ディープインパクト産駒のダービー馬。その後。

今年のダービーをシャフリヤールが勝って、これでディープインパクト産駒のダービー制覇は5年連続で7頭目(以下いずれもデータは2021年7月現在)の快挙となりました。これはサンデーサイレンス、トウルヌソルの6頭を抜いて、JRA史上最多。ディープインパクトは2019年に死亡しているので、残るのは今年の2歳を含めてあと2世代。とはいえ2020年生まれの産駒は6頭ほどしかいないようなので、実質今年の2歳が最後ともいえるでしょう。はたしてどこまで記録を伸ばすことができるでしょうか

そんなディープインパクト産駒のダービー馬たちですが、古馬になってからほとんど活躍できていません。コントレイルが菊花賞を勝っていますが、実はシャフリヤールより前の6頭がダービー後に勝ったG1はこの1勝のみ。
キズナが2戦、マカヒキが12戦、ワグネリアンが6戦、コントレイルが3戦、ダービー後に国内のG1に出走していますが、23戦1勝という状況なのです(ディープブリランテは夏にイギリス遠征して1戦で引退。ロジャーバローズは夏の休養中に故障判明で引退)。

さらにクラシックを勝ったディープインパクト産駒の牡馬の成績を見てみると、古馬になってG1を勝ったのはアルアイン(2017年皐月賞、2019年大阪杯)、フィエールマン(2018年菊花賞、2019年・2020年天皇賞(春))、ワールドプレミア(2019年菊花賞、2021年天皇賞(春))の3頭のみ。牡馬クラシックを12頭で14勝していることを考えると、なんともさみしい数字です。
ちなみに古馬になってから初めて平地G1を勝った牡馬は、今年の安田記念を勝ったダノンキングリーなど5頭で5勝。そのうち4頭は安田記念とマイルCSのマイルG1で、残る1頭は天皇賞(秋)のスピルバーグ。どうしても早熟の傾向というイメージがぬぐえない実績です。

これらの数字を見ていると、コントレイル、シャフリヤールの今後が心配になってきます。特にコントレイルは大阪杯の疲れが長引いて宝塚記念を回避しましたし、今年いっぱいで引退という報道もありましたので、残された機会はあまり多くないかもしれません。
無敗で3冠を制したシンボリルドルフもディープインパクトも、古馬になっても強さを発揮して、最終的にG1を7勝しました。その他の牡馬3冠馬も、菊花賞を最後に引退したセントライトを除けば、ナリタブライアン以外は古馬になってG1を勝っていますし、ナリタブライアンも3歳の有馬記念は勝っているのです。
無敗の3冠馬であるコントレイルには、これらの先輩名馬たちの実績が大きなプレッシャーとなってかかっているでしょうし、だからこそ満足できない状況では出走させられないと、宝塚記念の回避を陣営は決めたのでしょう。

負けられないという意味で、大相撲の横綱のプレッシャーについて、すごいだろうなと感じるのですが、無敗の3冠馬の勲章はそれ以上と言えるかもしれません。先輩2頭は日本競馬を代表する馬ですし、その称号を汚すわけにはいかないでしょうから。

ここまで牡馬について書いてきたのですが、ディープインパクト産駒の牝馬では、古馬になって実績を残している馬も多いのです。その代表がジェンティルドンナ。牝馬3冠を制した後、オルフェーヴルに競り勝ってJCを勝ち翌年も連覇。引退戦となる有馬記念も勝ちました。
またグランアレグリアも桜花賞を勝った後、4歳時には短距離G1を3勝し、今年もヴィクトリアMを勝ってG1を5勝。
ショウナンパンドラも秋華賞を勝った後、4歳時にJCを勝っていますし、ラヴズオンリーユーもオークスを勝ったあと一時期低迷しましたが、今年香港でG1を勝って鮮やかに復活しています。

なぜディープインパクト産駒の牝馬は息長く活躍する馬がいるのに、牡馬は3歳で活躍しても古馬になると低迷する馬が多いのか、理由はわかりませんが、少なくともポテンシャルはあるはずなので、活躍する可能性はあるでしょう。
コントレイルには、ぜひ秋には復活して鮮やかにG1を勝ち、無敗の3冠馬の輝きを取り戻してほしいと思いますし、ディープインパクトの名声を受け継ぐ名馬となることを期待しています。しかし同時に馬券の予想という面からは、人気を背負って飛ぶという可能性は考えておく必要がありますし、配当的においしいのも事実です。これはシャフリヤールの今後についてもいえるでしょう。

1980年のダービーで人気の良血馬モンテプリンスをクビ差でかわして優勝したオペックホースは、その後引退まで32連敗して、史上最弱のダービー馬というありがたくない呼び方をされてしまいます。
陣営は、一時は障害転向を決断して調教を行いますが、ダービー馬を障害に出すとはという批判が高まり結局断念。SNSのある今なら、もっと大きな騒動となったでしょう。ほかのG1を勝ってもそこまでの声があがるとは思えず、やはりダービー馬の称号は特別なのだと、そのエピソードを聞いてあらためて思います。

ダービーを勝つのは多くのホースマンの目標ではありますが、実は勝った後の方が大変なのかもしれません。下手な成績は残せないという関係者の感じるプレッシャーは、かなり大きいでしょう。
それを乗り越えて、少なくともコントレイル、シャフリヤールの2頭と関係者には、頑張ってもらいたいと思います。

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