無観客でのチューリップ賞、弥生賞

今週の競馬も、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、先週に引き続き無観客で実施されました。

無観客での競馬開催は、戦争中の1944年に行われたということを何かで読んだことがあります。終戦まで1年という時期まで競馬を実施していたことに驚いたのですが、当時の競馬は優秀な軍馬を育成するという使命もあり、観客は入れず、もちろん馬券も発売せず、能力検定競走というかたちで行われたのです。
その無観客のダービーを勝ったカイソウは、戦時のどさくさで行方不明になり、日本競馬史上で唯一、引退後の消息のわからないダービー馬だということです。

76年ぶりの無観客競馬はパドックもスタンドも無人で、スタートもゴールも歓声は聞こえず、かなり違和感を感じるのですが、馬への影響はどうなのでしょうか。しかし無人でも入れ込む馬はいて、あまり関係ないのかなという気もします。

クラシック初戦まで1か月余りとなり、今後のウイルスの状況がどうなるのか気になるところですが、今週はクラシックを占う上で大事な前哨戦であるチューリップ賞と弥生賞が行われました。

まず牝馬のチューリップ賞ですが、阪神JFの上位4頭にフェアリーSの上位2頭もいて、桜花賞に向けて注目の一戦となりました。
人気は阪神JFを逃げて5差で圧勝したレシステンシアが1.4倍の圧倒的な1番人気に。その勝ち方の鮮やかさと強さは強く印象に残っており、この馬で仕方ないかなという感じではありました。

レースでは、レシステンシアが好スタートから逃げて、600m35.1と絶好のペースを刻みます。スムーズに4コーナーを回って、直線では後続を突き放すかと思われましたが、好位につけていた阪神JF2着のクラヴァシュドールと3着のマルターズディオサが差を詰めてきます。
その2頭に内外から挟まれたレシステンシアは阪神JFのような伸び脚がなく、残り100mを切って2頭に交わされ3番手に。結局外から伸びたマルターズディオサが1着で内のクラヴァシュドールがハナ差2着。レシステンシアはそこから1 1/4差の3着に終わりました。

阪神JFではレシステンシアは1400mまでしか経験がないこともあり距離不安から4番人気だったのですが、今回のレースではその距離不安が出たような気がします。休み明けということでやや気負った走りに見えたのですが、逃げて目標にされたことも影響したのでしょう。
1回使ってガス抜きにもなったので、桜花賞ではもう少し落ち着いた走りはできると思いますが、やはり距離が課題になるのではないでしょうか。

対するキズナ産駒のマルターズディオサとハーツクライ産駒のクラヴァシュドールは、いずれも距離経験からも血統からも距離不安はなく、また実績からも桜花賞はかなり有力だと思います。
いずれにしてもこの上位3頭が、桜花賞でも中心になるでしょう。

そして今年からディープインパクト記念となった牡馬の弥生賞。こちらは2歳王者を争ったコントレイルとサリオスがともに皐月賞直行ということで、重賞勝ち馬が札幌2歳Sのブラックホール1頭とややさみしい顔ぶれに。
しかしホープフルS3着ワーケアや5着オーソリティを初め、期待のディープインパクト産駒のサトノフラッグもいて、11頭の少頭数ながら、レースとしては興味深いものになりました。

人気はその4頭が上位も、サトノフラッグが唯一のディープインパクト産駒で武豊騎手鞍上、そして近2走がいずれも3差の圧勝ということで1番人気に。以下、ワーケア、オーソリティ、ブラックホールという順番になりました。

レースはウインカーネリアン以下3頭が後続を離して先行し、1000m1.01.1と重としては平均的なペース。それをオーソリティ、ワーケアは中団を追走し、サトノフラッグはその2頭を見る位置。ブラックホールは後方を追走。
サトノフラッグは3コーナーから進出を開始して早めに前に行くと、4コーナーでは早くも先頭。直線に入ってしばらくは内のオーソリティと叩き合うも、残り100mを切って抜け出すと、差してきたワーケアに1 3/4差をつけて1着。ワーケアから1/2差3着がオーソリティで、アタマ差4着がブラックホール。

サトノフラッグは飛びがきれいでディープインパクト産駒ということもあり重馬場の走りが心配されたのですが、3コーナーで後方から上がっていく父を彷彿とさせる走りで完勝。上り1番で、直線で突き放す走りも見事で、一躍皐月賞の有力候補に躍り出ました。良ではさらに切れることが期待され、本番の走りが楽しみになりました。パドックでも力強いトモと踏み込みが印象深く、父に似たいい馬だと思います。

ワーケアはよく追い込んできましたが、4コーナー手前で外からサトノフラッグに前に行かれたのが最後まで響いた感じ。しかし上りはサトノフラッグの36.1に対して36.5と0.4劣っており、瞬発力比べでは厳しい印象です。パドックでもなかなか良く見せたのですが、やや緩い感じが気になりました。

オーソリティはサトノフラッグには完全に切れ負けた感じ。ブラックホールは後方からサトノフラッグに次ぐ36.2で追い込んできており、皐月賞よりもダービーで期待できるように感じました。

まだ牡牝ともトライアルは残っていますが、有力どころは絞られてきたようです。早く目の前で競馬が見られる日が来ることを祈りつつ、クラシックを展望していきたいと思います。

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