大荒れとなった要因とは ~フェブラリーS

フェブラリーSは過去10年で1番人気が5・2・2・1と安定しており、比較的荒れない印象があります。
とはいえ2014年は最低人気のコパノリッキーが勝って馬連84,380円、3連単949,120円。また2020年も同じく最低人気のケイティブレイブが2着に来て馬連36,230円、3連単464,920円と荒れたこともあるのです。しかし2014年は2着が2番人気で3着が1番人気、2020年は1着が1番人気で3着が3番人気と、上位人気馬もしっかり来ていたのです。

ところが今年は1着ペプチドナイル(11番人気)、2着ガイアフォース(5番人気)、3着セキフウ(13番人気)と人気馬総崩れの結果に終わりました。
この結果を事前に予想することはかなり難しいのですが、なぜこのような結果になったのかを推測することは、今後の役に立つかもしれないので、少し考えてみたいと思います。

まずは人気薄で好走した馬たちについて、その人気になった要因と好走理由を考えてみます。

1着のペプチドナイルですが、オープン(リステッド)は2勝しているものの、重賞は3戦して昨年のみやこS4着が最高と、馬券圏内になったことはありません。これだけ見れば、11番人気も妥当でしょう。
前走東海Sは、2走前のリステッド競走を勝っていたため3番人気でしたが、2 3/4馬身差6着に敗れています。その敗因として藤岡佑騎手は、スローの2列目に入ってしまい流れが向かなかったと言っています。ほかの先行馬が1~3着を占めているので、速いペースで他の先行馬が末脚を無くす中、抜け出すような競馬が得意ということなのでしょう。実際に2走前は59kgを背負いながら、平均ペースを先行抜け出しで勝っています。
そして今日のレースでは、ドンフランキーが600m33.9と芝のレースのようなハイペースで逃げ、それを4番手で追走したペプチドナイルは、先行馬が総崩れとなる中、抜け出して1 1/4馬身差で快勝しています。
パドックでは素軽い歩様で毛ヅヤも良く、調子がよさそうだとは思ったのですが、それと流れが向いたことが今回の勝利につながったのでしょう。

【ペプチドナイル】素軽い歩様で毛ヅヤも良く調子良さそうに見えました
【ペプチドナイル】人気薄でしたが見事な勝ちっぷりでした
【ペプチドナイル】人気薄なのでウイニングランしてもいいか迷ったと言っていました

2着のガイアフォースはセントライト記念を勝ち、安田記念では1 1/2馬身差4着に好走していますし、天皇賞(秋)では2番手から抜け出してイクイノックスの5着に粘った競馬が印象的でした。しかし今回が初のダート挑戦。母父クロフネで父キタサンブラックとダートで走る可能性はあるにしても、いきなりG1では荷が重いと思われます。ところが重賞で常に好走することもあり、5番人気という評価でした。
今日のレースではいつもよりやや後ろの中団を追走。ハイペースもあって、位置的にはちょうどよかったかもしれません。またマイル適性もあり、初ダートで砂をかぶってもいやがらなかったことも、好走につながったと思います。
そして初騎乗の長岡騎手も人気薄の要因の1つだったと思いますが、4年前に最低人気で穴をあけたケイティブレイブの鞍上も長岡騎手。杉山晴厩舎としては、それ以来の2着だったのですが、乗せる根拠があったということなのでしょう。

3着のセキフウは昨年のエルムSを勝っているものの、後ろからの脚質ということもあり、成績が安定しませんでした。それが武豊騎手騎乗にもかかわらず人気薄だった要因でしょう。
しかし今回はハイペースで流れたことが奏功したと思います。後方追走から、メンバー1の末脚(36.4)を繰り出して、3着まで追いこんできました。

続いて人気馬たちの凡走について考えてみます。

1番人気は、ルメール騎手騎乗のオメガギネスでした。当然鞍上込みの人気ではありますが、重賞未勝利ながら3・2・0・0と底を見せていない成績は当然魅力的です。また前走東海Sは先行して、ウィリアムバローズの1馬身差2着と好走。惜しいレースを見せていました。
しかし6番手を追走して手応え良く直線を向くものの、まったく伸びずに後退していき、14着と大敗してしまいました。ルメール騎手は前走の疲れが残っていたことを示唆していますが、逆に言うと、それぐらいしか考えられないような手応えのなさでした。

2番人気は、チャンピオンズCは追いこんで、東京大賞典は逃げて、ともに2着と好走したウィルソンテソーロでした。この2走で好走した原騎手から松山騎手に乗り替わったウィルソンテソーロは、ハイペースで逃げるドンフランキーを2番手で追走し、直線に向くとすぐ後ろにいたペプチドナイルに合わせて伸びようとしますが、残り400mで手ごたえがなくなり後退。最後に逃げたドンフランキーはなんとか交わしたものの0.9秒差8着に敗れてしまいました。
結果論としてはハイペースを2番手でついていったことが直接の敗因でしょうが、東京大賞典はスローで逃げて展開が向いたことと、2戦連続G1で好走した疲れが残っていたことも考えられると思います。

3番人気は、チャンピオンズC、東京大賞典ともに先行して3着に粘ったドゥラエレーデでした。
好スタートから前に行くも、ペースの速さに気づいたかやや下げて好位につけます。そのまま直線に向いたものの、残り400m手前で手ごたえが悪くなり、ムチを入れても反応せず、結局1.1秒差12着でゴール。
ムルザバエフ騎手は距離が短くて息が入らなかったことをおもな敗因にあげていましたが、たしかにハイペースを先行したことが大きいと思います。またウィルソンテソーロ同様に、G1を2戦連続目いっぱいの競馬で好走した影響もあるのではないかと思います。

そのほかに考えたのが、世代間の力差です。
昨年の有馬記念の際に、3歳世代の力量に疑問があるということを書いたのですが、今回も1,3番人気に推された4歳馬が、2頭とも大敗してしまいました。過去10年で4勝し、連対率も20%ある4歳馬が、今年はミックファイアの7着が最高と、全くいいところがなかったのです。
もし4歳世代が信頼できないとなると、特に今後の重賞予想においては、大きな影響を与えることになります。これについては今後も慎重に見ていく必要があると思います。

また今回の2~4番人気の3頭に当てはまるのですが、前走地方の競走に出ていた馬は勝てないというジンクスもあります。過去10年で見ても、前走地方から2着に来た馬は4頭いるのですが、1着馬はすべて前走がJRAのレースだったのです。
そしてこれは今年も継続されました。

このように後になってからいろいろ分析したり理由を考えたりすることはできるのですが、問題は事前にそこまで考えが及ばないということです。もし考えたとしても、方向性が大きく違ったりするのですが。
なかなか反省が生かせられないのですが、それが競馬ということなのかもしれません。

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