今年の南部杯は、震災でダメージを受けた岩手競馬を支援するためもあり、JRA主催で東京競馬場で行われました。岩手の物産を販売するコーナーなどもあって、少しでも被災された方のお役に立てばいいのですが。
そして岩手県で古くから伝わる、無形民俗文化財にも指定されているチャグチャグ馬コの装束で飾られた馬たちも来ていました。馬の労働に感謝するお祭りとのことで、もともとは南部駒という大型の馬が主役だったそうですが、今はペルシュロン種などの馬を使っているそうです。
そして南部杯。残念ながら交流重賞を圧勝で連勝しているスマートファルコンはいませんが、昨年のJCダート、今年のフェブラリーSとJRAのダートG1を連勝し、ドバイWCでも2着に好走したトランセンドと、一昨年のJCダート、昨年のフェブラリーSを連勝し、交流重賞でも活躍しているエスポワールシチーの初対決も話題になりました。
同じ先行脚質ということもあり、道中の位置取りも注目です。
レースは好スタートからエスポワールシチーがハナを切り、ややスタートが悪かったトランセンドが押して2番手。バーディバーディやダノンカモンが先行して、あまり馬順が変わらないまま、淡々と流れます。
そして直線に入るとエスポワールシチーが突き放して先頭に立ち、2番手のトランセンドは手ごたえが悪く、やや下がり加減。代わってダノンカモンが2番手に上がります。さらに後方からシルクフォーチュンもいい脚で差してきて、トランセンドはあっけなく負けるのかと思いました。
ところが、トランセンドはそこから巻き返すと、一旦抜かれたダノンカモンに並びかけ、末脚の衰えたエスポワールシチーをダノンカモンとともに交わし、ゴール直前でダノンカモンを差し返して、アタマ差で優勝したのです。
休み明けもあって手ごたえが悪くなったのかもしれませんが、3番手に落ちてから差し返す勝負根性には、本当に驚かされました。これもドバイ遠征で、世界レベルで好走した自信のなせる技なのかもしれません。
これでJRA主催のG1は3連勝。着差は少ないのであまり強さは感じさせないかもしれませんが、その勝負根性に裏打ちされた安定感は、すばらしいと思います。エスポワールシチーを下した今、残るライバルはスマートファルコンしか思い浮かびません。
ぜひ近いうちに対決して、雌雄を決するところを見てみたいものです。うわさによると、11/3のJBCクラシックで対戦の可能性があるとか。期待しましょう。