2冠馬の不思議 ~菊花賞

今年の菊花賞は、圧倒的1番人気に支持されたゴールドシップが、見事に優勝して皐月賞に続く2冠を達成しました。
さてこの牡馬クラシック2冠ですが、よく知られているのは、ダービーと菊花賞の2冠を制するのは、皐月賞と菊花賞の2冠を制するのよりも、はるかに難しいということです。おそらく、ハナから菊花賞では2冠馬以外のダービー馬は消しという方も多いのではないでしょうか。

実際に2冠馬の数で言うと、時期の近い皐月賞とダービーの2冠馬が一番多くて、2006年のメイショウサムソンまで15頭います。続いて多いのが、皐月賞と菊花賞の2冠馬で、今年のゴールドシップを含めて8頭。そしてダービーと菊花賞の2冠馬は、わずかに2頭。ちなみに3冠馬は7頭ですから、ダービーと菊花賞の2冠馬がいかに少ないかは、よくわかると思います。
2頭のうち1頭のクリフジ(1943年に達成)は牝馬で、オークス(当時は秋に実施)も制した変則3冠馬なので、純粋にダービーと菊花賞のみを勝った2冠馬は、1973年にハイセイコーとの死闘を制したタケホープだけとなります。

では、なぜ距離も時期も離れた皐月賞と菊花賞の2冠馬のほうが、比較的どちらも近いダービーと菊花賞の2冠馬よりも多いのでしょうか。一説には、それだけダービーを勝つということが、厳しいのだと言われています。
実際に過去10年で、3冠馬を除いて菊花賞に出走してきたダービー馬は、2冠馬のネオユニヴァースとメイショウサムソンだけ。別路線のウオッカとディープスカイを除けば、いずれも故障などで回避しています。今年も、久しぶりに皐月賞馬とダービー馬の対決と騒がれましたが、結局直前にディープブリランテの屈腱炎が明らかになり、出走はかないませんでした。

おそらく3歳春という未完成な時期に、2400mという底力が必要な距離で、目一杯の勝負をするということは、想像以上に大きな負担となっているのでしょう。
「無事これ名馬」という言葉が、今更ながらに実感を伴いますが、もっとも速い馬が勝つといわれるレースと、もっとも強い馬が勝つといわれるレースを制したゴールドシップには、無事にさらなる高みを目指してほしいと思います。

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