近年クラシックを占ううえで、ますますその重要性が増している共同通信杯。
3歳になってクラシック前に東京で行われる唯一のオープン競走ということで、日本ダービーを意識する有力馬が東京を経験させておきたいと集まる傾向にありますし、皐月賞まで適度に間隔があくことも、その魅力を高めているのでしょう。さらに昨年までは別定重量戦だったのが、今年から馬齢重量戦になり、重賞勝ち馬など賞金を持っている馬が参戦しやすくなったのです。
出走馬のレーティングが上がることで、近い将来にG2への格上げがあるかもしれません。
そして今年も有力馬が集まりました。
目玉は何といっても、昨年末の朝日杯FSを制して2023年の最優秀2歳牡馬に選ばれたジャンタルマンタルでしょう。3戦無敗でデイリー杯2歳Sから重賞連勝中。1800mの走りを見ることで、日本ダービーまでのめどをつけたいという陣営の思惑があると思われます。そのジャンタルマンタルが2.5倍の1番人気に支持されました。
2番人気（4.8倍）は、ホープフルSで内を突いて前が詰まったことで、脚を余し5着に敗れたミスタージーティー。矢作師が坂井騎手の騎乗ぶりを強く非難したことで話題になりましたが、スムーズに抜けていれば上位もあったと思われました。
3番人気（5.3倍）は朝日杯FSで最後方から2着に追いこんだエコロヴァルツ。直線が長く広い東京なら、ジャンタルマンタルとの差を逆転できるのではという期待もあったでしょう。
以下、1戦1勝のジャスティンミラノ（6.6倍）、ベラジオボンド（7.3倍）、シンザン記念で5着と敗れたものの新馬勝ちが強かったショーマンフリート（8.5倍）と6頭が単勝1桁人気となりました。
見所は上位人気3頭のレースぶりだったと思います。朝日杯FSとホープフルSの上位組の戦いを見ることで、2つのレースの格付けもおのずと見えてくると思われました。
また新馬勝ちから臨む馬の好走が目立つレースでもあり、2頭の1戦1勝馬からスター候補が生まれるかということも注目されました。
レースは人気薄のパワーホールが逃げますがペースが遅く、好位のジャスティンミラノ、エコロヴァルツ、ジャンタルマンタルは行きたがるのを懸命に抑えます。
1000m通過は1.02.6のスローペース。毎年ペースが上がらずに先行馬の差し比べになる傾向が強いのですが、過去10年で見ても、やや重だった2020年（1.03.2）に次ぐ2番目の遅さ。これでは後方の馬たちに出番はないだろうと思いました。
そしてレースは2番手から抜け出したジャスティンミラノが1 1/2馬身差をつける快勝で、好位からそれを追ったジャンタルマンタルが2着。3着は逃げた9番人気（151.2倍）のパワーホールが残るという結果になりました。
上位2頭の上りは32.6と究極の速さで、さすがに後ろからこれを差すのは無理でしょう。そして勝ちタイムは1.48.0。これも過去10年では2020年（1.49.6）、2014年（1.48.1）に次ぐ遅いタイムでした。
この結果を受けての感想ですが、今日の出走馬の中で、クラシックに向けての生き残りは上位2頭に絞られたという印象です。
実はジャンタルマンタルについては、調教もあまりよく見えず、また十分な賞金を持っていることからあくまでたたきと思われ、1着はないのではと思っていました。それでもパドックでは落ち着いていてトモの踏み込みも深く、とてもよく見えたので、好走はするだろうと思いました。
逆にジャスティンミラノは調教はとてもよかったのですが、パドックではトモの送りなども今一つで、正直あまり良くは見せませんでした。
そして2頭とも向こう正面では掛かり気味に前に行ったのでどうかとは思ったのですが、結果的にはそれが展開としてはよかったのでしょう。直線で抜け出す脚は2頭ともしっかりしており、特にジャンタルマンタルはいったん下げながらも、最後までしっかり脚を使ってジャスティンミラノとの差を詰めており、ある程度距離に目途をつけられたと思います。その意味では、着順以上に評価できる結果だったのではないでしょうか。
しかしスローの前残りというレース展開は、逆にジャスティンミラノについてはデビュー戦に続いてスローを先行して勝ったこともあり、クラシックに向けてそれほど高く評価はできないのではと思います。皐月賞も日本ダービーもここまでスローになることはないので、展開的にはより厳しくなるのではないでしょうか。
正直言ってメンバーがそろったわりには、超スローで凡戦となったことで、やや期待外れではあったのですが、クラシックに向けてのふるい落としという意味では、ある程度目途が立つ結果だったという印象です。
近年トライアルからの馬たちが、本番で結果に結びついていないこともあり、ここまでの結果でもある程度クラシックが占えるのではと思います。2歳戦からの結果もあわせて、予想に結び付けていきたいと思います。