天皇賞(春)はフィエールマンが連覇を飾りました。これは5頭目になるのですが、そのうち3頭はこの10年以内(2013,14のフェノーメノ、2016,17のキタサンブラック)に達成しており、近年のリピーターが多いという印象が正しいことがわかります。
その前の2頭もテイエムオペラオー(2000,2001)とメジロマックイーン(1991,1992)で、比較的最近に達成されています。
これは1980年までは勝ち馬は出走できなかったということもありますが、距離別のレース体系が整備されて、長距離が得意な馬しか参戦しないようになったということも大きいでしょう。
特に近年は長距離レースが少なくなり、いわゆるステイヤーが少なくなったことも大きく影響していると思います。フルゲートになったのも2016年が最後で、去年は13頭、今年も14頭とややさみしい頭数に。
しかしフルゲート割れした2017年から4年連続で1番人気が連対しており、以前に比べると荒れないG1になってきたともいえるでしょう。
フィエールマンは、去年ディープインパクト産駒として初めて天皇賞(春)を勝ったのですが、その後は札幌記念3着、凱旋門賞は最下位の12着、そして遠征帰りの有馬記念は4着と未勝利。それ以来の休み明けが懸念されたこともあり、単勝2.0倍とやや微妙な評価となりました。
しかし後方を折り合って進むと、3コーナーから徐々に進出して4コーナーは中団外。そこから直線はじりじりと伸びて、最後は先に抜け出したスティッフェリオに並びかけたところでゴール。写真判定の結果、ハナ差での戴冠となりました。
フィエールマンの長く脚を使う脚質は、切れで勝負するイメージの典型的なディープインパクト産駒とは違い、じりじり伸びる感じはまさにステイヤーのそれ。しかし上りはメンバー唯一の34秒台となる34.6で、そのあたりはやはりディープインパクトの血を受け継いでいるのかと思わせます。
中距離だと勝ちきれない面も見せるのですが、3000m以上のG1は3戦とも僅差で競り勝っており、長距離での勝負根性は特筆すべきものがあります。その意味では、ディープインパクト産駒を代表するステイヤーの地位を確立したと言えるでしょう。
そして騎乗したルメール騎手は、これで天皇賞4連覇となりました(2018年秋 レイデオロ、2019年春 フィエールマン、2019年秋 アーモンドアイ、2020年春 フィエールマン)。これは1989年春~1990年春に3連覇した武豊騎手の記録を抜いての新記録です。
しかし春だけの連勝記録は1989年~1992年の武豊騎手の4連覇があり、こちらは上には上がいるという感じ。
しかし同一の馬での3連覇は、天皇賞(春)はもちろん、平地G1ではまだありません。
フィエールマンが来年も現役を続けるかはわかりませんが、ステイヤーは競走寿命が長い傾向があり、またフィエールマン自身もまだ9戦とあまり使っていません。3連覇を話題にするのはまだ早すぎますが、ぜひ目指してほしいと個人的には思います。