史上初の無観客G1 ~高松宮記念

フェブラリーSの翌週から始まった無観客の中央競馬も5週目となり、ついに初の無観客でのG1として高松宮記念が行われました。
JRAとしてはクラシックはお客さんを入れて行いたいのが本音だと思いますが、いまだコロナウイルスの感染拡大は止まらず、残念ながら少なくとも皐月賞まではこの状況が続きそうです。なんとかダービーは生で見たいものですが。

その高松宮記念ですが、美浦の藤沢和厩舎の2頭と、栗東の安田隆厩舎の2頭が人気の中心となりました。
まずは昨年のスプリンターズSを快勝し短距離での安定感は抜群の藤沢和厩舎のタワーオブロンドンが1番人気で、昨年の桜花賞馬にして昨年の阪神Cを5馬身という衝撃的な差で勝った同厩舎のグランアレグリアが2番人気。
そして昨年のスプリントG1ではともに1番人気に推されながら4,3着と惜敗。しかし前走オーシャンSは1番の上りで快勝した安田隆厩舎のダノンスマッシュが3番人気で、昨年のスワンSでモズアスコットを下し、前走阪急杯は2位入線(3着降着)の同厩舎ダイアトニックが4番人気となったのです。

しかし結果は意外なものとなりました。
外からダッシュをきかせてハナに立ったモズスーパーフレアが大きく離して逃げますが、朝まで降った雨の影響で重馬場だったこともあり、600mは34.1のペース。そのまま3馬身ほど離して直線に入ったモズスーパーフレアは懸命に脚を伸ばすものの、先行していたクリノガウディー、ダイアトニックがじりじりと差を詰めます。
残り200mを切って外からクリノガウディーが一気にモズスーパーフレアに迫りますが、内に大きく切れ込んだため内のダイアトニックを押し込み、最内のモズスーパーフレアと挟み込むような形になります。そこに外から一気に追い込んできたのがグランアレグリア。最後はやや遅れたダイアトニック以外の3頭が並んだところがゴール。
写真判定ではクリノガウディー、モズスーパーフレア、グランアレグリアの順番での入線となりましたが、クリノガウディーの走行妨害がなければモズスーパーフレアとダイアトニックが先着したと認められたため、クリノガウディーはダイアトニックの次の4着に降着となったのです。

G1での1位入線馬の降着は、2010年JCのブエナビスタ以来の4件目(その前の2件は、1991年天皇賞(秋)のメジロマックイーン、2006年エリザベス女王杯のカワカミプリンセス)。
クリノガウディーは、勝っていれば初の重賞制覇がG1となっていたはずで、陣営にとっては大きなショックだったでしょう。

そして繰り上がり1着となったモズスーパーフレアは、昨年のオーシャンSに続く重賞2勝目がG1となり、鞍上の松若騎手はこれが初めてのG1制覇。すっきり1着となりたかったのが本音でしょうが、勝ちには変わりなく、逃げ馬の成績が良くないレースでハナ差2位に粘った騎乗はすばらしいと思います。

しかし1番強い競馬をしたのは、2着となったグランアレグリアでしょう。阪神Cの勝ち方もすばらしかったのですが、重馬場を後方から1位タイの上り33.1という目が覚めるような末脚を発揮して追い込んできました。
ディープインパクト産駒は短距離G1では振るわなかったのですが、末期の産駒でようやくすばらしい馬を送り込んできました。JRAの平地G1でディープインパクト産駒が勝っていないのは、短距離G1とダートG1の4つのみ。
残念ながら高松宮記念は来年に期待ですが、スプリンターズSはかなり期待が持てると思います。はたして快挙は実現するでしょうか。

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