レシステンシア驚異的な強さでした ~阪神JF

2歳の特に牝馬の戦いは、キャリアが少ないためにその見極めは、なかなか難しいものがあります。
今年の阪神JFで圧倒的な1番人気(1.8倍)に支持されたのは、唯一のディープインパクト産駒リアアメリア。その根拠は、8馬身差で楽勝した新馬戦と、最後方から33.0で差し切ったアルテミスSの走りでした。

しかし新馬を大差で快勝することはよくありますし、アルテミスSは9頭立てで勝ちタイムも平凡。さらに道中はアタマをあげて行きたがるのを懸命に抑えるシーンもあり、個人的にはあまり強いインパクトは感じなかったのが正直なところでした。少なくとも単勝1.8倍はちょっと見込まれ過ぎかなと思ったのです。

レースぶりで強く印象に残ったのは、リアアメリアと同厩舎のクラヴァシュドール(4.8倍の3番人気)の前走サウジアラビアRCでの走りでした。このレースをレコードで勝ったのは、来週の朝日杯FSで1番人気が見込まれるサリオスでしたが、それに1 1/4馬身差2着で、3着馬を3 1/2馬身離したレースぶりは、タイム(1.32.9)も含めてかなりインパクトがありました。
強い馬は厳しいレースを経験することも大事だと思うのですが、これはリアアメリアにはないアドバンテージだと感じました。

他にも新潟2歳Sを勝ったウーマンズハートなども気になったのですが、予想の時点ではレシステンシアはかなり軽視していました。 その大きな理由は、2戦2勝でファンタジーSを勝っているとはいえ、1400mのレースしか経験していないことでした。
過去の上位馬の成績を見ると、マイル以上で実績を残している馬が多く、ファンタジーSから連対した馬も、昨年のダノンファンタジーのようにマイルでの勝ち星があるのが好走条件だったのです。またダイワメジャー産駒もあまり距離がもたない印象がありました。

しかし追い切りを見て、認識を変えることになりました。気迫あふれるコンパクトな走りで、タイムも優秀。特に栗東坂路で52.1で走りながら、最後の1ハロンで12秒を切るのは、2歳牝馬では出色の時計と言えます。
さらにパドックでは落ち着いていながら気合を全面に出し、雄大な馬体でトモの踏み込み深く、とてもよい状態に見えました。
とはいえ、やはりマイル経験なしが引っかかって、▲の評価までしかできませんでしたが。

レースでは、レシステンシアは予想に反してハナを切ります。阪神JFでは過去10年で逃げ馬はすべて着外に敗れており、4コーナー先頭で勝ったのもメジャーエンブレムただ1頭。距離に不安があることを考えると、正直言ってこれで終わったと思いました。
しかも刻んだタイムが、600m33.7。これは過去10年で圧倒的に速く、ちょっと無謀な逃げにも映りました。
4コーナーで後続が一気に迫ってくると、これで馬群に飲み込まれるかと思ったのですが、直線に入るとレシステンシアは意外にも後続をぐんぐん引き離していきます。その差は残り200mの時点で4馬身以上。この時点で勝負あったという感じ。
そのまま突き放して、2着マルターズディオサに5馬身差の圧勝でした。

勝ちタイムは1.32.5と、ウオッカが2006年に記録した基準タイムを0.6秒も更新するレコードタイム。しかも600m33.7とハイペースで逃げながら、上り3ハロンはメンバー1番の35.2。
逃げ馬に1番の上りを使われては、後続馬の出番があるはずもなく、まさにテンよしナカよしシマイよしの、理想の競走馬の姿でした。

本命視したクラヴァシュドールは、2番の上がり35.5でマルターズディオサと壮絶な2着争いをするものの、最後まで交わせずハナ差3着。
1番人気のリアアメリアは前走同様に後方から進めて、直線は外から差してくるものの伸び脚は一息(上り35.7)で、レシステンシアから1.5秒差6着まで。キャリアの浅い2歳牝馬の難しさが出た感じでした。

勝ちタイムもレースぶりも、強いインパクトを残したレシステンシア。来年の牝馬クラシックは、この馬を中心に回っていくことは間違いないでしょう。どんなレースを見せてくれるのか、とても楽しみです。

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