東京競馬場の5週連続G1の第2弾は、古馬牝馬のマイル戦ヴィクトリアMですが、このレースには理由を説明できない不思議な法則というか傾向があります。それはこんなものです。
(1)前走1着馬は勝てない
G1には前哨戦となる重賞があり、その1着馬は調子が良いことが多く、一般的に勝つ確率も高くなるものです。しかしヴィクトリアMの過去10年を見てみると、前走1着馬の成績は0・3・0・38と未勝利であるばかりでなく、連対率はわずか7%と驚くほど悪いのです。
しかも連対した3頭について見てみると、うち2頭はヴィクトリアMで12番人気と10番人気の人気薄。前走を勝っている人気馬は、目をつぶって切ってもいいのではないかというレベルなのです。
(2)2番人気は連対できず3番人気は2着まで
人気はファンの期待値の表れであり、近走の成績がいい馬が上位に来るので、一般的に人気が高いほど好走する確率も高くなります。しかし過去10年の2番人気の成績を見てみると0・0・1・9とわずかに3着1回のみという惨状。
さらに3番人気も0・2・0・8と2着は2回あるものの、1着はなく連対率も20%と残念な結果です。
さすがに10回続くということは、法則と呼んでもいいでしょう。
(3)前走2桁着順からも連対あり
上の2点とかぶるのですが、G1ともなるとレベルが高い戦いであり、前哨戦で2桁着順に沈んでいるような馬は、調子落ちか力がないということで、凡走する確率が高くなります。
しかし同じく過去10年の成績を見てみると、前走で10着以下だった馬の成績は2・1・1・30。さすがに連対率は低くなりますが、3頭も連対しており、これは無視できません。
このように他のG1レースとはかなり異なる傾向を持っているヴィクトリアMですが、その理由を無理やり考えてみると、やはり牝馬の戦いだということになるでしょうか。
牝馬は、特に春先はフケの影響で思わぬ凡走をすることがありますが、そのほかにも気に入らないことや不利があると走るのをやめてしまったり、逆に前走でそうなった場合に、打って変わって好走したりということが、牡馬よりも多いように思います。
ただし、これも説得力のある説明ではなく、やはり不思議な法則だと言えるでしょう。
では今年はどうなったでしょうか。
まず前走1着馬ですが、今年は阪神牝Sを勝ったサウンドビバーチェ、京都牝Sを勝ったララクリスティーヌ、福島牝Sを勝ったステラリアの3頭が出走しましたが、最高着順はサウンドビバーチェの5着。とはいえ最も人気があったのはララクリスティーヌの6番人気なので、勝てなかったことはそれほど不思議でもないでしょう。
逆にほとんどの馬が、前走負けて出走しているという事実の方が、不思議と言えるかもしれません。
続いて2,3番人気についてですが、当初はスターズオンアースとソダシの2強対決の様相を呈していたこともあり、1番人気スターズオンアース、2番人気ソダシで推移していました。これを当てはめると、ソダシの連対はないのかと思っていたのですが、なんと直前にそれまで3番人気だったナミュールが2番人気になり、ソダシが3番人気に落ちたのです。
直前にオッズが動くことはよくあるのですが、おそらくパドックを見て馬券を買う人たちが、ナミュールの気配の良さを見て、そちらに賭けたのではないでしょうか。
そして結果は3番人気ソダシが2着に入り、2番人気ナミュールは不利があったこともあり7着。今年も法則は継続してしまいました。
最後に前走2桁着順の馬の連対ですが、前走サウジのレースで10着に終わっていたソングラインが、スターズオンアース、ソダシを差し切って優勝。何とこちらも現実になってしまいました。
しかもほかの前走2桁着順馬のうち、15番人気のディヴィーナがスターズオンアースに1馬身差の4着に好走。3頭中2頭が掲示板に載るという好成績で、こちらも来年以降注意が必要でしょう。
とはいえ結果はそれほど荒れたわけではなく、4番人気-3番人気-1番人気での決着で、3連単は12,830円(25番人気)。過去10年では2020年の7,340円に次ぐ固い結果でした。
これはファンが過去の傾向をうまく見切って馬券を買ったとも言えるわけで、うまく予想をしている人が多いなあと思いました。
不思議な法則が今年も継続してしまったということで、来年はどうなるか早くも気になります。覚えておいて、来年の予想にぜひ生かしたいと思います。