2強では決まりましたが ~天皇賞(春)

今年の天皇賞(春)は、昨年2着で有馬記念も2着に入り、阪神大賞典を連覇したディープボンドと、昨年の菊花賞を5馬身差で圧勝し、日経賞を逃げてクビ差ながらも勝ったタイトルホルダーの2強という構図でした。
それぞれの単勝オッズは2.1倍と4.9倍。3番人気が7.8倍なので、やや微妙ではありますが、今年G2を勝っているのはこの2頭だけであり、実績的には抜けていると言ってもいいでしょう。

過去にも何回か書いていますが、2強対決という場合は、だいたい1頭が崩れてしまい、2頭でワンツーという例はかなり少ない印象があります。では実際にはどうなのでしょう。
2強の定義が難しいので、とりあえずこのコラムで過去に2強対決と書いた場合の結果がどうだったのか、調べてみました。あくまでここで取り上げた例だけなので、厳密な数字ではないですが、傾向はつかめるのではないでしょうか。

2010年からのG1レースで、2強対決と書いているレースは全部で14ありました。そのうち2頭が1,2着に入ったのはわずかに3戦。1,3着は4戦。1頭は1着でもう1頭は着外が4戦。1頭は3着でもう1頭は着外が3戦という結果でした。
さすがに2頭とも着外という例はなかったのですが、2頭の馬連が当たる確率が2割強というのは、かなり低いと言えます。さらに当然その組み合わせは配当が低いので、2強の組み合わせは外して買うというのが正解なのでしょう。

それもあって、何かが間に入るという前提で、その間に入る馬を探すというのが今回の天皇賞(春)のテーマだと考えたのです。
そこで見つけたのが、日経賞3着から臨むヒートオンビートでした。その魅力は安定した成績といい脚を長く使うレースぶり、そしてキングカメハメハと桜花賞馬マルセリーナの仔という良血。日経賞では内で先行する2頭をややコースロスのある外から追いこんでクビ+クビ差の3着と勝ちに等しい内容で、期待が持てると思いました。
さらに調教の動きも素晴らしく、パドックでの気配も1番良く見え、自信をもって2頭の相手に選んだのです。

ところが中団やや後方から進めると、4コーナー手前で前がペースを上げたのに、馬群の中で包まれて後方に置かれてしまいます。直線に入った時には、先頭とは絶望的な差が。それでも必死に追いこむものの離れた4着まで押し上げるのがやっとでした。

2強の場合、どちらかが勝つことが多く、上の14戦のうち2頭とも3着以下に敗れたのは3戦のみ。問題はどちらを選ぶかです。
今回の場合、より信頼がおけるのは昨年2着に入ったディープボンドでしょう。なにしろ距離も斤量もコースも実績があり、継続騎乗している和田竜騎手も手に入れているので安心感があります。
対するタイトルホルダーは同じ阪神の3000mで5馬身差の圧勝をしているとはいえ、その時の鞍上は弟の横山武騎手。横山和騎手はコンビを組んで3戦目で、自身まだG1勝ちがなく、前走の日経賞もクビ差の辛勝。そのあたりが単勝オッズの差に表れたと思います。

レースではタイトルホルダーが好スタートから押してハナに立つと、うまくマイペースで逃げます。対するディープボンドも押して前に行くも4,5番手まで。しかもスタート直後に落馬したシルヴァーソニックが空馬になってディープボンドと同じ位置を走っており、かなり気にして位置取りを変えようとしたりして走りにくそう。
また馬場もやや重発表ながら、後方の騎手たちは泥だらけになるなど、重に近い感じ。そんな中先頭のタイトルホルダーは、常に2,3馬身離しながらスムーズに逃げていきます。ディープボンドの和田竜騎手もまずいと思ったのでしょう。2週目の3コーナー手前から早くも激しく手を動かして促しますが、馬場もあるのかなかなか前に行けません。4コーナー手前ではムチも入りますが、直線に入った時には5,6馬身離されてしまいます。
タイトルホルダーは直線に入り追い出されるとさらに加速。2番手の4番人気テーオーロイヤルを一気に突き放します。そのまま後続を突き放し、最後は7馬身差の圧勝。菊花賞の5馬身差を上回る圧倒的な強さを見せました。

ディープボンドは離されながらも必死に前を追い、残り50mほどでテーオーロイヤルを交わして2番手に上がるもそこまで。2年連続の悔しい2着に終わりました。

結果は2強が順当にワンツーということになりましたが、着差は大きく、1強という評価になるでしょう。タイトルホルダーはこれでG1 2勝を含む重賞4勝。しかも2000mから3200mまでこなし、必ずしもステイヤーという感じではありません。
3歳時はセントライト記念で大敗するなど安定感を欠くイメージでしたが、逃げれば全勝という実績から、今後は逃げに徹するでしょうし、その安定感はすばらしいものがあります。

もちろん今後はマークがきつくなるとは思いますが、今日のレースぶりを見る限り、同期のエフフォーリアをしのぐ名馬になる可能性も十分あると思いました。
距離に融通がきくので、ぜひテイエムオペラオー以来の古馬中長距離G1 5勝を目指してほしいと思います。次走は宝塚記念のようですが、そこでは大阪杯で大敗したエフフォーリアとの再戦になるでしょう。エフフォーリアも巻き返してくるでしょうから、有馬記念以来の兄弟対決という意味も含めて、どのような結果になるか今から楽しみです。

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