今年の皐月賞はまれにみる混戦となりました。それは中心となる馬がいなかったということが大きな要因でしょう。
例年だとまず2歳G1の上位組が注目されます。
昨年の2つの2歳G1のうちレベルが高かったのは、朝日杯FSの方でした。朝日杯FSには4頭の2歳重賞勝ち馬と1頭の重賞2着馬が参戦し、その5頭が1~5番人気になって、結果も1~5着を占めました。そして勝ったのはデイリー杯2着から臨んだ2番人気カヴァレリッツォで、3着がデイリー杯1着で1番人気のアドマイヤクワッズ。この2頭と5着のリアライズシリウスが皐月賞に参戦しました。
しかしカヴァレリッツォは朝日杯FSからの直行を選択。ところがこのローテーションは過去10年では2020年に2着になったサリオスしか良績がなく、またマイルまでしか経験がなく連対したのもサリオスのみと、かなり不安が残る状況だったのです。
また3着のアドマイヤクワッズは、弥生賞ディープインパクト記念(以下弥生賞)に1番人気で出走するも伸びきれずに3着と距離に不安を残します。
そして皐月賞と同じ舞台で行われたホープフルSは、重賞勝ち馬2頭が参戦していたものの、新馬勝ちから臨んだ7番人気のロブチェンが1着。
そのロブチェンは、おそらくダービーを見据えて前走で共同通信杯に出走したのですが、先行したリアライズシリウスを捉えられず、さらに後ろから差されて3着と、やはり不安を残す結果になりました。
こうなると近年有力な前哨戦である共同通信杯を勝ったリアライズシリウスが注目されるべきなのですが、唯一着外に敗れたのが右回りの朝日杯FSということと、共同通信杯では上りがかかって最後にアタマ差まで詰め寄られたことで、距離への不安も感じられたのです。
他にも皐月賞と同じ舞台の京成杯を1番の上りで勝ったグリーンエナジー、その京成杯は2着も若葉Sを好タイムで勝ったマテンロウゲイル、弥生賞を後方から差し切って勝ったバステール、東スポ杯2歳S1着以来となったもののルメール騎手を確保したパントルナイーフなど、上位8番人気ぐらいまでは、どの馬が勝ってもおかしくないような状況でした。
人気はロブチェンが4.0倍の1番人気となり、以下グリーンエナジー(4.5倍)、カヴァレリッツォ(6.1倍)、リアライズシリウス(6.2倍)と、上位4頭が1桁人気というオッズになりました。
逃げるのは先行して良績を残してきたリアライズシリウスかと思われたのですが、押して先頭に立ったのはロブチェンでした。松山騎手は、先行有利な馬場だったので積極的に出していったが、逃げることになるとは思っていなかったとインタビューで語っていましたが、当然選択肢の1つにはあったのでしょう。1/2馬身差の外にはリアライズシリウスががっちりとつけます。
そのまま2頭でリードする流れは、1000m58.9と平均ペース。3コーナーからはリアライズシリウスがロブチェンに並びかけていき、4コーナーではリアライズシリウスの方が手応えがよく前に出ますが、直線に入ると内からロブチェンも差し返して並んでマッチレースに。
しかし残り200m手前でロブチェンがクビ差前に出ると、そこからじわじわと差を広げていき、最後は3/4馬身差をつけてロブチェンが先頭でゴールに飛び込みました。2着がリアライズシリウスで、3着は最後に伸びてきたライヒスアドラー(23.4倍の9番人気 前走弥生賞2着)でした。
勝ちタイムは1.56.5のコースレコードで、従来の記録を0.1秒更新しました。また昨年の皐月賞レコードも0.5秒と大きく更新。最近の中山は時計が速いのですが、それを逃げて更新したのですから、ロブチェンの優秀さはたたえられるべきでしょう。
終わってみれば、混戦と言われたわりに1番人気-4番人気と固い決着となったのですが、その中で最近の傾向が踏襲されたということが強く印象に残りました。それは前走共同通信杯組が強いということ。
最近5年の皐月賞3着内に入った15頭の前走を見ると、共同通信杯が7頭と圧倒的で、以下弥生賞5頭、東スポ杯・京成杯・ホープフルS各1頭となっているのです。そして今年の上位2頭が共同通信杯からで、3着は弥生賞からと、見事に最近の傾向の通りになったのです。
ところで近5年で共同通信杯と弥生賞から皐月賞の3着内に入った馬は、両レースで連対した馬か1番人気と限られていたのですが、1着のロブチェンは共同通信杯3番人気3着からと、やや外れた形になりました。
とはいえ前走G1を勝ちながら3番人気となった方がおかしいとも言えますし、人気薄で3着のライヒスアドラーも上記の傾向にはあっていたわけで、これはかなり強力な法則と言えるかもしれません。
ぜひ来年の予想に生かしたいと思います。