の桜花賞もそんな形容がピッタリのレースだったのではないでしょうか。
最終的に1.6倍の圧倒的な1番人気に支持されたのは、きさらぎ賞で牡馬相手に楽勝して負けなしの3連勝となったルージュバックでした。マイルや多頭数の経験がなくキャリアも3戦という不安はありましたが、それを杞憂と思わせるようなきさらぎ賞のパフォーマンスと、しっかり伸びた最終追切、さらに古馬のように落ち着いたパドックでの歩様を見せられると、あっさり勝っても不思議ではないと個人的にも思いました。
レースは前走のチューリップ賞で途中から逃げる形になったレッツゴードンキがハナに立つと、競りかける馬もなくペースを落とします。それは最初の600mが37.1と、マイル戦とは思えないスロー。対するルージュバックはスタートは普通に出たものの、道中で次々に前に入られてポジションを下げ後方集団。4コーナーでも後方から4番手と、ペースを考えるとほぼ絶望的な位置取りです。
レッツゴードンキは直線に入ると後続を突き放し、さらに坂では差を広げて最後は4馬身差をつける圧勝。これまでの勝ちきれなかったうっぷんを晴らすような見事なパフォーマンスで、牝馬クラシックの1冠目を奪取しました。
その逃げたレッツゴードンキの上りは33.5。逃げ馬にこのタイムで上がられては、後続馬の出番はありません。18頭中9頭が33秒台で上がるという究極のヨーイドンのレースでは、そもそも前にいなければ出番はないわけです。
有力馬が後ろにいると、前の馬がけん制しあってスローになり、逃げ馬が逃げ切ってしまうということが時々ありますが、その典型のようなレースになりました。
しかしこれで次のオークスは難しくなりました。レッツゴードンキが強いのは間違いないですが、2着以下はペースが違えば着順もガラッと変わった可能性があり、その評価は非常に難しいと思います。
9着に敗れたルージュバックはもちろん、堅実が売りだった2番人気10着のココロノアイ、3戦負けなしで臨んだ3番人気4着のクイーンズリングと6番人気7着のキャットコイン、最速の上り33.2を見せた4番人気6着のアンドリエッテとすべて33秒台で上り、力のあるところは見せました。調子さえ維持できれば、いずれも好勝負できる可能性はあると思います。
はたして桜花賞の結果とリンクするのか、はたまたガラッと違う結果となるのか。例年は桜花賞上位馬が強いオークス戦線ですが、今年はちょっと違った様相になりそうです。