かなり強引な勝利ではありました ~天皇賞(春)

今年の天皇賞(春)は、単勝1番人気のキズナが3.3倍で、単勝倍率1桁の馬が4頭と、やや混戦模様となりました。その理由の一つは、前哨戦の阪神大賞典を3連覇したゴールドシップが、前の2年は5,7着と見せ場なく敗れていたこともあるでしょう。実際に阪神は宝塚記念連覇など7戦6勝なのに対して、京都は菊花賞の1勝のみで4戦1勝。陣営も当初は天皇賞(春)の出走を迷うなど、京都への適性に疑問符をつけざるを得ない要素は多分にありました。

過去2年の天皇賞(春)でのゴールドシップは、いずれもスタートしてから行き脚がつかずに後方を進み、2周目の3コーナーから進出するも4コーナーは大外を回ることになり、直線は懸命に前と差を詰めようとするもジリジリとしか伸びず、着外に破れるという似たようなレースぶりでした。

今年はまずゲート入りをいやがり、スタート直後は鞍上の横山典騎手が懸命に押すもやはり行き脚がつかず、結局最後方から行くことになりました。こうなると開き直ってずっと最後方をついていくイメージが多い横山典騎手ですが、今回は最初の直線でも行く気を見せるなど、少しずつポジションを上げていきます。
そして向こう正面で早くも進出開始し、3コーナーでは3番手まで一気に上がっていったのです。これは岩田騎手が乗った今年の阪神大賞典と同様の戦法です。あの時はずいぶん強引なレースをするなと思ったのですが、今回はさらに200m伸びるのに果たして最後までもつのかと、かなり心配になりました。

しかし4コーナーを4,5番手で回ると、直線も懸命に脚を伸ばし、先に抜け出したカレンミロティックを残り100mを切って交わすと、大外を追い込んできたフェイムゲームをクビ差抑えての戴冠となりました。

レースを見ていて感じたのは、横山典騎手はゴールドシップの特色であるバテない持続力と、闘争心を目覚めさせれば強いパフォーマンスを見せる気性を、最大限に利用したのではないかということです。あれだけのロングスパートはかなりの勇気がいることですし、あそこから仕掛けてもバテない自信があるからこそ、できたのでしょう。
ウイニングランから戻ってきた時に横山典騎手は喜びを隠せずに両腕でガッツポーズを繰り返していましたが、あの勝ち方はまさに騎手冥利に尽きるのではないでしょうか。

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