「格より調子」か「調子より格」か ~宝塚記念

毎年のことですが、上半期最後のG1となる宝塚記念は、一筋縄ではいきません。単勝1倍台の1番人気が3年連続負けていたかと思えば、久々の混戦となった今年は7番人気と10番人気で決まったものの、馬連は万馬券にならず、その人気の割れ具合に逆に驚かされました。

そんな中で考えたのは、宝塚記念ではいわゆる「格より調子」を重視するべきなのか、それとも「調子より格」なのかということでした。
シーズン終わりのG1ということで、実績馬は多かれ少なかれ疲労が溜まっていることが考えられ、そのせいか実績のある人気馬が思わぬ凡走をしたり、逆に調子を上げてきた隠れた実力馬が初G1制覇を飾ったりということが何度もありました。

例えば前者の例は、昨年の1着サトノクラウン、2着ゴールドアクター、3着ミッキークイーン。圧倒的な1番人気は大阪杯、天皇賞(春)と連勝中のキタサンブラックでしたが、G1馬3頭は前走のG1でいずれも着外に負けていたこともあり、それぞれ3,5,4番人気。しかしその評価を覆して好走しました。

逆に後者の例では、3年前に勝ったラブリーデイ。その年の中山金杯、京都記念とG3、G2を連勝したものの、距離伸びた阪神大賞典、天皇賞(春)を6,8着と連敗。前哨戦の鳴尾記念を勝っていたものの、当日は14.2倍の6番人気と伏兵扱いでした。しかし初G1制覇を果たしたのです。

今年の勝ち馬ミッキーロケットは後者にあてはまるでしょう。昨年の日経新春杯でG2は勝っていたもののG1では3着以内なし。昨年の宝塚記念も5 3/4差6着と着外でした。しかし前走の天皇賞(春)では直線の内から伸びて1馬身差4着に好走していたのです。
個人的には少し力が足りないかと見ていましたが、前走の好走は侮れず、また調教もパドックの様子もなかなかよかったので、注意は必要だと思っていました。

そして2着馬ワーザーは典型的な前者に入ると思います。香港で中距離G1を4勝し、2,3年前には年度代表馬に選ばれています。格という意味では、サトノダイヤモンドを圧倒する実績の持ち主と言えるでしょう。7歳と言えども衰えは感じられず、休み明けにマイルのレースを叩くのはいつものパターンで、調教もパドックの様子もよく見えました。しかし発表になった馬体重が-27kg。10kgぐらいのマイナスならともかく、27kgとなると体調を崩したのではと心配になります。それもあってか前日発売では10.3倍の6番人気だったのが、最終的には14.9倍の10番人気まで落ちてしまいました。

「格より調子」か「調子より格」かという意味では、今年は両方の馬のワン・ツーとなり、どちらもありという結果になりました。一筋縄ではいかないレースなので、どちらか一方で決まるというわけにはいかないでしょう。
ただし連対馬は、芝2000~2500mのG2以上のレースを勝っているという条件は維持されました。しかし3着馬は重賞未勝利馬。来年あたりは、あっさりとこの条件も破られてしまうかもしれません。

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