日本ダービーの予想においては、もっともダービー馬の称号にふさわしい馬は誰かというところから予想を始めます。これはほかのレースとは違って、やはりダービー馬と呼ばれるのにふさわしい馬にダービーを勝ってほしいという思いがあるからです。毎年見ていて、個人的にもダービーというのは特別なレースなんだということを、強く感じるのです。
今年は皐月賞を1番人気で強い勝ち方をしたロブチェンが、ダービーでも1番人気に支持されている以上、当然もっともダービー馬にふさわしいと思いました。ここまで世代限定の牡馬G1を2勝しているのはロブチェンだけということも、その根拠を強めています。
ロブチェンは1戦1勝で臨んだホープフルSで、7番人気ながら中団から3/4馬身差で差し切って、G1ホースとなります。ところがほかに重賞実績がないことが災いしたのか、最優秀2歳牡馬の称号は朝日杯FSを勝ったカヴァレリッツォのものとなってしまいます。
3歳初戦はダービーを意識したのでしょう、東京の共同通信杯に出走。3番人気という微妙な人気になり、レースでも先行したリアライズシリウスを捉えられず、ベレシートには後ろから差されて、アタマ+クビ差3着まで。ただし賞金は足りているため、春のクラシックを意識した余裕の作りだったことは明らかで、無敗記録が途切れたのは残念でしたが、決して悲観する敗戦ではなかったのです。
そして臨んだ牡馬クラシック第1弾の皐月賞。ロブチェンは前哨戦で負けているにも関わらず、4.0倍の1番人気に支持されます。個人的にはホープフルSのレベルや共同通信杯のレースぶりにやや疑問を感じて対抗評価でした。
レースでは松山騎手は、新馬戦でしか逃げたことのないロブチェンを、意表の逃げという形で進めます。2番手につけたリアライズシリウスとマッチレースとなり、直線はいったんリアライズシリウスが前に出たものの、内から差し返したロブチェンは、結局3/4馬身差で1冠目を奪取しました。
その強い勝ち方からダービーでも1番人気になったロブチェンですが、ここで1つのジンクスが立ちはだかることになります。それは1分57秒台で皐月賞を勝った馬が、1頭もダービーを勝っていないということ。
過去10年で皐月賞を1分57秒台で勝ったのは、ディーマジェスティ(2016年)、アルアイン(2017年)、ジャスティンミラノ(2024年)、ミュージアムマイル(2026年)の4頭。ジャスティンミラノがダービーで2着に入っていますが、あとの3頭は着外に敗れています。
これはおそらく、スピードに勝った馬たちが皐月賞ではそれを生かして勝利したものの、距離が伸びて自らの特性を活かせなかったということなのでしょう。
そして今年、ロブチェンの皐月賞での勝ち時計は、レースレコードとなった1.56.5。究極のスピード争いとなった皐月賞の結果を見ると、はたしてダービーで上位に来られるのかと心配になります。またダービーでは逃げた馬は過去10年で2着1回のみとほぼ壊滅状態で、同じ戦法では難しそうです。
しかし個人的にはどちらも心配はないだろうと思いました。
まず前者ですが、ロブチェンの父は菊花賞馬のワールドプレミア。母系も短距離血統ではなく、スタミナ的に問題はなさそう。
またホープフルSでは中団から1番の上りで差し切っており、逃げなくても力を出すことができる裏付けがあったのです。
また調教では800mと短めながら、きっちり追うと伸びやかで気合いの入った走りを見せ、パドックでは落ち着いていながら適度な気合乗りで集中して歩き、毛づや良くトモの踏み込みも深くしっかりとしていて、とても良く見せていました。

レースでは外目の17番から好スタートを切ると、松山騎手は押して促しますが、結局中団の外につけます。1000mが1.00.7と平均やや遅めのペースで、向こう正面ではバステールがまくって前に行くも、中団の位置をキープ。
そのまま直線は外に出すと懸命に前を追います。しかしペースが遅めだったこともあるのかなかなか差が詰まらず、残り200mでも先頭から4,5馬身後方の位置。届かないかと思いましたが、残り100mで1馬身半差の3番手まで上がると、最後は内のパントルナイーフに合わせに行き、ゴール直前で並んで先頭に立つと、ゴールの瞬間はアタマ差前に出ていました。
松山騎手はダービー騎乗11回目にして初勝利。今までは2023年ハーツコンチェルトの3着が最高でしたが、その2023年には皐月賞で2着に持ってきたタスティエーラが、ダービーではレーン騎手に乗り替わりとなり、そのままダービーを勝たれるという悔しい思いもしてきました。
また杉山晴師はこれがダービー初制覇。最近はG1の常連となりつつあり、リーディングトレーナーでも1位を独走中ですが、新たな勲章となりました。
そしてロブチェンは史上25頭目の皐月賞&ダービー2冠馬となりました。血統的に距離不安がないこともあり、秋は父の制した菊花賞で3冠に挑戦する可能性が高いと思います。
父ワールドプレミアの産駒で、ほかに2勝以上した馬はおらず、突然変異的な存在ではありますが、父の名を上げるためにも、ぜひ偉業に挑戦してほしいと思います。
