菊花賞との強い相関関係および牝馬の好走 ~天皇賞(春)

ヒモ荒れの多い天皇賞(春)ですが、今年は混戦と言われた割には固い決着となりました。また27年ぶりの阪神での開催ということで、傾向が変わるか注目されたのですが、結果としては変わらなかったと思います。
その傾向とは、内枠有利ということと、菊花賞との相関関係が強いということです。

まず内枠有利ですが、今年を含む過去10年で1枠が5連対(4勝、2着1回)、2枠が2連対(1勝、2着1回)と過半数で連対しています。特に馬番別では1番が4勝と圧倒。今後も内枠は注目する必要があるでしょう。

もう一つの菊花賞との相関ですが、今年を含む過去10年で菊花賞馬が6勝(キタサンブラック、フィエールマンの各2勝を含む)。2018年の勝ち馬レインボーラインは菊花賞2着馬なので、連対馬は7年連続7勝となります。これはかなり強力な相関関係があると言え、この2点から考えると、今年の勝ち馬ワールドプレミアは固い本命馬だったと言えるでしょう。

個人的には、ワールドプレミアが勝つ前提で、その勝ち方に注目していました。阪神芝3200mは外回りから内回りという形態で、最後の直線は京都に比べると短く、坂があるとはいえある程度前につけないと厳しいものがあります。さらに今日の傾向を見ていると、芝コースでは逃げ先行馬が残る傾向が強く、後ろからでは届かない危険性が高いと思われました。

福永騎手はワールドプレミアには初騎乗とはいえ、昨年は牡馬3冠を制するなどすでにベテランの一流騎手であり、過去のレースを見て馬の特徴も把握しているでしょうし、どう乗るべきかも考えていたでしょう。
レースでは好スタートを切ると、中団内でアリストテレスをすぐ前に見る位置につけます。折り合いにはまったく問題なく、前をやや開けてゆったりと追走。向こう正面ではやや外目に出し、2周目3コーナーではアリストテレスの外へ。昨年の菊花賞ではコントレイルに騎乗した福永騎手は、アリストテレスのルメール騎手に外から徹底的にマークされて4コーナーから直線に向きましたが、今回は逆にルメール騎手のアリストテレスを外からマークして4,5番手で直線へ。

直線に入ると、ワールドプレミアは早々に外からアリストテレスを交わし、前を行くディアスティマ、カレンブーケドール、ディープボンドを追います。そして1歩ずつ前との差を詰めると、残り100m手前でディープボンドを、100mを切ってカレンブーケドールを交わして先頭。最後に内からディープボンドが差し返そうと迫りますが、3/4馬身差振り切って1着でゴール。
道中はやや後ろ過ぎるかとも思ったのですが、1000m59.8秒とやや速めのペースだったことを考えると、ちょうどよかったのかもしれません。そしてやや上りのかかる馬場状態の中、唯一36秒台となる36.7で差し切りました。

このコース設定でのレースが2戦目ということもありますが、松籟Sの基準タイムを0.2秒上回る3.14.7のレコードタイムでの優勝となりました。京都コースのレコードが、2017年キタサンブラックの3.12.5なので、タイム的に速くはないですが、体力的に厳しい最後に坂があり、直線が短いことや、ダートがやや重だったように水分を含んだ馬場だったことを考えると、決してレベルが低いとは言えないでしょう。
京都競馬場の改修の関係で、天皇賞(春)は来年もこのコースで行われることが決まっており、時計の比較も注目です。

そしてもう一つ今年の天皇賞(春)の注目ポイントとしてあげられたのは、有力牝馬の参戦でした。秋は2000mに短縮されたこともあり、特に近年は牝馬の優勝が珍しくはありませんが、春は1953年にレダが勝ったのみ。今年は前哨戦の日経賞で1着ウインマリリン、2着カレンブーケドールといずれもG1で良績のある牝馬が上位を占め、その2頭が揃って参戦するということで、58年ぶりの牝馬の優勝もあるのではといわれました。
中でも個人的に注目したのは、カレンブーケドールでした。重賞未勝利にもかかわらず、G1では2着3回。しかもそのうちの1回は2019年のJCで有力牡馬を相手にしたもので、去年のJCでもアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという歴史的名馬ともいえる3冠馬たちに次ぐ僅差4着。
勝ちきれない面はあるものの、距離が延びればその欠点を補える可能性もあります。

そしてその期待にたがわず、カレンブーケドールはスムーズに先行すると、4コーナーでは馬なりで先頭のディアスティマに並びかけます。そして直線は馬場中央に持ち出すと、残り200mで先頭。そこから必死に粘るものの、ゴール直前でワールドプレミア、ディープボンドに相次いで交わされ3番手。しかし外から差してきたアリストテレスにはアタマ差先着して3着を死守しました。

天皇賞(春)において、牝馬で最後に3着以内に入ったのは、1955年のセカイイチ(2着)。実に56年ぶりの快挙となりました。今世紀での最高は、イギリスのマカイビーディーヴァ(2005年)、長距離得意で息長く活躍したスマートレイアー(2018年)の7着。
まさに近年の牝馬の強さを象徴する快走だと思います。ただし勝てなかった以上、陣営には悔しさしかないでしょう。しかもどんなに好走しても、おもな勝ち鞍がスイートピーS(L)のみという実績が残ってしまうのです。
5歳という年齢からも、おそらく今年がラストチャンスでしょうから、なんとかG1の勲章を取ってほしいと思います。

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