ディープインパクト産駒の強さとエピファネイア産駒への疑問 ~大阪杯

今年のG1は荒れ気味ですが、先週の高松宮記念に続いてまたもや荒れた結果となりました。

勝ったのは単勝8番人気の牡5歳ポタジェ。金鯱賞4着からの戴冠でした。
ポタジェといえば、重賞では好走するも1歩足りない感じで今まで未勝利。G1では昨年の天皇賞(秋)で好位から6着に粘ったものの、着差は5馬身と大きく、正直言ってG1を勝ちきるイメージは沸きませんでした。

しかし今日のレースでは、好位を追走すると4コーナー手前でうまく外目に出して、すぐ前を走るレイパパレをマークするように直線へ。そのまま外からじりじりと脚を伸ばすと、ゴール直前でレイパパレを交わし、さらに外から追いこんできたアリーヴォを抑えて、レイパパレにクビ差での戴冠。
初重賞制覇をG1で飾るという快挙を成し遂げました。

ディープインパクト産駒は4頭出ていたのですが、そのうちの2頭でワンツーと、この舞台での強さを改めて示しました。
G1昇格後の6回で、アルアイン(2019年)、レイパパレ(2021年)に続く3勝目と半分を勝っており、さらに3着以内となると毎年1頭は必ず送り込んでいるという状況。ここまではディープインパクト産駒を無視した馬券戦術は成り立たないというのが実態です。

ところが以前「ディープインパクト産駒のダービー馬。その後。」で書いたように、古馬になって初めてG1を勝ったディープインパクト産駒の牡馬はこれまで5頭しかおらず、そのうち4頭はマイルG1。2000mのG1を勝ったのはスピルバーグ(2014年 天皇賞(秋))だけでした。
この事実からディープインパクトの特に牡馬は成長力に疑問があり、古馬になってから活躍する牡馬はマイル戦中心という感覚がありました。それもあって大阪杯でのポタジェは少し軽視してしまったのですが・・・。

そしてそれ以上に驚かされたのは、昨年の2冠+有馬記念を制して年度代表馬に輝き、1.5倍という圧倒的な人気に支持されたエフフォーリアの凡走でした。

逃げて5連勝を飾り、前走の金鯱賞をレコードで逃げ切ったジャックドールの存在があるので、その逃げ切りを防ぐために、エフフォーリアは好位につけるだろうと思っていました。
しかし横山武騎手はスタート後に下げて、中団を進みます。3コーナーすぎから激しく手を動かして促すも、どんどんポジションを下げていき、4コーナーを回った時は後方の外。そこからもほとんど伸びを見せず、デビュー以来初めて連対を外して9着に大敗。
そのまったくエフフォーリアらしさの見えないレースぶりは、驚きを通り越してショックですらありました。

高松宮記念に続いて圧倒的1番人気で敗れた横山武騎手は、1週前追い切りでの重さがそのまま残っており、輸送の影響で金、土と馬場入りできなかったことなどを敗因にあげていましたが、先週に続いて「なぜ負けたのだろう」というのが正直な想いではないでしょうか。

もちろん本当のところはわかりませんが、戦前に不安な点としていくつか上がっていた中で印象的だったのが、エピファネイア産駒の成長力への疑問でした。
エピファネイアの代表産駒といえば、エフフォーリア以外では2020年の3冠牝馬デアリングタクトや、同じく2020年の菊花賞でコントレイルを最後まで苦しめたアリストテレスが思い浮かびます。ところがこの2頭とも、古馬になってからは活躍できていないのです。

デアリングタクトは3冠達成後のジャパンCこそアーモンドアイ、コントレイルの3着に入って、さすがというところを見せましたが、4歳になって金鯱賞で2着に敗れると香港のクイーンエリザベス2世Cでも3着。その後ケガで戦列を離れています。

アリストテレスは4歳初戦のAJCCこそ人気に応えて勝つものの、その後は京都大賞典2着以外はG1で掲示板に乗れないような成績を繰り返し、ジャパンCで有終の美を飾ったコントレイルとは大きな差が開いてしまった感があります。

この2頭に続いてエフフォーリアまで負けたとなると、エピファネイア産駒の今後が心配になります。しかもエフフォーリアのまったくファイトしない負け方は、今後の復活に疑問符がつくようなものだったと思います。

父エピファネイアが一番の強さを見せたのは、4歳のジャパンCでした。先行して最後は2着ジャスタウェイに4馬身差をつける圧勝。こんなに強い馬だったのかと驚かされたことを、よく覚えています。
もっとも古馬になって勝ったのはこのレースのみ。そういう意味では、自身も成長力に欠けるところがあったのかもしれません。
エフフォーリアは、強い勝ち方を見せた中山や東京に戻れば復活するのか、あるいはこのままずるずると負け続けてしまうのか。今後どうなるのかはわかりませんが、後者は見たくないので、ぜひ次はなんとか立て直して、強い姿を見せてほしいと思います。

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