2024年の年度代表馬と競走馬各部門の受賞馬が、記者投票により決定して発表されました。まずはその結果から。
●年度代表馬、最優秀4歳以上牡馬
ドウデュース
●最優秀2歳牡馬
クロワデュノール
●最優秀2歳牝馬
アルマヴェローチェ
●最優秀3歳牡馬
ダノンデサイル
●最優秀3歳牝馬
チェルヴィニア
●最優秀4歳以上牝馬
スタニングローズ
●最優秀スプリンター
ルガル
●最優秀マイラー
ソウルラッシュ
●最優秀ダートホース
レモンポップ
●最優秀障害馬
ニシノデイジー
●特別賞
フォーエバーヤング
昨年末に予想したのですが、残念ながら最優秀4歳以上牝馬を外してしまいました。
ここは正直言ってかなり決め手に欠けるので難しいと思っていたのですが、やはり全部門の中でもっとも獲得票数が少ない受賞となりました。個人的には、エリザベス女王杯を勝ったスタニングローズがヴィクトリアMでは9着に敗れていたことと、そのヴィクトリアMの勝ち馬テンハッピーローズがアメリカのBCマイルで見せ場のある4着だったことからテンハッピーローズを推したのですが、スタニングローズ138票、テンハッピーローズ95票という結果でした。
ただし該当馬なしが23票と全部門でもっとも多かったので、迷った記者も多かったのでしょう。
スタニングローズが選ばれた理由としては、昨年は不振だったとはいえ秋華賞を勝っているG1馬で、ずっとG1戦線で戦ってきたという格の違いが大きかったのではないかと思います。
テンハッピーローズはG1馬となって以降はがんばっているとはいえ、ヴィクトリアMを勝つまでは重賞未勝利で14番人気という大穴だったのですから、印象としては落ちても仕方ないのかもしれません。
そして今回最も議論を呼んだのは、やはり最優秀3歳牡馬と最優秀ダートホースの部門だったと思います。ダート3冠が整備された年に生まれたスターホースであるフォーエバーヤングを、どう評価するかが問われたのです。
とはいえ、フォーエバーヤングは昨年1度もJRAのレースには出走しておらず、またG1勝ちは東京大賞典のみ(他にJpn1のジャパンダートクラシックも1着)。ケンタッキーダービーとBCクラシックで3着に入ったことは大いに評価されるべきですが、勝てていないのも事実なので、どちらの部門も2番というのは仕方ない結果でしょう。
しかし年度代表馬の投票で19票を得て2番になったのは、個人的にはちょっと驚かされました。それだけ昨年残したインパクトは大きかったということでしょう。それもあって2023年のウシュバテソーロに続く特別賞となりました。
ダートの評価が芝に比べて低いのではという声もあり、実際にその傾向は否めないと思います。
1999年に国内で1戦もしなかったエルコンドルパサーは、G1サンクルー大賞を勝ち、凱旋門賞2着もあって年度代表馬に選ばれました。しかし2023年ドバイワールドカップを勝ち、BCクラシック5着以外は5戦4勝だったウシュバテソーロは、同じくJRAのレースには出ていなかったのですが、特別賞に終わったのです。
ただし世界との距離は芝に負けず劣らず縮まっていると思うので、近い将来ケンタッキーダービーやBCクラシックを勝って年度代表馬に選ばれるような馬が現れる可能性も高くなっているのではないでしょうか。
そして年度代表馬は、予想通りドウデュースでした。
上半期はドバイターフで前が詰まり5着、宝塚記念は重馬場に苦しみ6着と結果を出せなかったのですが、秋は天皇賞(秋)、ジャパンCとスローを後方から進みながらも、直線で豪快に差し切って連勝。過去最高得票数で選ばれた有馬記念は直前で取り消しとなって、残念ながら秋古馬3冠はならなかったものの、人気、実力ともに現役No.1と言っても過言ではないでしょう。
そしてこれによって、2022、2023年はイクイノックス、2024年はドウデュースと、3年連続で2019年生まれの馬が年度代表馬に輝きました。これだけでもこの世代の強さを象徴していると思います。
他にもジオグリフ、ジャスティンパレス、プラダリア、ブローザホーン、ローシャムパークなど才能ある同世代もまだ現役を続けており、4年連続をめざしてがんばってほしいものです。
2023年に2012年から続いてきたディープインパクトのリーディングサイアー1位が終わり、ドゥラメンテが初の首位になったのですが、2024年はディープインパクト産駒のキズナが1位となり、再び首位交代となりました。
平地G1勝利はジャスティンミラノの皐月賞のみでしたが、2歳重賞をマジックサンズ(札幌2歳S)、ブラウンラチェット(アルテミスS)、エリキング(京都2歳S)と前途有望な馬たちが勝って、2歳リーディングサイアーも獲得。今年のクラシックを席巻する可能性も出てきました。
これまでキズナ産駒というとあまり大物がいない印象で、ソングラインがマイルで活躍した以外では、ディープボンドが長くがんばっているぐらいのイメージしかなかったのですが、今年は一味違うキズナ産駒たちが見られるかもしれません。
個人的にはエリキングの勝ち方が印象に残りました。骨折で一頓挫あったものの軽傷とのことなので、活躍を期待しています。
また全体的に昨年は4歳牡馬の活躍が今一つで、5歳世代は強かったのですが3歳世代も強く、ジャパンCで2,4着、有馬記念で1,3着と堅実に走っていました。今年の古馬戦線はおそらく4歳世代が引っ張っていくことになるのでしょう。
とはいえ弱いと言われた昨年の4歳世代の牡馬たちですが、実はクラシックを制した3頭が、1度ずつG1で2着に入り穴をあけているのです(宝塚記念:ソールオリエンス[7番人気]、天皇賞(秋):タスティエーラ[9番人気]、ジャパンC:ドゥレッツァ[7番人気])。好配当を狙うのであれば、今年の5歳馬かもしれません。