丸田騎手16年目の悲願のG1制覇 ~高松宮記念

今年の高松宮記念は、スプリントG1の勝ち馬が不在ということもあり、かなり混戦というイメージでした。
一応スプリントG1で2着3回のレシステンシアが、1200mでの安定感を買われて2.2倍の1番人気となりましたが、1番人気は2016年のビッグアーサーを最後に5連敗中。しかもこの10年で2・1・3・4とあまり褒められた成績ではありません。
レシステンシア自身が昨年1番人気で2着に敗れており、その雪辱なるかという感じでした。

そして混戦に拍車をかけたのが、ドバイワールドカップの開催により、リーディング上位の騎手が何人か不在ということもあったと思います。レシステンシアはルメール騎手、2番人気のグレナディアガーズは川田騎手が乗ることが多かったものの、ともにドバイ遠征で不在。それぞれ横山武騎手、福永騎手が初めて手綱を取ることになりました。
2人ともリーディング上位ではあるものの、G1で初騎乗というのは、やはりマイナスの影響があるでしょう。

結果としてその不安は的中しました。
1番人気のレシステンシアは好スタートを切ったこともあり、横山武騎手は久々の逃げという策を選択します。そのペースは600mが33.4と重馬場を考えるとやや速め。
直線に入り激しく手を動かして追うも、後続を突き放すまではいかず、残り200mを切って手応えが悪くなって馬群に飲み込まれます。結局0.3秒差の6着とスプリント戦では初めての着外に敗れてしまいました。

2番人気のグレナディアガーズは、大外でスタートも今一つということもあり、福永騎手は後方から進めます。4コーナーも大外を回して直線に賭けますが、重馬場もあるのか阪神Cのような伸び脚は見られず。0.5秒差12着と3度目の着外に終わりました。

そんな中、優勝したのは丸田騎手騎乗のナランフレグ。
短距離の追い込み馬として、重賞でも常に1番の上りで後方から鋭い脚を使うのですが、上位には来るものの勝ちきれないという成績。2走前のシルクロードSは後方から追いこむも1 1/4差3着。前走オーシャンSも素晴らしい末脚を見せたものの3/4差2着でした。
とはいえ、個人的には展開次第で十分上位に来るのではと注目していました。

そしてもう一つ中京での成績の良さも気になった点でした。
土曜日のテレビ東京の番組で丸田騎手にインタビューしていたのですが、その時に言っていたのが、中京ではなぜか自然についていけるということ。確かに中山のオーシャンSでは4コーナー手前で懸命に追っていたものの、中京のシルクロードSでは馬なりで4コーナーを回っていたのです。
このあたりは騎手の感覚なのでしょうが、あきらかにコース適性があると思われました。

レースでは、スタート後の出足が今一つで後方につけます。2番枠ということで、そのまま内ぴったりを回って、後方のまま直線へ。内ラチ沿いから脚を伸ばすも、残り200mで外からトゥラヴェスーラに進路をふさがれ狭くなります。それでも丸田騎手は懸命に追い、内のレシステンシアと外のトゥラヴェスーラの狭い間をこじ開けるように抜けると、クビほど抜け出して先頭。
最後は外のキルロード、さらに外から差してくるロータスランドとのたたき合いになりますが、クビ差制して1着。悲願のG1初制覇となりました。

丸田騎手は美浦所属でデビュー16年目の35歳。キャリアとしては中堅からベテランという感じですが、派手な活躍はなく、リーディングも2012年の21位(52勝)が最高と、かなり地味な存在でした。
重賞はこれまで8勝していますが、G2は2014年セントウルS(リトルゲルダ)のみで、あとはすべてG3。しかも最高人気はセントウルSの4番人気で、5勝は2桁人気であげたものと、かなりの穴騎手といえるでしょう。
そんな中でも腐らずに努力してきた結果が、ようやく実ったのです。しかもデビュー時に所属していた宗像厩舎の初G1制覇というおまけもあり、引き返してきた時には感極まった感じで号泣していたのが印象的でした。

丸田恭介騎手 100勝達成時 2010年7月24日 函館競馬場

実績のある騎手がG1を勝つのもいいのですが、初G1制覇というのは、見ている方も感動させられることが多くあります。
今日のレースは丸田騎手が初G1勝ちとなりましたが、2着の岩田望騎手、3着の菊沢騎手、4着の鮫島駿騎手もG1は未勝利。しかもその着差がクビ、ハナ、クビ。少しタイミングが違っていれば着順が変わっていた可能性もあるわけで、3騎手にとってはかなり悔しい結果だったでしょう。

次にG1を勝つ機会はまた必ず来ると思いますので、地道に努力をして、ぜひそのチャンスをつかみ取ってほしいと思います。

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