ワグネリアンの訃報

2018年に福永騎手を初めてダービージョッキーにしたワグネリアンが、1/5に亡くなりました。
ジャパンC後に体調を崩し、栗東トレセンの診療所に入院していたのですが、年末に容体が急変したとのこと。報道によると胆管に胆石が詰まったことによる多臓器不全だそうですが、競走馬の死因として聞いたことがないので、極めてまれな症例だったのでしょう。ご冥福をお祈りします。

ワグネリアン 皐月賞出走時 2018年4月15日 中山競馬場

ワグネリアンとはあまり相性が良くなく、本命視した皐月賞では1番人気で後方から伸びず5 1/2馬身差7着と大敗。
ダービーでは迷ったものの、皐月賞でのふがいない負け方に加えて、調教やパドックの様子もあまり評価できず、思い切って買い目から外してしまったのです。
しかしレースが始まって、向こう正面でワグネリアンが6,7番手につけて人気のブラストワンピースやダノンプレミアムをマークしているのを見て、大いに後悔しました。ダービーでこそワグネリアンを買うべきだったのだと。

この時はパドックでよく見えたブラストワンピースに注目していたのですが、3コーナー過ぎから外のワグネリアンに蓋をされて、そのままの態勢で直線を向きます。ブラストワンピースは仕方なく内に進路を取るのですが、完全に前が詰まってしまい、ワグネリアンが上がっていったあとに再度外に出します。その時には、すでにワグネリアンとは2馬身以上の差に。
スムーズに外目を走ったワグネリアンは、前を行くエポカドーロ、コズミックフォースをゴール直前でかわして1着。対するブラストワンピースは懸命に追い上げるも、3着コズミックフォースとはハナ+ハナ差の5着まで。

ワグネリアン 日本ダービー出走時 2018年5月27日 東京競馬場

ダービー後のインタビューで福永騎手は、内にいたブラストワンピースの手応えがよく見えたので、意識的に内に閉じ込めたと言っていたので、作戦勝ちだったといえます。実際にブラストワンピースは、夏に古馬相手に新潟記念を勝つと、年末の有馬記念を3歳馬ながら制するなど力のある馬でした。ダービーもスムーズなら勝っていたかもしれません。
福永騎手も、そのような冷静な騎乗がダービーでもできるようになったことが、コントレイル(2020年)、シャフリヤール(2021年)と、4年間で3度もダービーを勝つような偉業につながったのではないでしょうか。

その後ワグネリアンは神戸新聞杯を勝つものの、疲れが抜けずに年内は全休。
2019年4歳になって大阪杯、ジャパンCで3着と力のあるところは見せましたが勝利には届かず、惜敗を繰り返します。

ワグネリアン ジャパンC出走時 2019年11月24日 東京競馬場

2020年5歳シーズンは喉鳴りもあり2戦しかできず、2021年6歳シーズンはマイルの富士Sにも挑戦しますが、掲示板がやっとという不振。
ダービー馬という栄光も遠い過去のものになりつつあるものの、その看板を汚すことはできないという陣営の苦労がしのばれました。

そして久しぶりのG1出走となったのがジャパンC。ここにはマカヒキ(2016年)、コントレイル(2020年)、シャフリヤール(2021年)とあわせて4頭のダービー馬が顔をそろえるということで話題になりました。
しかし不振にあえぐワグネリアンは単勝94.6倍の13番人気。成績を見れば仕方ないとはいえ、ダービー馬としてはあまりに悲しい状況でした。そしてレースでは思い切って先行するものの、直線に入ると手ごたえを失って最下位でゴール。結果的にこれが最後のレースとなりました。

ワグネリアン ジャパンC出走時 2021年11月28日 東京競馬場

父ディープインパクトに母ミスアンコール、さらに母の両親であるキングカメハメハとブロードアピールと、すべて自分の持ち馬で固めた金子真人オーナーからすれば、ワグネリアンのダービー制覇はまさに夢のような出来事だったと思います。それだけにワグネリアンの子孫を残せなかったことは、とても残念だったでしょう。
近年の低迷を見て、なぜ早く種牡馬にしないのか不思議に思ってはいたのですが、おそらく現状のディープインパクト産駒種牡馬の多さが、その理由の一つだったのではないかと思います。それよりは可能性が少しでもあるうちは、現役生活を続けさせようと考えていたのかもしれません。

競走馬である以上、可能性があれば前に進むというのが宿命でもあります。結果として短命に終わってしまったワグネリアンですが、その走りに力づけられた人はたくさんいるでしょうし、多くの人の記憶に残る馬であったことは間違いないと思います。

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