今年のスプリンターズSは、高松宮記念の1,2着馬ダノンスマッシュ(牡6歳)とレシステンシア(牝4歳)がそのまま1,2番人気となり、グランアレグリアが出て来ない以上無風という雰囲気でした。単勝1桁はあとはピクシーナイト(牡3歳)だけで、4番人気以下は10倍以上という状況で、個人的にもその評価は妥当だと思いました。
しかし結果は、3番人気の3歳馬ピクシーナイトが先行して抜け出し、すぐ後ろから進めた2番人気レシステンシアを最後は2馬身突き放すという強い勝ち方で、初めてのG1制覇を飾りました。
福永騎手が以前から、この馬は強いと言い続けており、手放さずに乗っているということで力はあると思ったので、それなりに重視はしたのですが、ここまで強いとは思いませんでした。セントウルSでレシステンシアにクビ差まで迫った脚は見せ場があったのですが、それは力の裏付けがあったということなのでしょう。
スプリンターズSは、3歳馬は古馬より2kg軽く出られるのですが、それで有利になるというイメージはあまりありません。
実際に最後に3歳馬が勝ったのは2007年のアストンマーチャンで、それも不良馬場を逃げ切ったということで、展開の利があったという面もありました。さらに過去10年で見ても、3歳馬の成績は0・1・1・12と連対は3年前のラブカンプーのみ。かなり厳しい印象です。
毎年秋になると、今年の3歳世代はどうなのかということが話題になります。これからのG1戦線で3歳馬の取捨をどうするかは、かなり重要なテーマだと思うのです。
そうしてみると、今年の3歳馬はかなり期待が持てるのではないかと思います。
3歳馬が古馬とともにレースに出られるようになるのは、ダービーの翌週からですが、今年はさっそく3歳馬の力を象徴するような結果となりました。G1安田記念で、NHKマイルCを勝ったシュネルマイスターが3着に入ったのです。
そもそも安田記念に3歳馬が出ることが少ないのですが、馬券対象となったと言えば、2011年1着のリアルインパクト以来10年ぶりのこと。のちにマイルCSを勝つミッキーアイルも、3歳時は2番人気ながら16着に大敗しており、かなりハードルが高いと言えるでしょう。
さらに7/4のCBC賞でピクシーナイトが2着に入り、初めて3歳馬が古馬混合重賞での連対を果たすと、7/25のアイビスSDでオールアットワンスが1着となり、古馬重賞初制覇。
その後も北九州記念(8/22)ヨカヨカ、札幌記念(8/22)ソダシ、キーンランドC(8/29)レイハリアと次々と3歳馬が重賞を勝ちます。特にソダシはスーパーG2と言われる札幌記念で、ラブズオンリーユーやペルシアンナイトなどのG1馬を相手に2番人気でしっかり勝ちきり、その強さを印象付けました。
そして今日、スプリンターズSでピクシーナイトが古馬相手にG1を完勝。ここまで重賞はシンザン記念を逃げ切って1着になっただけで、NHKマイルCは逃げて12着と完敗。その後スプリント戦に矛先を変えてそれが実ったわけですが、3歳世代でそれほど目立った成績を残してきたとは言えないでしょう。
そうなると、今年の3歳世代の秋シーズンでの活躍に期待が持てます。
昨年のマイルCSの際にも世代間比較について書いたのですが、そこで見えたのは昨年の5歳世代の強さでした。それはつまり、3,4歳世代があまり強くないとも読めたのです。
それから1年たち、昨年の5歳世代は6歳となって世代交代が進んでいきます。その中で今年の4,5歳があまり期待できないとなると、3歳世代が旋風を巻き起こすかもしれません。
まだ秋のG1シーズンは始まったばかりですが、世代間の争いも興味深いものがあります。この仮説が当たって、馬券につながると、言うことないのですが。
ところでスプリンターズSの3着は10番人気のシヴァージが入り、中荒れとなりました。最初は重賞実績の無さから軽視していたのですが、重賞でも常に1番の上りで走っていることに気づき、ひもに入れることにしました。
その理由としては、先行馬が多くペースが上がるのではという読みもあったのですが、吉田隼騎手に乗り替わるというのも魅力でした。吉田隼騎手はローカルが多いのですが、関東リーディング2位と今年はかなり乗れている印象。また皐月賞、ダービーでも人気薄を3着に持ってきて、やられている印象が強かったのです。
乗れている騎手に乗るというのも大事だなと、改めて感じました。