クラシックへの展望が開ける勝利 ~ホープフルS

G1になって4年目の、2歳牡馬中距離のNo.1決定戦ホープフルS。今年は有馬記念前日の12/26(土)の実施となりました。

今年このレースを制したのは、新馬、東スポ杯2歳Sと連勝で臨んだ1番人気のダノンザキッド。これは昨年のコントレイルと同じ(コントレイルは9/15の新馬を勝っていますが、ダノンザキッドは6/28の新馬勝ち)で、2年前のサートゥルナーリアに続く3年連続の無敗での戴冠となります。
サートゥルナーリアもコントレイルも、4年前のレイデオロ(当時はホープフルSはG2)も、無敗の3連勝でホープフルSを勝った馬は、いずれも翌年のクラシックを制しており、ダノンザキッドもクラシック確定と言えるかもしれません。

東スポ杯はスローで流れたこともあり、やや抜け出すのに時間がかかり、1 1/4馬身差の1着と派手さはなかったのですが、他馬との手ごたえの差はあきらかで、今回が力の有無を見極める場となると思われました。
パドックで見たダノンザキッドは、ややテンションが高めではあるものの、気合乗りよく迫力ある馬体で、トモの踏み込みも力強く、引手をぐいぐい引っ張って、状態の良さがうかがえました。調教も内からあわせてしっかりと脚を伸ばし、文句なしという感じ。

レースでは、ダノンザキッドは1番の好スタートを切ると、直後こそやや掛かるしぐさを見せるものの、好位の外につけて折り合います。ランドオブリバティの作るペースは1000m1.01.9とスローですが、折り合いに問題なし。
4コーナーでランドオブリバティが大きく外に逸走するアクシデントがありますが、その影響を受けることもなく3番手の外で直線を向くと、すぐに先頭に立ちます。坂でやや伸びあぐねるシーンもありましたが、ゴール前で内のオーソクレースを突き放し、最後は1 1/4馬身差をつけて1着でゴール。
東スポ杯と着差は同じでやはり派手さはありませんが、同じくデビュー2連勝で臨んだ良血のオーソクレースとヨーホーレイクを抑えての戴冠で、力のあるところは見せました。

これで川田騎手は、先週の朝日杯FSグレナディアガーズに続いて、2歳牡馬のG1を連勝。しばらくG1を勝てなかったうっぷんを晴らすような走りでした。
川田騎手と言えば、G1を勝った後も冷静で、あまり感情を表に出さないイメージがあるのですが、レース後に珍しく感極まった様子で、インタビューでも目が潤んで、途中言葉に詰まるシーンがありました。その理由はインタビューの中で明かされたのですが、デビューしてから2年間所属した安田隆師にようやく恩返しできたということだったそうです。
川田騎手でダノンというと、ダノンプレミアムやダノンファンタジーという中内田厩舎のイメージが強いのですが、自らがG1に3回乗って勝てなかった安田隆厩舎のダノンスマッシュが、先日の香港スプリントをムーア騎手で快勝したことにも、思うところがあったのでしょう。

ちなみにダノンの馬でG1を勝ったのは、ダノンシャンティ(2010年NHKマイルC)、ダノンシャーク(2014年マイルCS)、ダノンプラチナ(2014年朝日杯FS)、ダノンレジェンド(2016年JBCスプリント)、ダノンプレミアム(2017年朝日杯FS)、ダノンファンタジー(2018年阪神JF)、ダノンスマッシュ(2020年香港スプリント)とダノンザキッドの前に7頭いましたが、すべてマイル以下。今回が初めて2000mという中距離でのG1制覇となりました。

ところで今日のレースで驚いたのが、2番人気ランドオブリバティの4コーナーでの逸走。個人的に中心視していたので、かなりのショックでした。
スタート直後に左右の馬に挟まれ、そこをこじ開けるように出たのですが、それで馬がエキサイトしてしまったのか、まさかの逃げに出ます。やや掛かりぎみになるのを三浦騎手が懸命に抑え、1000m1.01.9とうまくスローに落としたと見ていたのですが。
4コーナー手前で他馬の騎手の手が動く中、ランドオブリバティは馬なりで4コーナーを回るはずが、ラチからどんどん離れていってしまい、三浦騎手が懸命に立て直そうとするも1頭だけ外ラチへ。最後は三浦騎手を振り落としてしまい、競走中止となりました。三浦騎手は明日のレースも乗り替わりになってしまいましたが、胸部打撲とのことで大事ではなさそうで何よりでした。

レース中の逸走というと、オルフェーヴル(2012年 阪神大賞典)やエイシンヒカリ(2014年 アイルランドT)などが印象的ですが、どちらもG1を勝っています。気性の激しさをうまく勝負根性にむすびつけられれば、大きなところを取れる可能性があるということなのかもしれません。
ランドオブリバティも父ディープインパクト 母父ドバウィと世界的な良血馬なので、ぜひ来年はこの雪辱を期待したいと思います。

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