初ダートの馬が話題の中心になるとは。 ~ファブラリーS

フェブラリーSは、毎年のように芝で活躍している(た)馬の参戦が話題になりますが、今年ほどそれがメインになった年は、なかったのではないでしょうか。

最近でも、2012年のグランプリボス、2010年のリーチザクラウン、ローレルゲレイロ、2008年のヴィクトリー、2007年のオレハマッテルゼなどの参戦がありましたが、どちらかというと芝では不振だったり、すでにピークを過ぎている馬が、もしやダートならという感じで出てきた印象が強いのが実感でした。
しかし今年のカレンブラックヒルは、芝で6戦5勝。しかもNHKマイルCから毎日王冠と無敗で制し、天皇賞(秋)で初めて惜敗しただけと、バリバリの芝のG1ホースです。
しかも先行脚質で1600mはもっとも得意な距離。ダイワメジャー産駒にはダートの大物はいませんが、ダイワメジャー自身はダート1800mの未勝利戦を2着に1.5秒差で圧勝するなど、適性は十分あったと思われます。
そのためか、なんと初ダートにもかかわらず単勝3.3倍の1番人気に支持されました。

しかし初ダートがG1だった馬の最高成績は、トゥザヴィクトリーの3着で、他には掲示板にのった馬さえ1頭もいないという惨敗続き。常識的に考えれば即消しなのですが、なぜか今回は人気の中心になったのです。
その要因としては、トランセンドやスマートファルコンが引退し、かつローマンレジェンドもニホンピロアワーズも回避するという、今回のメンバーの薄さが大きかったでしょう。

注目のレースでは、カレンブラックヒルはスタートでやや後手をふんで、それでも3コーナーまでには先行する体制になったものの、ハナに立つシーンは1度もなし。4コーナー手前では鞍上の手が動き始めて、直線に入るとずるずると後退。勝ったグレープブランデーからは2.8秒も離された、ブービーの15着に大敗しました。

結局いままでの初ダートの馬たちと同様の結果になってしまったのですが、いくら調教でダートコースを走っていても、やはりレースでダートを走るのは、今まで芝を走ってきた馬たちにとって、かなりの違和感を感じさせられることなのではないでしょうか。
よく砂をかぶるとやる気をなくすという話を聞きますが、懸命に脚を動かしても、なかなか前に進んでいかないような感触は、単純にやる気をそいでいるのではと、素人目線で考えてしまいます。
実際にカレンブラックヒルはパドックではそんなに悪く見えませんでしたが、レースでの走りはいつもとは違う感じでした。

やはり繊細な馬にとって、真剣勝負の場がいつもと違うというのは、かなり精神的なダメージもあるのではと、考えてしまいました。もちろん、真相は馬に聞いてみないとわかりませんが。
ただ、今後も初ダートの芝の実績馬は、かなり割り引かないといけないというのは、大きな教訓として残ったと思います。

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