今年の世代差のおもしろい特徴 ~マイルCS

先週のエリザベス女王杯も今週のマイルCSも、近年は3,4歳馬の活躍が目立ち、5歳以上の影がやや薄くなっています。
エリザベス女王杯では、近2年2着こそクロコスミアが5歳、6歳で好走したものの、昨年までの10年で5歳で勝ったのは2012年のレインボーダリアだけで、あとの9年の勝ち馬は3,4歳で占められています。
マイルCSでは、昨年までの10年で5歳馬3勝、6歳馬1勝はしているものの、過去3年の連対馬はすべて3,4歳。

これを見ると、予想にあたって5歳以上の馬を中心にしにくくなります。たしかに秋のG1では4歳馬が中心になり、11月以降は3歳馬も徐々に台頭してくるイメージがあります。では今年の世代間の特徴はどんな感じなのでしょうか。

実はちょっと調べてみて驚いたのですが、おもしろい特徴がみつかったのです。
まずフェブラリーSからエリザベス女王杯までの古馬G1の勝ち馬の年齢を過去3年で見てみると、このようになります。
 2018年 3歳:0頭 4歳:4頭 5歳:5頭 6歳上:1頭
 2019年 3歳:0頭 4歳:7頭 5歳:3頭 6歳上:0頭
 2020年 3歳:0頭 4歳:3頭 5歳:6頭 6歳上:1頭
また2着までの連対馬に広げてみるとこんな感じです。
 2018年 3歳:1頭 4歳:8頭 5歳:7頭 6歳上:4頭
 2019年 3歳:0頭 4歳:11頭 5歳:6頭 6歳上:3頭
 2020年 3歳:0頭 4歳:5頭 5歳:11頭 6歳上:4頭

特に2着までの20頭の年齢を見てみると、明らかに今年の5歳勢(去年の4歳勢)の成績が突出していることがわかります。

あわせて今年の5歳が3歳だった2018年の古馬混合重賞の成績を、今年の3歳と比べてみると、その特徴がよくわかります。
まず2018年は最初の連対馬が出たのが、7/26のアイビスサマーダッシュのラブカンプー(2着)。そして最初の重賞勝ちが8/12の関屋記念のプリモシーン。さらに新潟記念をブラストワンピース、マイルCSをステルヴィオが勝つなど、マイルCSまでに重賞4勝、2着5回という成績をおさめます。
対して今年は、最初の連対馬は9/13の京成杯AHのスマイルカナ(2着)。そして最初の重賞勝ちは10/3シリウスSのカフェファラオ。毎日王冠をサリオスが圧勝しましたが、マイルCSまでに重賞3勝、2着2回となっています。

こうやって見てみると、今年は5歳勢を中心に考えるのが正解ということがよくわかります。
そして例年なら中心となる4歳ですが、こちらもG1での成績を見ると、おもしろい特徴が見えてきます
今年の古馬G1での4歳の連対数がのべ5頭となっていますが、実はこれは2頭の馬だけで作った記録なのです。その2頭がグランアレグリア(G1 3勝、2着1回)とクロノジェネシス(G1 1勝、2着1回)。

以上から、4歳馬で買えるのはグランアレグリアだけで、その相手は3歳馬ではなく5歳馬が有力ということがわかります。そして結果はその通りとなり、1着はグランアレグリアで、2着は5歳馬のインディチャンプでした。

しかしグランアレグリアの強さには改めて驚かされました。安田記念でアーモンドアイを2 1/2馬身突き放したときも、スプリンターズSで常識的にはあり得ない位置から差し切ったときも、強いと思ったのですが、今日のレースもすばらしいものでした。
直線に入った時に前をアドマイヤマーズに、外をインディチャンプにふさがれて行き場を失い、どうするのかと思ったのですが、先にインディチャンプを行かせると、その外に持ち出して懸命に前を追います。
インディチャンプがアドマイヤマーズを交わして完璧な勝ちパターンに見えたのですが、グランアレグリアは残り100mを切ってからすばらしい末脚を繰り出すと、インディチャンプを並ぶ間もなく差し切り、3/4馬身差をつけてゴール。まさに測ったような勝ち方で、自信を持って乗っていたルメール騎手の騎乗にも感心するしかありませんでした。

これでグランアレグリアはG1を3連勝。無敗3冠のコントレイル、デアリングタクトや芝G1 8勝のアーモンドアイの偉業にやや隠れ気味ですが、普通の年であれば年度代表馬確定ぐらいのインパクトがあると思います。
藤沢和師によると来年も現役続行し、距離を伸ばしてJCを目標にする案もあるとか。今日のパドックや輪乗りでの落ち着き具合に驚いたのですが、あの様子であれば、距離が伸びても問題ないでしょう。
残念ながらアーモンドアイとの再戦はありませんが、3歳の3冠馬2頭との対戦は期待できるでしょうし、間違いなく盛り上がると思います。

ちょっと気が早いですが、来年の大いなる楽しみの一つとなりそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です