2023年度JRA賞発表を受けて

2023年の年度代表馬と競走馬各部門の受賞馬が、記者投票により決定して発表されました。まずはその結果から。

●年度代表馬、最優秀4歳以上牡馬
イクイノックス
イクイノックス
●最優秀2歳牡馬
ジャンタルマンタル
●最優秀2歳牝馬
アスコリピチェーノ
●最優秀3歳牡馬
タスティエーラ
タスティエーラ
●最優秀3歳牝馬
リバティアイランド
リバティアイランド
●最優秀4歳以上牝馬、最優秀マイラー
ソングライン
ソングライン
●最優秀スプリンター
ママコチャ
ママコチャ
●最優秀ダートホース
レモンポップ
レモンポップ
●最優秀障害馬
マイネルグロン
●特別賞
ウシュバテソーロ

昨年末に予想したのですが、残念ながら最優秀2歳牝馬と最優秀4歳以上牝馬を外してしまいました。
最優秀2歳牝馬はホープフルSを勝ったレガレイラをあげたのですが、阪神JFを勝ったアスコリピチェーノとなりました。票数は163対132と意外と差がついた印象です。
その理由はいくつかあると思いますが、まずはアスコリピチェーノが負けていないということがあるでしょう。レガレイラは2戦目のアイビーSで前を捉えられずに3着と敗れて3戦2勝。対するアスコリピチェーノは新潟2歳Sからの重賞連勝で3戦3勝。純粋に重賞勝利数でいえば、アスコリピチェーノということになります。
またその勝ちタイムは1.32.6と優秀なもの。これは過去10年で最速で、1分32秒台も2019年のレシステンシア(1.32.7)と2頭しかいません。牝馬クラシック第1弾の桜花賞は1600mであり、そこに最も近いという意味では、やはりアスコリピチェーノが妥当ということなのだと思います。
牡馬に勝つ牝馬は昨今では珍しくなく、そこはそれほど重視されないという面もあるのかもしれません。

そして最優秀4歳以上牝馬ですが、なるべく1頭に2部門を取らせないという配慮があるのではと思って、マイルCSを勝ったナミュールをあげたのですが、やはり実績が違うということなのでしょう。ソングラインは春にヴィクトリアM、安田記念とG1を2勝し、秋も勝利こそなかったものの毎日王冠でハナ差2着。古馬牝馬の中では抜けた実績をあげているのは確かなので、納得の結果ではあります。

今回最も議論を呼んだのは、やはり最優秀ダートホースの部門だったと思います。
JRAのダートG1をともに制して、さらに南部杯も勝ったレモンポップに対して、JRAのレースには1度も出走しなかったウシュバテソーロは川崎記念、東京大賞典のほかに、ドバイワールドカップで世界のG1も制覇。どちらを上にするかは、大いに意見が分かれるところでもあったのです。
JRA賞である以上はJRAの成績を重視すべきという意見もあるでしょうし、世界最高峰のレースを勝った事実を評価するべきという意見もあるでしょう。
とはいえ、166対126と意外と差がついたなというのが、素直な印象です。さらに3人の記者が別の馬に投票したというのも、ちょっと驚きでした。
ただウシュバテソーロには特別賞を贈ることで、快挙への評価がしっかりされたことは良かったと思います。

そして年度代表馬は、予想通りイクイノックスでした。
一度も負けることなくG1を4連勝。しかもドバイシーマクラシックを圧倒的な逃げ切りで制したと思えば、宝塚記念は追いこんで勝利。天皇賞(秋)、ジャパンCはまさにレベルの違う強さを見せました。その安定感は、個人的にはディープインパクト以来のものだと感じました。
とはいえ年度代表馬も最優秀4歳以上牡馬も満票とならなかったことは意外でした。年度代表馬ではリバティアイランドに2票、最優秀4歳以上牡馬ではドウデュースに1票入ったのです。どちらも力はあり、前者は牝馬3冠、後者は有馬記念で復活と、とても印象的な活躍をしたのも事実です。しかし2頭とも直接対決ではイクイノックスには勝てませんでした。
おそらくそれぞれ思い入れがあってのことだろうとは思いますが、いろいろな見方があるものだと思いました。
リバティアイランドもドウデュースも現役を継続するので、今年はさらに昨年を上回る成績を残して、次こそは文句なく年度代表馬に選ばれるような活躍を期待したいと思います。

2023年は、2012年から続いてきたディープインパクトのリーディングサイヤー1位がついに途切れて、ドゥラメンテが初の首位になりました。平地G1勝利はリバティアイランドの3勝を含めて5勝。ほかにもスターズオンアース、タイトルホルダー、ドゥラエレーデなどの活躍もあり、産駒の層の厚さが印象的でした。しかしドゥラメンテも2021年に死亡しており、今年の3歳世代が最後。その天下が短いことは確実です。
そんな中で、2歳世代のリーディングサイヤーで注目されたのがスワーヴリチャードでした。順位は3位ながら勝ち上がり率は高く、アーニングインデックス(産駒の平均収得賞金の割合を数値で表わしたもの。平均が1.00)はトップ10では唯一2を超える2.32。レガレイラというスター候補も誕生し、産駒がクラシックでどのような活躍を見せるか楽しみです。

また全体的に昨年は3歳牡馬の活躍が今一つで、強い4歳世代に押されていた印象があります。牝馬はリバティアイランドやブレイディヴェーグなどの活躍がありましたが、牡馬は全体的にパッとしませんでした。これは今年の古馬戦線にも大きく影響してくるでしょう。
年が明けて新たな4歳世代が成長して巻き返してくるのか、あるいは引き続き5歳世代が中心になるのか、よく見ていく必要があると思います。

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