2強は並び立たなかったが ~天皇賞(春)

両雄並び立たずはかなり信頼性の高い競馬の格言だと個人的には思っています。実際にどちらか一方、時には両方が飛ぶ確率が、割と高いのではないでしょうか。
今年の天皇賞(春)は、その2強対決になりました。そして今回の2強はかなり強力で、正直どちらが勝つのかわかりませんでしたし、どちらも着外に沈むシーンは想像もできませんでした。今回こそは2強が並んでゴールするようなシーンがあり得るのではとも思えたのです。

その2強のうちの1頭は、昨年に続く連覇を狙うキタサンブラック。ダービーで大敗した以外は3着をはずしたことがなく、昨年も逃げていったん交わされるも差し返すという強い勝ち方。3000m以上は2戦2勝で、前走大阪杯もG1でありながら、着差以上の余裕と実力差を感じさせる勝ち方で、まさに現役最強と言える走りを見せてくれました。

そしてもう1頭が、昨年の有馬記念でそのキタサンブラックをクビ差交わして優勝したサトノダイヤモンド。ダービーでハナ差2着に敗れた後は、菊花賞を2 1/2差で完勝し、有馬記念1着に続いて今年初戦の阪神大賞典は1 1/2差の強い勝ち方で4連勝。こちらも3000m以上は2戦2勝でともに完勝し、同じく負けるシーンが想像できません。

この2頭の評価も微妙で、金曜販売ではキタサンブラックが1.4倍の1番人気に対して、サトノダイヤモンドが3.7倍の2番人気とずいぶん離れていたのですが、前日の土曜日締め切り時点では、サトノダイヤモンドが2.1倍の1番人気と逆転し、キタサンブラックが2.7倍の2番人気。最終的にはキタサンブラックが2.2倍の1番人気で、サトノダイヤモンドが2.5倍の2番人気となりました。

実は天皇賞(春)は近年はかなり荒れるG1として定着しており、1番人気は2006年のディープインパクト1着を最後に10年間連対できず、しかも2008年3着のアサクサキングス以外は3着以内もないという体たらく。
その中には、3冠レースと有馬記念を含む6連勝から逸走しながら2着になった阪神大賞典を経て、1.3倍の圧倒的な1番人気に支持された2012年のオルフェーヴル(11着)や、菊花賞から有馬記念、さらには阪神大賞典と圧勝を続けてきて同じく1.3倍の1番人気になった2013年のゴールドシップ(5着)と、およそ負けるシーンが想像できなかった馬も含まれるのです。
そのことがジンクスのようになっていて、今年の2強も意外にあっさり沈むシーンがあるのかもと、個人的には一抹の不安を抱かされたのも事実でした。

レースは予想通りヤマカツライデンが逃げてキタサンブラックは2番手、サトノダイヤモンドは中団を進みます。途中からヤマカツライデンが大きく引き離すものの、天皇賞(春)7勝の武騎手はあわてず離れた2番手をキープ。3コーナーでばてて下がってきたヤマカツライデンを4コーナー手前で交わすと、直線は早くも先頭。
対するサトノダイヤモンドは4コーナー手前から外を通って進出すると、直線ではキタサンブラックとの距離をどんどん詰めていきます。残り200mで内のシュヴァルグラン、アドマイヤデウスをとらえるものの、そこからは伸びず、いったん並んだシュヴァルグラン、アドマイヤデウスにも前に出られて4番手に。
その間にも先頭のキタサンブラックは力強い末脚で後続を寄せ付けず、危なげないレースぶりで連覇を達成。シュヴァルグランが2着をキープし、最後に再び伸びたサトノダイヤモンドは、アドマイヤデウスは交わしたものの3着まで。

やはり2強は並び立たなかったものの、サトノダイヤモンドは最低限の3着はなんとかキープし、3連単は3,780円とディープインパクトが勝った2006年(3連単4,320円)以来久しぶりに万馬券にならない、固い決着となりました。

今日の結果を見ると、やはりステイヤーの資質がキタサンブラック、シュヴァルグランの方が、サトノダイヤモンドよりも上だったということだと思いますが、逆に言えば距離が短くなれば十分逆転の可能性はあると思います。
キタサンブラックは来年も現役続行と、大阪杯のあとにオーナーの北島三郎さんが言っていましたが、ということはまだ何回も2頭が対戦する機会はあるでしょう。互いに切磋琢磨して、またわくわくするようなおもしろいレースを見せてもらいたいと思います。

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