G1を勝つための資質 ~フェブラリーS

個人的に思うG1を勝つ馬の条件というか資質ですが、まずどこかで印象に残るパフォーマンスを見せたことがあるというものがあります。G1馬には王道を歩んだ馬や、伏兵による番狂わせなどさまざまありますが、伏兵であってもどこかでその片鱗となるようなパフォーマンスを見せたことがあるというのが、個人的な仮説であるのです。

今回のメンバーでそれを1番感じたのは、1番人気の4歳馬ノンコノユメの、昨年の武蔵野Sでした。
このレースでは、それまで4戦負けなしのモーニンが1番人気だったのですが、ハイペースから好位を進んだタガノトネール、モーニンなどが抜け出し、タガノトネールが勝ったかと思ったところを、ありえない位置から追い込んできたノンコノユメがゴール前で並びかけ、結局ハナ差で勝ちました。
やや重とはいえ、芝のような一気の末脚を、しかも3歳で58kgを背負って見せたのですから、とても驚きました。次のチャンピオンズCでも狭い最内を伸びて1 1/2差2着と、そのポテンシャルの高さはとても印象的でした。

そして個人的に思うG1馬のもう一つの資質が、大敗が少ないということです。もちろんオルフェーヴルやゴールドシップのように、すごく強くても謎の大敗を喫する馬もいますが、安定感というのもとても大事な要素だと思います。

今回のメンバーでそれを感じたのは、同じ4歳のモーニンでした。ノンコノユメの10戦して着外1というのも素晴らしいのですが、モーニンの6戦5勝3着1回という安定感というか勝率の高さは、とても魅力的に感じました。また前走根岸Sも好位抜け出しの安定したレースぶりでレコードに0.1秒差と、派手さはありませんがすばらしいパフォーマンスでした。

この2頭はノンコノユメが単勝2.4倍の1番人気、モーニンが5.1倍の2番人気とやや開きましたが、その原因の1つは、直接対決した昨年の武蔵野Sの結果でしょう。58kgを背負って鮮やかに差し切ったノンコノユメに対して、55kgで上位2頭に2馬身差の3着に終わったモーニン。
またモーニンは1400mの根岸Sを鮮やかに勝ったことと、父ヘニーヒューズがヘニーハウンドやアジアエクスプレスの成績から距離に限界があるイメージがあったことも、2番人気にとどまった理由の1つではないかと思います。

レースはモーニンが外から好位につけ、ノンコノユメはいつもの後方。直線に入りじっくりと追い出したモーニンが残り200mで先頭に立つものの、ノンコノユメは押してもまったく反応せず、その時点でまだ馬群の後方。今日は末脚不発かと思ったところ、そこから一気に火が付いたノンコノユメは、外を猛然と追い込んできます。
しかし時はすでに遅く、壮絶な2着争いは外からアタマ差制したものの、先に抜け出したモーニンは1 1/4差をつけて1.34.0のレコードで1着。ダート界の新星登場となりました。

2頭ともまだ若いので、これからも覇権争いは続いていくことでしょう。しかし今回のレースで見せた安定感の差は、意外と大きいような気がします。一気の追い込みは印象には残るのですが、届かないリスクも大きくなります。しかもノンコノユメは、ゴーサインを出してからその気になるまで意外と時間がかかるという欠点を、今回見せてしまいました。
今後陣営も対策を考えていくと思いますが、同世代のライバル同士のおもしろい戦いを期待したいと思います。

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