JRA初の芝G1 8勝を達成 ~天皇賞(秋)

2週続けて無敗の3冠馬が誕生するという快挙に続いて、ついにJRA初の芝G1 8勝目(海外G1 1勝を含む)をアーモンドアイが獲得しました。天皇賞(秋)の連覇はシンボリクリスエスに続く2頭目で、東京芝2000mでは初のこと(2002年のシンボリクリスエス優勝は中山競馬場)。
レース後のインタビューで感極まって涙するルメール騎手を見たのは初めてで、そのプレッシャーの大きさを改めて感じさせられました。

安田記念で負けた時にも書いたのですが、1985年の有馬記念でシンボリルドルフが芝G1 7勝目を達成してから、アーモンドアイまで7頭が7勝しています。しかし8勝目に挑戦した3頭(シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ウオッカ)はいずれも勝つことができずに引退しているのです。
そしてアーモンドアイも安田記念で2着に敗れ、やはり8勝は簡単ではないと思われました。

アーモンドアイの安田記念での敗因はいろいろ言われましたが、ヴィクトリアマイルからの初の中2週、やや重の馬場状態、マイルの適性などが上がりました。
今回は実績のある休み明け、良馬場、昨年3馬身差で快勝した東京芝2000mの舞台ということで、敗因とされたすべてが解消され、逆に負けられないプレッシャーはより大きくなったのでしょう。

個人的には、もう一つ年齢による衰えというのも心配しました。今年の安田記念のパフォーマンスが明らかに昨年負けた時よりも悪く、年齢による影響があるのではと感じたのです。
しかし国枝調教師の言葉には、それを感じさせるものはまったくなく、逆に自信に満ちたものでした。また追い切りの走りも、適度な気合できびきび歩くパドックもすばらしい出来を感じさせ、衰えはやはり杞憂だったかと思いました。

レースでは、安田記念で失敗した注目のスタートを無難に決めると、外から好位の4番手につけます。
逃げたダノンプレミアム、2番手のダイワキャグニーがともに行きたがって騎手が懸命に抑えるのに比べて、前に馬を置かない外を追走するアーモンドアイは折り合っており、記録のかかったG1の大舞台にもかかわらず、その落ち着いた様子に驚かされます。
3馬身ほど離して逃げるダノンプレミアムのペースは、1000m1.00.5と落ち着いたもの。そのためか3コーナーから早めに後続の馬が差を詰めてきて、4コーナーでは一団に。
直線に入ると各馬懸命に追いだしますが、4番手の馬場中央に持ち出したアーモンドアイのルメール騎手は、動かず持ったまま。残り400mを切って追い出すと、すぐに内のダイワキャグニーとキセキを交わして2番手。
そのままアーモンドアイは、懸命に逃げ込みを図るダノンプレミアムを追います。そして残り200mを切ると一気に伸びて、残り100mでダノンプレミアムを捉えると、外から鋭い末脚で伸びてきたフィエールマン、クロノジェネシスの2頭のノーザン勢を1/2馬身抑えて、栄光のゴールに飛び込みました。

アーモンドアイの上りは33.1と、後方から伸びてきたフィエールマン(32.7)、クロノジェネシス(32.8)に差をつけられました。しかしスローを後方から詰めてきた2頭に対して、先行しての3位の上りを考えると、あらためて強さを感じさせられました。

ルメール騎手はフランスから家族を呼び寄せていますが、奥さんも娘さんも息子さんもアーモンドアイの大ファンとのこと。日ごろ家では競馬の話をしないのに、アーモンドアイについてはいろいろ話すので、家族も自然と好きになったそうです。
それほどルメール騎手にとって、アーモンドアイは特別な馬だということ。いつもこの馬に乗るときは絶対に負けたくないと言っていますが、そんな感情が冒頭の涙になったのでしょう。
また騎手として天皇賞5連覇(2018年秋 レイデオロ、2019年春・2020年春 フィエールマン、2019年秋・2020年秋 アーモンドアイ)の偉業。これも空前絶後の記録だと思います。

これで先週までの2頭の3冠馬とアーモンドアイの次戦が、次の大きな興味の的になります。
デアリングタクトはJCへの参戦が濃厚のようですが、秋2戦しているコントレイルは菊花賞がかなり厳しい競馬だったので、果たしてどうでしょうか。
またアーモンドアイも間隔を詰めると良くないので、JCよりは香港のほうが可能性が高いように思えます。ただ年内で引退ということを考えると、最後は国内でというファンの希望も多いと思いますので悩ましいところです。
理想は万全の状態で3頭が顔を合わせることですが、そんなドリームマッチをぜひ期待したいと思います。

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