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2012年10月28日

理想的な競走馬の歩様とは ~天皇賞(秋)

私はパドックで馬の状態を見てから買うタイプなのですが、同じようなパドック派の方は、自分の中にサラブレッドの理想的な歩き姿みたいなものを、持っているのではないでしょうか。

個人的には、まずは落ち着いてゆったりとしていながら、適度な気合乗りがあって、クビをリズミカルに使って歩き、トモの歩幅は広く、力強い踏み込みの馬に惹かれます。過去に見た中では、テイエムオペラオーやウオッカ、ブエナビスタなどが、そんな個人的には理想的な歩様で歩いていました。
ただし、そうした歩様じゃないとダメかというと、もちろんそんなことはなく、シンボリクリスエスやカワカミプリンセスなどは、自分の理想的な歩様とは、かなり異なったものの、すばらしい成績を残しています。

なぜそんなことを書くかというと、エイシンフラッシュがまさに自分としては理想的な歩き方で、パドックを歩くのです。そのため、パドックで見るとつい惹かれてしまい、毎回のように厚く買ってしまうのですが、残念ながら裏切られることが多くあります。
今年の毎日王冠がそうでした。パドックで見ると落ち着いてすばらしい歩様で歩いていて、どうしても目に付きます。そこでかなり中心視して買ったのですが、中団からまったく伸びずに9着。

もうだまされるのは終わりにしようと思って、今回は予想でも無視しようかとも思っていたのですが、パドックで実際に見ると、やはりどうしても目が行ってしまいます。事前予想の中心はフェノーメノとルーラーシップで、彼らもとてもよく見えたのですが、やはりエイシンフラッシュも捨てがたい。
結局2頭から、エイシンフラッシュも押さえることにしました。

そしてレース本番。各馬が4コーナーを回って直線に入ると、馬群の外をフェノーメノが差してきます。やったと思って内を見ると、すごい脚で伸びてくる馬が。その勝負服は黒と赤の縦縞。そう、エイシンフラッシュです。
M.デムーロ騎手を背に、今まで見たことがないような鋭い末脚で伸びると、2年5ヶ月ぶりの栄光のゴールに飛び込みました。

何度も期待を裏切られて、もう買うのをよそうかと思うころに突然激走したりして、とても困ることが多いのですが、久々に見せた鮮やかな末脚。今度は、ぜひ連続して見せてもらいたいものです。

エイシンフラッシュ
【エイシンフラッシュ】今回もパドックでの馬体、気配はすばらしかったです
エイシンフラッシュ
【エイシンフラッシュ】M.デムーロ騎手はテン乗りで見事な騎乗でした

2012年10月21日

2冠馬の不思議 ~菊花賞

今年の菊花賞は、圧倒的1番人気に支持されたゴールドシップが、見事に優勝して皐月賞に続く2冠を達成しました。
さてこの牡馬クラシック2冠ですが、よく知られているのは、ダービーと菊花賞の2冠を制するのは、皐月賞と菊花賞の2冠を制するのよりも、はるかに難しいということです。おそらく、ハナから菊花賞では2冠馬以外のダービー馬は消しという方も多いのではないでしょうか。

実際に2冠馬の数で言うと、時期の近い皐月賞とダービーの2冠馬が一番多くて、2006年のメイショウサムソンまで15頭います。続いて多いのが、皐月賞と菊花賞の2冠馬で、今年のゴールドシップを含めて8頭。そしてダービーと菊花賞の2冠馬は、わずかに2頭。ちなみに3冠馬は7頭ですから、ダービーと菊花賞の2冠馬がいかに少ないかは、よくわかると思います。
2頭のうち1頭のクリフジ(1943年に達成)は牝馬で、オークス(当時は秋に実施)も制した変則3冠馬なので、純粋にダービーと菊花賞のみを勝った2冠馬は、1973年にハイセイコーとの死闘を制したタケホープだけとなります。

では、なぜ距離も時期も離れた皐月賞と菊花賞の2冠馬のほうが、比較的どちらも近いダービーと菊花賞の2冠馬よりも多いのでしょうか。一説には、それだけダービーを勝つということが、厳しいのだと言われています。
実際に過去10年で、3冠馬を除いて菊花賞に出走してきたダービー馬は、2冠馬のネオユニヴァースとメイショウサムソンだけ。別路線のウオッカとディープスカイを除けば、いずれも故障などで回避しています。今年も、久しぶりに皐月賞馬とダービー馬の対決と騒がれましたが、結局直前にディープブリランテの屈腱炎が明らかになり、出走はかないませんでした。

おそらく3歳春という未完成な時期に、2400mという底力が必要な距離で、目一杯の勝負をするということは、想像以上に大きな負担となっているのでしょう。
「無事これ名馬」という言葉が、今更ながらに実感を伴いますが、もっとも速い馬が勝つといわれるレースと、もっとも強い馬が勝つといわれるレースを制したゴールドシップには、無事にさらなる高みを目指してほしいと思います。

2012年10月14日

厳しい戦いを底力で制して3冠達成 ~秋華賞

ジェンティルドンナが秋華賞を勝って、メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネに続く史上3頭目の牝馬3冠を達成しました。おめでとうございます。

オークスはヴィルシーナに5馬身という圧倒的な差をつけ、夏を挟んだローズSでも1 1/2差とはいえ楽勝に見えたジェンティルドンナは、追い切りも絶好調という感じで、楽に3冠を達成するのではと思われました。
しかし注文をつけてハナを切ったライバルヴィルシーナの作る流れは超スロー。しかも途中から一気にハナを奪ったチェリーメドゥーサが6馬身差以上差をつけて、ペースを乱します。中団につけたジェンティルドンナはやや行きたがるそぶりで、鞍上の岩田騎手としても、かなり悩ましかったのではないでしょうか。

直線を向いたときは、チェリーメドゥーサは遥か彼方だし、ヴィルシーナも3馬身以上離れています。しかも直線の短い京都内回りコース。残り200mを切ってもチェリーメドゥーサとの差は5馬身以上あり、この時点で大荒れを覚悟した人も多かったでしょう。

しかし残り100mぐらいでヴィルシーナを捕らえると、あわせ馬のように2頭で一気に伸びて、急激に末足が衰えたチェリーメドゥーサをゴール直前で交わします。
あとは2頭のマッチレースで、お互いに相譲らず、ハナをあわせてゴール。写真判定で、ハナ差ジェンティルドンナが前に出ていて、見事に3冠馬となりました。

スローを見越して前に行ったヴィルシーナを捕らえた末足、そして4コーナーで直後にいて、かつ同じぐらいの上がりを記録しているアロマティコやブリッジクライムを寄せ付けなかったレースぶりは、まさに底力としか表現できないものだと思います。やはり、3冠を達成するためには、実力や運にプラスアルファが必要なのかなと思わされました。

おそらくヴィルシーナの内田騎手としては、うまくはまったという感が強かったのではないでしょうか。しかしゴール前で追いつかれ、最後はたたきあいに持ち込んだものの、またもや勝てませんでした。
これでヴィルシーナはジェンティルドンナに4連敗。ジェンティルドンナさえいなければ、ヴィルシーナが3冠馬になっていたわけですから、悔しさもひとしおでしょう。ぜひ雪辱を期して、がんばってほしいと思います。

過去の3頭の3冠牝馬は、その後の成績はあまりぱっとしませんでした。ジェンティルドンナには、そのあたりのジンクスのようなものもぜひ打ち破ってもらい、さらなる活躍を期待するとともに、ヴィルシーナとのライバル対決も盛り上げてもらいたいものだと思います。