牝馬3冠はならず。でも今後に期待 ~秋華賞

オークスが終わった時点では、スターズオンアースの3冠はかなり堅いのではと思いましたし、実際にこのブログでもそう書いていました。
桜花賞で見せた馬群を割って抜ける勝負根性と末脚、オークスで見せた圧倒的な強さと常に上位に来る安定感は、同期のほかの牝馬にはないものだったと思うのです。

さらにグレード制導入後に春2冠を達成した牝馬のうち、2冠にとどまったのが3頭だったのに対して、3冠を達成したのが6頭。この10年に限れば、ジェンティルドンナ(2012年)、アーモンドアイ(2018年)、デアリングタクト(2020年)とすべての馬が3冠馬となっているのです。

唯一の不安材料としては、オークス後に剥離骨折をしたことですが、幸いに軽いもので手術をして7月には乗り出し、9月中旬には帰厩して順調に調教を積んでいました。
追い切りのビデオも見ましたが、先行する馬に内から並びかけると、素晴らしい手ごたえで一気に交わしていき、怪我の影響は感じられませんでした。
当日の馬体重も+8kgと減っていた春からは回復し、パドックでの気配も気合が乗って素軽い歩様で調子の良さを感じさせました。

ところがスタートでやや出遅れると、さらに左右から挟まれて進路をふさがれ、2馬身ほど置かれてしまいます。これでルメール騎手は腹をくくったのでしょう。後ろから3番手の内を追走します。1000m59.7とやや遅めのペースにも関わらず、縦長の展開で後方待機のまま。
4コーナーでも内を突いて、馬群が開くのに賭けます。内回りの短い直線で、懸命に馬群をさばいて伸びますが、スムーズさに欠けるのは否めず、最後は先に抜け出したスタニングローズをめがけて、外のナミュールと馬体を合わせて伸びるものの、ナミュールとの追い比べにも敗れて、1/2馬身差3着まで。
上りはメンバー最速の33.5の脚を繰り出しましたが、脚を余す形となりました。

ルメール騎手の選択にはおそらく賛否の意見があるでしょう。途中で上がっていく手もあったと思いますが、末脚の切れを考えて後ろからに賭けたのだと思います。4コーナーで外に出さなかったのは、直線の短さを考えれば妥当だと思いますが、すべては結果で判断されるという騎手の宿命を考えると、批判は甘んじて受けるしかないでしょう。
とはいえ、負けて強しだったと思います。

対して最後の1冠を奪取したのは、春はフラワーCを制していたのにオークスは10番人気と低い評価となり、それを覆すように2着に好走したスタニングローズでした。
G1で好走するもののなかなか勝てないことで有名な、いわゆるバラ一族の一員で、曾祖母ロゼカラー(1996年オークス4着、秋華賞3着)、祖母ローズバド(2001年オークス2着、秋華賞2着、エリザベス女王杯2着)の無念をようやく晴らしたという形になりました。

また鞍上の坂井瑠星騎手は、これがJRAのG1初制覇。交流G1は2020年のジャパンダートダービーをダノンファラオで勝っており、さらに今春にはドバイのゴドルフィンマイル(G2)をバスラットレオンで逃げ切って優勝するなど実績豊富なので意外ではありましたが、7年目でのうれしい戴冠となりました。
2週間前のスプリンターズSで同期の荻野極騎手がJRA G1初制覇を飾っており、秋のG1はフレッシュな顔ぶれの勝利で始まったといえます。

スタニングローズは、オークスでは早めに抜け出したもののスターズオンアースに並ぶ間もなく交わされ、その時点では力差を感じさせました。
しかし夏を越して紫苑Sでは、逃げ切りを図るサウンドビバーチェをゴール直前で競り落とし、1番人気に応えて重賞2勝目を飾ると、3番人気で秋華賞に臨んでいました。

レースでは、スタートでややよれたものの、すぐに立て直してアートハウスを前に見る好位を追走。そのままアートハウスを目標に直線に向くと、残り200m過ぎで外からサウンドビバーチェ、アートハウスを交わして先頭。そのまま抜け出すと、最後はナミュール、スターズオンアースに迫られるも1/2馬身差で初のG1制覇となりました。

ただ勝因を考えると、短い直線というコースの特性を活かした勝利であり、2馬身離した4着以下とは差があるものの、上位3頭に力差はないと思います。
早ければエリザベス女王杯で3頭の再戦があるかもしれませんし、今後も好敵手としてお互いに切磋琢磨して、よいレースを見せてくれることを期待したいと思います。

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