今年のチャンピオンズCの大きな話題は、なんといっても桜花賞馬ソダシの参戦でしょう。昨年の阪神JF、今年の桜花賞とG1を2勝。世界初の白毛馬のG1馬&クラシックホースとなり、ぬいぐるみがあっという間に売り切れるなど、かなりの人気となりました。
その理由は、なんといってもその血統でしょう。
父クロフネは芝、ダートの二刀流にして、いまだに破られないダート1600m&2100mのレコードを保持。しかもともにタイムの出にくい良馬場で記録しており、その強さはいまだに伝説として語られます。
そして母ブチコは全4勝をダート1800mであげており、ソダシは血統的にはダート中距離でこそという感じ。まさに絶好の舞台と思えます。
とはいえソダシはこれまですべて芝のレースを使われており、ダートの走りは未知数。いくら血統的に合うとはいえ、ダートの歴戦の猛者たちを相手に、そんなに簡単に勝たせてもらえるとは思えません。
ジャパンカップダート時代を含めて過去21回で牝馬の優勝は2015年のサンビスタの1回のみ。また3歳馬は5頭が勝っていますが、いずれもダートの勝ち鞍はありました。
つまりもしソダシが勝てば、それまでの傾向をすべて覆すような、とんでもない快挙となるのです。
そう考えると、ソダシが勝つことはとてもハードルが高いことがわかります。また秋華賞でゲート入りを嫌がり、直線ではあっさりと馬群に沈んだレースぶりも気になります。ということで個人的にはチャンピオンズCにおけるソダシの評価はかなり下げたのですが、直前まで1番人気(最終的には2番人気)に支持されていたのは驚きました。ただし、連勝系の馬券では、3番人気ぐらいの扱いでしたが。
そこで予想に当たってまず重視したのは、過去の傾向でした。
中京ダート1800mは東海Sも行われていますが、小回りの左回りで、スタート直後とゴール前に坂を上るという独特のコース形態。リピーターが多いことからもわかるように、得意不得意が成績に直結するイメージがあります。
さらにこのコースで行われた過去7年の連対馬14頭を見てみると、4コーナー5番手以内の馬が8頭で、10番手以降の馬が4頭。明らかに先行有利の傾向が見て取れます。
またほとんどの馬が近2走で重賞で連対するか3番人気以内に推されており、近走で成績がいいことも前提になります。
つまりコース実績があり、先行できて近走重賞で人気があるか好走しているという条件から、個人的に中心に考えたのはテーオーケインズでした。特に帝王賞で抜け出して3馬身差で勝つシーンは、強さを感じさせました。レース直前で1番人気になったのは少し驚きましたが、総合的に見るとそういう結論になる人が多かったのでしょう。
しかし不安を感じたのは、その粗削りな走り方でした。帝王賞でも追い出されてから何度も外によれるシーンがあり、また追い切りでも常に右側に頭を向けて走っており、走り自体は力強く脚の上りや回転も文句ないのですが、大丈夫だろうかと思わせました。
さらにパドックでも、気合乗りや毛づやは良いものの、トモの送りはややスムーズさを欠き、調教もパドックも良く見せたチュウワウィザードに乗り換えようかと何度も思ったほどです。
レースでは、テーオーケインズは心配されたスタートをうまくきると、外から前に行く馬たちを行かせて5,6番手の絶好の位置につけます。向こう正面では掛かるのを鞍上の松山騎手が懸命に抑えており、ちょっと心配になりますが、うまく馬の後ろに入れて折り合わせます。
そのまま馬群の中で進めると、直線に入ったところでややごちゃつきますが、そこから抜けて前を行くインティを交わすと、あとは離す一方。最後は外からようやく2着に上がったチュウワウィザードに6馬身差をつける強い勝ち方で、見事にJRAのG1初制覇となりました。
想像以上の強さをみせたわけですが、成績を見てみると8・2・2・3と、その安定感は特筆すべきものがあります。これでG1は2勝目となり、まだ4歳とこれからの成長も見込めるので、さらなる活躍も期待できるでしょう。
そしてシニスターミニスター産駒として、ヤマニンアンプリメ(2019年 JBCレディスクラシック)に続くG1馬となったのですが、バリバリのアメリカ血統として種牡馬になってからも期待できそうです。
今後はチャンピオンとして、G1や海外遠征にも臨むことになるでしょうが、またあの強さを見せてくれることを期待したいと思います。