ベルシャザールはなぜ人気になったのか ~JCダート

今年のJCダートは、前走のJBCクラシックを勝ったホッコータルマエが、1.9倍という圧倒的な1番人気に支持されました。今年はJBCクラシックの他にも、かしわ記念、帝王賞とG1を3勝しており、1番人気にふさわしい成績をおさめているといえるでしょう。

しかし、よく成績を見てみると、好成績を残しているのは地方の交流重賞で、JRAの重賞は昨年のレパードSと今年のシリウスSのG3を2勝しているだけなのです。昨年のJCダート3着はともかく、年明けの東海Sも1番人気で3着に敗れ、その後は中央ではシリウスSしか走っていません。
地方のダートは比較的砂が深く時計が掛かるのに対して、中央のダートは軽く時計が早いのが特徴です。ホッコータルマエはあえて地方のレースを選んで使っている感もあり、スピード勝負に一抹の不安もあると感じたので、さすがに1.9倍は見込まれすぎかなと思いました。

対してベルシャザールはデビュー以来クラシック路線に乗ったこともあり、ずっと芝のレースを使われてきました。芝の重賞は勝てなかったものの、スプリングS2着、日本ダービー3着と良績を残してその後を期待されます。しかし菊花賞は17着に敗れ、その後は骨折もあり長期休養に入ったのです。
そして1年2か月ぶりとなる今年の5月に復帰。足元を気遣ってダートを使ったのですが、その準OPのレースでいきなり3着に好走します。

実はこのレース、80回の日本ダービーを記念して実施されたダービーメモリーズの1つ「ナリタブライアンカップ」でした。
個人的に記念馬券を残そうと各レースで1点ずつ複勝馬券を買っていたのですが、名前を憶えているというだけで選んだのが、ベルシャザールでした。長期休養明けだし、そもそも記念に買ってとっておこうと思っていたので、当たらない方がいいと思ったのです。
ところが思いもよらない好走で770円もついて、そこから個人的に注目するようになりました。

ダートという新天地で活躍を始めたベルシャザールは、OPブラジルCからG3の武蔵野Sも制して、菊花賞以来のG1となるJCダートに出走してきました。
ダート転向後3・1・1・0と底を見せていないのは事実ですが、最近はJCダートとはつながりの薄くなった武蔵野Sを勝っただけで、ホッコータルマエをはじめ、ローマンレジェンド、ワンダーアキュート、エスポワールシチー、ニホンピロアワーズなどの錚々たるメンバーに比べると、ちょっと格落ちの印象です。

しかし最終的に、8.4倍の3番人気に支持されたのには驚きました。連勝中の勢いや、鞍上のルメール騎手など、さまざまな要因はあると思いますが、個人的には血統も大きな要素ではないかと思っています。
父キングカメハメハは、ローズキングダムやアパパネ、ロードカナロアなど、芝で短距離から長距離までオールマイティに産駒を出していますが、ダートでもタイセイレジェンド、ハタノヴァンクール、ホッコータルマエなど距離を問わず大物を出しています。
現に今日のJCダートでも5頭の産駒が出走しており、種牡馬別ではもちろんぶっちぎりの1位です。
母父はサンデーサイレンスで、こちらも芝はもちろんダートも得意。その両方のよいところを受け継いで、芝・ダート兼用の大物になったということでしょう。

クラシックではオルフェーヴルという強い馬が同い年にいたこともあり、ベルシャザールはG1には手が届きませんでしたが、ダートに転向して念願のG1を制することができました。まだ底を見せていないわけで、どこまで強くなるのか夢が広がります。
ちょっと回り道をした感じもありますが、今後の活躍を期待したいと思います。

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