2019年の競馬については「2019年のJRA賞予想&ベストレース」でいろいろ振り返ってみました。しかし実は騎手についての話題が、例年以上に多かったように思います。
その中でも一番印象的だったのは、秋から冬にかけて短期免許をとって来日した外国人騎手の豪華さでした。JCは初めて外国馬の来日がゼロになりさみしかったのですが、それを補って余りある面子でした。
まずは世界最高騎手の呼び声もあるL.デットーリ騎手。JCを3勝するなど何度か来日しており、2011年にはダーレーの所有馬デボネアが日本ダービーに出走するために2日間だけ短期免許を取得していますが、長期滞在するのは初めてなので、ニュースで知った時はワクワクしました。
当初はエリザベス女王杯の週から来日する予定でしたが、メルボルンCで騎乗停止を受けたため、結局JCとチャンピオンズCの2週のみの短期滞在となってしまいました。残念ながら重賞勝ちは無かったものの、6勝を挙げて、さすがデットーリというところを見せてくれました。
そしてフランスで何度もリーディングを取っているC.スミヨン騎手。2010年にブエナビスタで天皇賞(秋)を勝つなど何度か来日したことがありますが、7年ぶりに短期免許を取っての来日となりました。フランスリーディングへのこだわりを捨てたためという記事もありましたが、過去に何度か日本で騎乗停止になっていて、そのあたりのわだかまりも、しばらく来日がなかった理由なのかもしれません。
しかし今回の来日では、エリザベス女王杯をラッキーライラックで制したほか、スワンSをダイアトニックで勝つなど19勝を挙げており、その騎乗技術の確かさを見せてくれたと思います。
R.ムーア騎手は最近は毎年のように短期免許で来日していますが、今年も11月中旬から1か月ほど滞在しました。最近はイギリスでの勝ち鞍は減っているようですが、サリオスで圧倒的1番人気の朝日杯FSを制したほか、ホープフルSを圧勝することになるコントレイルで東スポ杯2歳Sを勝って、2歳2強両頭で勝った唯一の騎手となりました。
勝ち鞍は6勝と物足りないものでしたが、ここぞの時の信頼感は高いと思います。
ムーア騎手と同時期の来日となったW.ビュイック騎手。まだ30歳の若さですが、昨年は英ダービーを勝ち、日本でもステルヴィオでマイルCSを勝つなど世界各国でG1勝ちをおさめており、ゴドルフィンの主戦を務めるなど世界的にその力を認められています。
残念ながら12/15に進路妨害で騎乗停止となり有馬記念の週は騎乗できませんでしたが、ステイヤーズSのモンドインテロなど12勝を挙げました。
昨年末から今年初めに続き、2回目の短期免許取得となったO.マーフィー騎手。初来日では25勝を挙げて話題になりましたが、その勢いもあったのか今年は自身初の英リーディングも獲得。今回の来日ではJCをスワーヴリチャードで勝つなど16勝を挙げ、ますます評価も上がっています。
その他にも春に大ブレークしたオーストラリアのD.レーン騎手。リスグラシューとのコンビで宝塚記念とコックスプレートを勝ったため、特例で有馬記念当日のみの免許を受けて来日し、見事にその有馬記念を5馬身差で圧勝しました。
そして騎手と言えば、やはり藤田菜七子騎手の話題は避けて通れないでしょう。今年はフェブラリーSで初G1騎乗(5着)を果たすと、6月にはスウェーデンで行われたウィメンジョッキーズワールドカップ で優勝。10/2に東京盃をコパノキッキングで勝って自身初の重賞制覇を果たすと、11/4のJBCスプリントではクビ差2着。そして12/8にカペラSでJRAの女性騎手として初のJRA重賞勝ち(いずれもコパノキッキング)をおさめました。
今年は自身のキャリアハイとなる43勝を挙げ、地方と合わせて通算100勝を達成。減量がとれる101勝は2020年に持ち越しとなりましたが、最近は人気薄を上位に持ってくることもあり、さらなる飛躍も期待できると思います。
最後に個人的に一番印象に残ったのは、WASJで来日したフランスのM.ミシェル騎手でした。その美貌もそうですが、初騎乗の日本で5着、4着、1着、10着の好成績で総合3位に入り、しっかりした騎乗技術を見せてくれました。
しかもよほど日本の競馬が気に入ったようで、JRAへの移籍を目指して日本語の勉強を始めたり、2020年は3か月ほど川崎で短期免許を受けて騎乗するとか。24歳とまだ若いですが、けがで1年半騎乗できなかったり、いろいろ苦労もしているようです。
文化が違う日本で長期滞在して騎乗するのはかなり大変だと思いますが、もし実現すればかなりの話題となるでしょうし、人気も出るでしょう。そのチャレンジは、ぜひ応援したいと思います。