春の実績馬か夏の上り馬か その2 ~菊花賞

今年の菊花賞は、春のクラシック2冠を制した馬がどちらも不在という、秋華賞とまったく同じ構図となりました。そこで浮かび上がってくるのが、またもや 春のクラシック実績馬を上位に取るか、それとも夏の上り馬を中心に考えるかという問題です。

菊花賞の場合、過去10年の勝ち馬を見てみると、2009年スリーロールス、2010年ビッグウィーク、2014年トーホウジャッカル、2017年キセキ、2018年フィエールマンと、秋華賞の3頭よりも多い5頭が春のクラシック未出走で制しています。また春にクラシックの前哨戦に出走していたのはキセキだけで、あとの4頭は純粋に夏の上り馬と言えます。
しかもビッグウィークの単勝2,320円を初め、フィエールマンも1,450円つくなど、上り馬は比較的人気が低いことが多く、こう見ると菊花賞は上り馬から入った方が得という感じもあります。

そのためか、1番人気ヴェロックス、2番人気ニシノデイジーと上位2頭はダービー好走組が支持されたものの、その下は3番人気ワールドプレミア、4番人気ヒシゲッコウ、5番人気ホウオウサーベル、6番人気ザダルと、ずらりと春のクラシック未出走組が並びます。
中でもヒシゲッコウとホウオウサーベルはトライアルではなく、前走2勝クラス(1000万下)を勝って出走してきた馬です。さすがにこのローテーションで勝ったのはスリーロールスだけですが、近2年はホウオウサーベルと同じ阿賀野川特別1着から臨んだポポカテペトル、ユーキャンスマイルが連続して3着に好走しており、可能性はあるということで人気になったのでしょう。

しかし勝ったのは、3番人気のワールドプレミア。中団でヴェロックスをマークするように進むと、直線は内を突いてヴェロックスの前に出て突き放し、最後は後方から差してきたサトノルークスの追撃をクビ差抑えて、初重賞制覇がG1という快挙を成し遂げました。武豊騎手はこれで昭和、平成、令和と菊花賞を勝ったことになります。
ディープインパクト産駒としては、サトノダイヤモンド、フィエールマンに続く菊花賞3勝目。長距離は苦手と言われていたものの、今年はワンツーを決めており、長距離レースでも割り引く必要はもうないでしょう。

ワールドプレミアは春のクラシックは未出走ですが、若葉S2着と前哨戦には出ていました。ソエで出走権を持っていた皐月賞や、ダービーには出走できなかったものの、休み明けの神戸新聞杯は最速の上りで3着と力のあるところは見せていました。そういう意味では、夏の上り馬とはいえないでしょう。
2着のサトノルークスはすみれSを勝ち、皐月賞、ダービーは大敗したものの、休み明けのセントライト記念は2着と持ち直し、3着のヴェロックスは皐月賞2着、ダービー3着から神戸新聞杯2着。サトノルークスは微妙ですが、一応春の実績馬と言えるでしょう。
つまり、今年の菊花賞も、春の実績馬に軍配が上がったといえると思います。

スポニチの小田記者が書いていたのですが、この夏から降級制度が廃止されたことで条件戦のレベルが低下し、昨年ならオープンからの降級馬もいた1000万下(2勝C)の古馬が手薄になって、3歳馬が勝ちやすくなったとか。
たしかにスミヨン騎手が乗ったことで人気が上がったヒシゲッコウが10着、5馬身差で阿賀野川特別を圧勝したホウオウサーベルが11着と、どちらも人気に応えられませんでした。
来年以降も前走2勝C勝ち馬は、たとえ圧勝していても疑ってかかった方がいいかもしれません。

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