今年のフェブラリーSは、1番人気のモズアスコットが中団から抜け出して2 1/2馬身差で圧勝。これで2年前の安田記念とあわせて、芝、ダートの両マイルG1を制覇する快挙をなしとげました。
過去にJRAの芝、ダートG1をともに制したのは4頭。
まずは2001年にNHKマイルCとJCダートを勝ったクロフネ。次に2000年のマイルCSと2001年の天皇賞(秋)、2002年のフェブラリーS、2003年の安田記念を勝ったアグネスデジタル。2000年のNHKマイルCと2002年のJCダートを勝ったイーグルカフェ。そして2001年の朝日杯FSと2004年のフェブラリーSを勝ったアドマイヤドン。
こうして見ると不思議と2000年代前半に集中していることがわかりますが、モズアスコットはアドマイヤドン以来16年ぶりの偉業となりました。
他にもエリザベス女王杯とG1昇格前のフェブラリーSを制したホクトベガなどもいますが、いずれ劣らぬ名馬たちの仲間入りという感じです。
モズアスコットを管理する矢作調教師によると、最近のモズアスコットはパワー型に変わってきて、血統的にも走法からもダートが合いそうということで、満を持してのダート転向だったようです。
そのダート初戦となった根岸SはTVで見ていたのですが、先に抜け出したコパノキッキングを 鋭い末脚で交わす快勝で、その勝ちっぷりに驚かされました。クロフネの武蔵野Sほどではないにしても、ダートでの将来性を感じさせるものだったのは確かです。
しかしクロフネとは違って最近芝では頭打ちだったこともあり、個人的にはG1でダート界の猛者たちにその力は通じるのかという一縷の不安もあったのです。しかしそれも杞憂に終わりました。
芝・ダート両方で活躍した馬たちの成績を見ると、アグネスデジタルを除くと若いうちはスピードを生かして芝で活躍するものの、その後はパワーを生かしてダートで活躍するというパターンが多いようです。
こうしてみると、アグネスデジタルの異能ぶりには改めて驚かされます。マイルCSを勝つ前走が武蔵野S2着だったり、天皇賞(秋)を勝つ前走が南部杯1着だったりするのもすごいのですが、フェブラリーSを勝ったその年に、再度芝の安田記念を勝っているのです。スピードもパワーも兼ね備えた理想的なサラブレッドと言えるのかもしれません。
モズアスコットが今後ダートに専念するのか、あるいは再び芝を走ることがあるのか、現状ではわかりませんが、個人的にはアグネスデジタルのような本格的な二刀流に挑戦してもらいたい気持ちもあります。

