牝馬の引退レースは・・・ ~マイルCS

競馬にはいくつか格言がありますが、その中で聞いたものの一つに「牝馬の引退レースは消し」というものがありました。
その理由としてあげられていたのは、牝馬は引退後に牧場に帰って繁殖に上がるという大事な仕事があるので、体力を温存するという意味でも、厩舎としては引退戦では目いっぱいに仕上げない傾向があるということでした。たしかにもっともな感じもしますが、最近の傾向を見ると、ちょっと疑問に感じます。
牝馬の時代と言われるように、牡馬を凌駕するような牝馬も増えており、特に歴史に残るような名牝と呼ばれる馬には、必ずしも当てはまらないのではと思うのです。

それを思い出したのは、今日のマイルCSでグランアレグリアが競走生活を引退すると聞いてからでした。
グランアレグリアはここまでマイル以下のG1を5勝しており、牡馬相手のG1も3勝。今年は距離を伸ばして2000mの大阪杯と天皇賞(秋)に挑戦。必ずしも得意な距離ではない中、4着、3着と好走しました。まぎれもなく名牝と呼べるであろうグランアレグリアに、はたしてこの格言は当てはまるのでしょうか。

まずこの10年の最優秀4歳以上牝馬を獲得した馬たちの引退レースの勝ち負けを調べてみました。もちろん予定通りに引退できるとは限らず、中にはケガにより意に沿わない引退をせざるを得ない馬もいますが、結果はこんな感じでした。

馬名引退レース人気/着順
2011年ブエナビスタ有馬記念(2011年)2番人気/7着
2012年カレンチャン香港スプリント(2012年)7着
2013年ジェンティルドンナ有馬記念(2014年)4番人気/1着
2014年ジェンティルドンナ有馬記念(2014年)4番人気/1着
2015年ショウナンパンドラヴィクトリアマイル(2016年)2番人気/3着
2016年マリアライト有馬記念(2016年)6番人気/10着
2017年ヴィブロスドバイターフ(2019年)4番人気/2着
2018年リスグラシュー有馬記念(2019年)2番人気/1着
2019年リスグラシュー 有馬記念(2019年)2番人気/1着
2020年アーモンドアイジャパンカップ(2020年)1番人気/1着

こうしてみると、年度代表馬になった名牝中の名牝と呼ばれるような馬は、ほぼ引退レースを制していることがわかります。それはジェンティルドンナ、リスグラシュー、アーモンドアイの3頭。
例外はブエナビスタですが、ブエナビスタが年度代表馬になったのは2010年。2011年はJCを勝っていますが、それ以外は負けており、前年降着になったJCを勝ったことで力を使い果たしてしまったのかもしれません。

そして今年のグランアレグリアの成績を見てみると、マイルCSを勝てばG1 6勝となりアーモンドアイ(9勝)、ジェンティルドンナ(7勝)には劣るものの、ブエナビスタとはタイ記録。年度代表馬こそ厳しいものの、上記4頭とは遜色のない成績と言えるでしょう。
そうなると引退レースを勝ってもおかしくない存在ともいえるのです。

そして今日のレースでは、1.7倍の圧倒的1番人気に支持された中、前走の天皇賞(秋)とは違って後方から進みます。当面の相手である2番人気のシュネルマイスターを前に見る位置につけると、3コーナーからは外に出して進出開始。
直線は馬場のいい大外に出して脚を伸ばすと、残り200m手前から一気に前の馬たちを交わしていき、残り100mで先頭に立ちます。最後は内から伸びてきたシュネルマイスターを3/4馬身抑えて1着。見事に引退レースを勝利で飾り、G1 6勝を達成しました。
終わってみれば着差以上の完勝で、マイルでの強さはやはり抜けていることがわかります。距離不適の天皇賞(秋)での3着は、逆にその強さを強調することになるでしょう。

そして格言の「牝馬の引退レースは消し」ですが、少なくともG1を複数勝つような名牝には、もはや当てはまらないと言えます。こうやって格言を、そして歴史を変えていくような強い馬の出現は、個人的にはわくわくしますし、大歓迎です。穴党にはつらいかもしれませんが。

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