チューリップ賞、弥生賞の結果を受けて

今週はクラシックの有力なトライアルである、チューリップ賞、弥生賞ディープインパクト記念(以下弥生賞)が行われました。まだフィリーズRやスプリングS、毎日杯などもありますが、ほぼ有力どころが見えてきた感じなので、とりあえずこの2戦について分析してみたいと思います。

まずチューリップ賞ですが、人気は朝日杯FSで3着に入ったタガノエルピーダが1番人気で、以下アルテミスS3着、フェアリーS4着のスティールブルー、1勝C菜の花賞1着のミラビリスマジック、イクイノックスの半妹ガルサブランカと続きました。
パドックでは上位3頭は良く見え、特にスティールブルーはなかなか良いと思ったのですが、結果として上位人気4頭は3着内に入れず、かろうじてタガノエルピーダが3 1/4馬身差4着となりました。

9番人気のセキトバイーストが逃げたペースは34.5と、やや重馬場を考えても平均ぐらい。それをタガノエルピーダは3番手、ミラビリスマジック、スティールブルーはその直後と、いずれも先行します。
しかし直線に入っても3頭とも伸びがなく、そこへ外から1頭だけ違う脚で伸びてきたのが、武豊騎手騎乗の5番人気スウィープフィート。残り200m過ぎに逃げるセキトバイーストを交わして先頭に立つと、メンバー1の上り34.3で1 1/4馬身差1着。
2着はセキトバイーストが粘り、3着も後方から2番の上り34.7で伸びて1/2馬身差のハワイアンティアレ(15番人気)。

スウィープフィートは父スワーヴリチャード、母方の祖母がスイープトウショウという血統。前走までの5戦はすべて永島まなみ騎手が手綱を取り、前走エルフィンSは先行してクビ差2着という実績でした。2走前の阪神JFは後方待機から追いこんだものの0.9秒差7着。これまでの成績からはそれほどの切れる脚が使えるイメージはなかったのですが、やや重の馬場が合ったのか、鞍上との相性が良かったのか、一変のレースぶりを見せました。

勝ちタイムの1.33.1は、やや重ながら過去10年では2番目に速いという優秀なもの。それをすばらしい脚で差し切ったので、価値は相当高いと思います。これで桜花賞の有力候補に躍り出たと言えるでしょう。
他の有力どころでは、阪神JFを勝ったアスコリピチェーノ、アルテミスSを勝ったチェルヴィニア、サウジアラビアRC2着のボンドガール(ニュージーランドTと両にらみ)が桜花賞直行となり、ホープフルSを勝ったレガレイラは皐月賞路線ということで、近年2歳戦からの直行がトレンドとはいえ、それぞれ久々になるので状態が気になります。

チューリップ賞組は、2016年のジュエラーを最後に桜花賞での勝ちはないのですが、昨年もチューリップ賞の2,3着が桜花賞でも2,3着に入ったように、変わらず有力なトライアルではあります。
先行した有力各馬が馬群に沈む中逃げ粘ったセキトバイーストも、3着に差してきたハワイアンティアレも、人気薄とは言え見せ場を作っており、軽視はできないでしょう。ただそれぞれ桜花賞の出走権を取るために、チューリップ賞にあわせて仕上げてきたはずで、特にセキトバイーストはすでに6戦消化ということで、評価が難しいのは事実です。今後の調教も良く見ておく必要があるでしょう。

次に弥生賞ですが、1番人気は中山芝2000mで2戦2勝のトロヴァトーレ、以下アイビーSでレガレイラを下して2戦2勝のダノンエアズロック、京都2歳Sを勝ちホープフルS2着のシンエンペラー、デビュー2戦2勝のファビュラススターと続きました。
パドックを見たのですが、1番良く見えたのはシンエンペラーでした。どっしりと落ち着いて踏み込みも力強く、適度な気合乗りも好印象でした。対してトロヴァトーレはやや迫力不足でトモの踏み込みも甘く、ダノンエアズロックは入れ込み気味でテンションが高く、どちらも個人的にはあまり評価できませんでした。

レースはシリウスコルト(9番人気)が逃げてダノンエアズロックが3番手で、その直後にシンエンペラー、トロヴァトーレが続くという展開。1000mが1.00.4とスローであることを感じたのか、後方にいたコスモキュランダ(6番人気)が向こう正面で一気に上がっていて、3コーナーでは先頭に並びかけます。
そこからペースが上り、直線に入るとダノンエアズロック、トロヴァトーレは脱落。シンエンペラーが前を行く2頭を懸命に追いますが、なかなか差が詰まりません。
残り200mを過ぎてコスモキュランダが先頭に立ち、そのままじりじりと伸びて先頭でゴール。シンエンペラーはゴール前で一気に伸びて、逃げたシリウスコルトを交わすも1 1/4馬身差2着まで。さらに1 1/4馬身差でシリウスコルトが3着。

コスモキュランダは京都2歳Sが8着で、前走中山芝2000m1勝Cは後方から追いこんでクビ差2着。末脚は良いものの、1勝Cを勝てない現状では難しいのではということで、6番人気だったのでしょう。
しかしスローを読んでまくって出たM.デムーロ騎手の好判断と、それにこたえて長く脚を使ったコスモキュランダのスタミナが生きた印象です。
弥生賞はどちらかというと日本ダービーや菊花賞につながるイメージが強く、ここ3年でも勝ち馬からは2頭の菊花賞馬と1頭のダービー馬が生まれています。コスモキュランダは戦績的にやや疑問もありますが、好走するとすれば皐月賞よりもダービーや菊花賞かもしれません。
ただしこの馬も、このままでは賞金が足りなかったため弥生賞に合わせて仕上げたはずで、上がり目という意味ではやや疑問も感じます。

そして正攻法で一番強い競馬をしたのは、2着のシンエンペラーでしょう。ホープフルSに続く惜敗も、力があることは明らかですので、特に直線の長い東京や京都では、より強いレースを見せてくれるかもしれません。

個人的には、今日の出走馬で生き残りは上位2頭という印象でした。ただしいずれもペースの上がる皐月賞向きという感じはせず、また近年皐月賞で弥生賞上位の好走は少ないので、皐月賞の予想は別路線の馬を中心に考える必要があると思います。

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